この記事では「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」について解説する。

端的に言えば三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなりの意味は「意思こそがもっとも大切なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」(さんぐんすいをうばうべきなり ひっぷもこころざしをうばうべからざるなり)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味は?

まずは、「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の辞書の意味を見ていきましょう。併せて、「 匹夫」(ひっぷ)の意味もご紹介します。

【三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり】
1.《「論語」子罕しかんから》大軍であってもまとまっていないと、その総大将を討ち取ることができるが、たとえ身分の低い男でも、意志が堅ければ、その志を変えさせることはできない。
出典: デジタル大辞泉(小学館)
「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」

【匹夫】
1.身分のいやしい男。また、道理をわきまえない男。
出典: デジタル大辞泉(小学館)「匹夫」

「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」の「三軍」(さんぐん)とは「三つもある多数の軍隊」、ここでは数が多いことの例えであり、「匹夫」(ひっぷ)とは身分のいやしい者という意味で使われています。

辞書で説明されている通り、数多くの軍隊の統帥(総大将)を討ち取ることはできても、たとえ、身分は低くても、志(こころざし)の高い人間からその志を変えさせることはできないものだ。という意味になりますね。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の語源は?

次に「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の語源を確認しておきましょう。
これは論語(ろんご)の中の言葉です。論語は、孔子と弟子たちの問答を集録した書物のことですが、この言葉は老子と弟子のひとり、子罕(しかん)が話をしていたときに孔子が発した言葉だと記録されています。孔子は、この言葉から、意思はなによりも堅固で貴重なものだと伝えたかったのでしょう。

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「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の使い方・例文

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あいつを説得するのはかなり難しいぞ。三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなりのことわざの通り、一度思い込んだら一切妥協もしないし、社長が言い聞かせても結局応じなかったからな。

2. すごいよな、彼の英語の学習に対する熱意は。中学しかでていないようだが、四十歳になって英語でコミュニケーションを取ることの大切さを実感したんだそうだ。三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなりのことわざもある通り、仕事してるか、寝ているか以外の時間はすべて英語学習に時間を費やしているらしい。

世の中には、意思の固い人はしばしばいますよね。そんな人たちの思いを変えさせるのは難しいことを例文にしました。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の類義語は?違いは?

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それでは、「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の類義語を見ていきましょう。

\次のページで「「一念岩をも通す」(いちねんいわをもとおす):強い信念でことにあたればどんなことでも達成できる」を解説!/

「一念岩をも通す」(いちねんいわをもとおす):強い信念でことにあたればどんなことでも達成できる

「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」は、多勢の大将を倒すことはできても人の意思は変えさせることはできないという意味でした。意思の強さがあれば何事も達成できるという意味として理解すると「一念岩をも通す」という言葉があります。

「一念岩をも通す」の「一念」(いちねん)とは、「強い信念」あるいは、「ひたすら深く思うこと」で「執念」に非常に近い意味です。ですから全体の意味は、「強い信念をもって物事にあたれば、岩のような頑丈なものでさえも貫くことができるほど、どんなことでも成し遂げられる」という意味になりますね。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の対義語は?

次に「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の対義語を見ていきましょう。

「水泡に帰する(すいほうにきする)」:努力のかいなくむだに終わること

「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」は、強大な軍勢の大将は倒せても人の意志は変えられない。つまり、強い意思さえあれば、何事も達成できるという意味でした。しかし、意思が強くたゆまぬ努力をしてきたからといって何でも達成できるかというと、そうでもありません。意思が強く人並外れた努力をしてきてもうまくいかなかったことを表す言葉に「水泡に帰する」があります。

「水泡」とは水の泡のことですが、水の泡は消えやすいことから「はかないこと」「むなしいこと」の例えとして使われる言葉です。「帰する」とは「結果としてそうなること」。「水泡に帰する」は、努力の甲斐(かい)もなくうまくいかなかったという意味になります。「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」からは、いい結果が得られそうな期待感がありますが、「水泡に帰する」は反対にうまくいかなかったというガッカリ感のある言葉ですね。

「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」の英訳は?

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次に「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」の英訳を見ていきましょう。

「Where there is a will, there is a way」:意思のあるところには、道は通ず

「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」を英訳する場合のポイントはこのことわざの意味の中心である「やろうとする意思が強ければやり遂げることができる」の部分でしょう。

英語には、そんな意味を持つ決まり文句があります。「Where there is a will, there is a way」です。「will」(wíl)は、この場合は助動詞の「will」ではなく、名詞の「意思」という意味で使われています。「Where there is a will, there is a way」は、「意思のあるところに道はある」という意味にまりますね。「為せばなる」(なせばなる)と訳される場合も少なくありません。「Where there is a will, there is a way」はアメリカの16代大統領になったエイブラハム・リンカーンが演説で発した言葉なのです。

\次のページで「「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」を使いこなそう」を解説!/

「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」を使いこなそう

この記事では、「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味や使い方について見てきました。大軍の大将は打ち取ることができたとしても人の意思や志は変えさせることができないという意味でしたね。確かに他人の意思や考え方を変えさせることは難しいことかもしれません。しかし、自分のことは自分の意思で変えられるものです。自分が本当にやりたいことがあれば、年齢を問わず強い意志をもって進んでいけるといいですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」について解説する。

端的に言えば三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなりの意味は「意思こそがもっとも大切なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」(さんぐんすいをうばうべきなり ひっぷもこころざしをうばうべからざるなり)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の意味は?

まずは、「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の辞書の意味を見ていきましょう。併せて、「 匹夫」(ひっぷ)の意味もご紹介します。

【三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり】
1.《「論語」子罕しかんから》大軍であってもまとまっていないと、その総大将を討ち取ることができるが、たとえ身分の低い男でも、意志が堅ければ、その志を変えさせることはできない。
出典: デジタル大辞泉(小学館)
「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」

【匹夫】
1.身分のいやしい男。また、道理をわきまえない男。
出典: デジタル大辞泉(小学館)「匹夫」

「三軍も師を奪うべきなり、匹夫も志を奪うべからざるなり」の「三軍」(さんぐん)とは「三つもある多数の軍隊」、ここでは数が多いことの例えであり、「匹夫」(ひっぷ)とは身分のいやしい者という意味で使われています。

辞書で説明されている通り、数多くの軍隊の統帥(総大将)を討ち取ることはできても、たとえ、身分は低くても、志(こころざし)の高い人間からその志を変えさせることはできないものだ。という意味になりますね。

「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の語源は?

次に「三軍も帥を奪うべきなり、 匹夫も志を奪うべからざるなり」の語源を確認しておきましょう。
これは論語(ろんご)の中の言葉です。論語は、孔子と弟子たちの問答を集録した書物のことですが、この言葉は老子と弟子のひとり、子罕(しかん)が話をしていたときに孔子が発した言葉だと記録されています。孔子は、この言葉から、意思はなによりも堅固で貴重なものだと伝えたかったのでしょう。

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