今回はナンとチャパティの違いについてみていきます。ナンの方がチャパティより有名だと思うが、どちらもカレーと一緒に食べるパンのことです。インドカレー専門店ができて、食べる機会も増えてきたよな。インドといえばカレーとナン!ってイメージだったんですが、どうやら主流なのはチャパティらしのです。そこで今回は元パン職人の早坂佳歩を呼んです。ナンとチャパティの原料や作り方、その他のインドパンまで、徹底的に解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら副業webライターとして活動している。カレーを食べるときにはナンを手作りするほどナン好きな元パン職人がわかりやすく解説していく。

ナンとチャパティの違いをざっくり解説!

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「カレー=ナン」というイメージを持っていませんか?実はインドでは、ナンは日常食ではありません。ナンはもともと宮廷料理で、インドでは高級品です。それに対して、家庭でよく食べられるのがチャパティ。食感としては、ナンはふわふわとしてパンに近く、チャパティはガレットに近いです。

このような違いは原料と作り方の違いによって生まれます。それでは、詳しくみていきましょう。

違いその1:原料

まずは原料の違いです。ナンとチャパティでは使用するが違います。原料だけ見ても、どちらが高級でどちらが家庭向けかわかるでしょう。

ナン:小麦粉

ナンの原料となるのは小麦粉です。インドでは精製された白い小麦粉は高級品とされています。他の材料も、卵や牛乳などを使ったリッチなパンなのです。宮廷料理として出されるのも納得ですね。

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チャパティ:全粒粉

チャパティは全粒粉を使って作ります。インドでは全粒粉のことをアタ粉といい、主食を作るときには欠かせません。チャパティは粉・塩・水だけでできてしまうほどシンプルなパンです。

違いその2:作り方

続いて作り方の違いです。手軽に作れるかどうかも、日常的に食べられるかどうかに影響してきます。

ナン:発酵させて窯焼き

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ナンを焼くにはタンドールという窯が必要です。タンドールは大きな壺型で、薪オーブンのようなもの。発酵させたナンの生地を平たく伸ばし、窯の内側に張り付けて焼きます。窯の内部は300〜500度まで加熱されるため、外はカリっと中はふわふわなナンができるのです。

ところで、焼き上がったナンに穴が空いているのを知っていますか?張り付いているナンを窯から剥がすとき、針とヘラのような長い棒を刺して取り出すため、ナンに穴が開きます。これもタンドール焼きならではの特徴ですね。

チャパティ:発酵なしで鉄板焼き

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チャパティは材料を混ぜて捏ねた生地を、円形に薄く伸ばして焼き上げます。焼くときに使うのは鉄板フライパンなど、一般家庭に多くあるもの。チャパティがガレットのようになるのは、発酵させずに薄焼きにするからなのですね。

\次のページで「違いその3:外食か中食か」を解説!/

違いその3:外食か中食か

ナンとチャパティの違いもわかってきましたね。では、ナンは家庭では作れないのでしょうか。インドでナンが主流ではない理由は、設備面も関係してきます。

ナン:買うことが多い

ナンを作るためのタンドールは、そもそも一般家庭に普及しているものではありません。薪などの燃料費もかかってきます。そのため、手作りすることは難しいです。ナンはレストランで食べるか、専門店でテイクアウトすることが主流となります。

チャパティ:手作り

チャパティを焼くことが花嫁修行になるほど、チャパティはインドの暮らしに溶け込んでいます。配合や作り方も各家庭で異なり、日々の主食として親しまれているのです。

なぜ日本ではナンが有名になったの?

日本にあるインドカレー専門店では、大きなナンがセットになっているイメージがありませんか?インドではチャパティが主流であるのに、日本ではナンが主流となっているのはなぜでしょう。

始まりは日本人の勘違い

日本でパン焼き窯を製造している会社がインドのタンドールを知り、インドにはタンドールが流通していると思い込んだのがことの始まりです。

インド料理店にはタンドールの需要があると勘違いした社長は、タンドールを作り始めてしまいました。そこでインド・ネパール料理店にタンドールを売りに行きますが、現地で馴染みの少ない窯は買ってもらえません。

しかし社長の熱意ある営業により導入する店舗が少しずつ増え、本場よりも精度の高い窯が有名となりました。タンドールで焼くナンの美味しさも日本内で広まり、インドでタンドールを使ったことのない店舗でも、タンドールを導入するようになったのです。

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作り方によって名前が変わる?まだまだあるインドのパン

インドではナンやチャパティの他にも、主食として食べられているパンがたくさんあります。その中でも、ナンやチャパティと同じ生地を使ったパンを紹介しましょう。

その1.プーリ:インドの揚げパン

プーリとはインドの揚げパンのことで、チャパティの生地を油で揚げたものです。風船のようにぷっくりと膨らんだ見た目が特徴的で、スナック感覚でも食べられます。

その2.パラタ:クロワッサンのようなパン

パラタチャパティの生地にバターを塗って折り畳み、層を作って焼き上げるパンです。見た目はチャパティに似ていますが、チャパティと違いモチモチとした食感は柔らかいクロワッサンのよう。カレーと一緒に食べるだけではなく、具材を挟んでサンドイッチのようにすることもあります。

その3.クルチャ:インドのピザ

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クルチャとはインドのピザのようなものです。ナンの生地にさまざまな具材を練り込んで焼き上げます。日本でも見かけるチーズナンも、クルチャのことです。具材が名前の最初につき、チーズを入れればチーズクルチャ、ドライカレーを入れればマサラクルチャと呼ばれます。

その4.バトゥラ:ナンの生地を揚げたもの

バトゥラナンの生地を揚げたもので、見た目はプーリととても似ています。ナンの生地は発酵させてあるため、食感はプーリよりもモチモチ。豆のカレーとの相性が抜群です。

本場の家庭の味・チャパティに挑戦してみては?

日本ではチャパティはあまり馴染みがありませんよね。食べたことがない方も多いかも知れません。そこで一度、チャパティを食べてみてはいかがでしょうか。チャパティは必要な材料も少なく、簡単に作れるかつヘルシーです。業務スーパーに売っていることもあります。甘くてモチモチしたナンが苦手な方でも、チャパティなら美味しく食べられるかも知れませんよ。

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雑学

ナンとチャパティの違いは原料と作り方!インドでナンは主流じゃない?プーリやパラタとの違いも元パン職人が徹底わかりやすく解説

今回はナンとチャパティの違いについてみていきます。ナンの方がチャパティより有名だと思うが、どちらもカレーと一緒に食べるパンのことです。インドカレー専門店ができて、食べる機会も増えてきたよな。インドといえばカレーとナン!ってイメージだったんですが、どうやら主流なのはチャパティらしのです。そこで今回は元パン職人の早坂佳歩を呼んです。ナンとチャパティの原料や作り方、その他のインドパンまで、徹底的に解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら副業webライターとして活動している。カレーを食べるときにはナンを手作りするほどナン好きな元パン職人がわかりやすく解説していく。

ナンとチャパティの違いをざっくり解説!

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「カレー=ナン」というイメージを持っていませんか?実はインドでは、ナンは日常食ではありません。ナンはもともと宮廷料理で、インドでは高級品です。それに対して、家庭でよく食べられるのがチャパティ。食感としては、ナンはふわふわとしてパンに近く、チャパティはガレットに近いです。

このような違いは原料と作り方の違いによって生まれます。それでは、詳しくみていきましょう。

違いその1:原料

まずは原料の違いです。ナンとチャパティでは使用するが違います。原料だけ見ても、どちらが高級でどちらが家庭向けかわかるでしょう。

ナン:小麦粉

ナンの原料となるのは小麦粉です。インドでは精製された白い小麦粉は高級品とされています。他の材料も、卵や牛乳などを使ったリッチなパンなのです。宮廷料理として出されるのも納得ですね。

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