今回は「原子力発電の仕組み」について解説していきます。

原子力発電は核エネルギーを用いた特殊な発電方法であり、その安全性に関する議論は度々行われているぞ。しかしながら、原子力発電の仕組みを理解していなければ、このような議論にもついていけないでしょう。そこで、今回は原子力発電のメカニズムを詳しく述べ、原子炉の種類についても紹介することにしたぞ。ぜひ、この機会に原子力発電の仕組みについての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

原子力発電の仕組みを学ぼう!

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今日、原子力発電は火力発電や水力発電と並ぶ主力電源になっており、世界中の人々が原子力による電気の恩恵を受けていると言えます。わが国日本に存在する原子力発電は50基を超えており、日本に住んでいても原子力の恩恵を受けていることになりますよ。

このような背景がありながら、原子力発電の仕組みを説明できる方は決して多くはありません。原子力発電は安全性などをめぐり度々議論にあがりますが、仕組みを知らないことにはこのような議論も理解することができませんよね。そこでこの記事では、原子力発電の仕組みについて述べることにしました

最初のチャプターでは、原子力発電所においてエネルギーが生み出される過程を3つのステップに分けて説明しますね。それぞれのステップにおいて、どのような物理現象が生じて、どのようにエネルギーが変換されているのかという点に注目してみましょう。それでは早速、解説をはじめます。

1.核分裂が生じる

1.核分裂が生じる

image by Study-Z編集部

原子力発電においてエネルギー源になるものは、ウラン235などの核分裂性物質を含む『核燃料』です。原子炉内では、核分裂連鎖反応という反応を生じさせます。

核分裂連鎖反応をウラン235を例にとって説明しますね。ウラン235に中性子を当てると、ウラン235原子核は2つに割れ、中性子を放出しますこの中性子は他のウラン235にぶつかり、再び同じ反応が生じるのです。このようにしてウラン235は次々と分裂していきます。これが核分裂連鎖反応です。

2.熱エネルギーにより蒸気が発生する

2.熱エネルギーにより蒸気が発生する

image by Study-Z編集部

核分裂連鎖反応によって核燃料のもつ核エネルギーは、熱エネルギーに変換されます。原子力発電所では、この熱で水を温めますよ。核分裂で発生する熱エネルギーは莫大であり、簡単に水が沸騰して蒸気になります。その後、蒸気はタービンに送られますよ。

熱エネルギーによって発生する蒸気がタービンに送られるまでの過程は様々です。日本の原子力発電所では、原子炉とタービンが直接つながっている「沸騰水型」と原子炉とタービンの間に熱交換装置が存在する「加圧水型」の2種類が採用されています。

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3.蒸気タービンで発電する

3.蒸気タービンで発電する

image by Study-Z編集部

蒸気タービンは、熱された水のエネルギーを運動エネルギーに変換します。タービンは羽根車のような役割を果たし、原子炉から送り込まれる高温・高圧の水蒸気から回転運動を生み出すのです。そして、この回転運動を発電機に伝えることで電気を発生させます。

また、タービンを通り抜けた水蒸気は、復水器で冷却し、再び原子炉へと戻っていきますよ。水蒸気の冷却には大量の水が必要になるので、原子力発電は海や大きな湖・河川の近くに建設されることが多くなっています。

原子力発電の種類

image by iStockphoto

原子力発電は使用する核燃料と減速材の組み合わせで分類することができます。ちなみに、減速材は核燃料を覆う物質のことで、中性子のコントロールをするために使われていますよ。

今回は、核燃料と減速材の違いに注目して、軽水炉重水炉高速増殖炉トリウム炉を採用した原子力発電について紹介します。

軽水炉:ウラン235と水を用いる原子炉

軽水炉は、核燃料にウラン235、減速材にを用いている原子炉です。軽水炉のシェア率は世界で80パーセント程度であり、広く普及していることがわかります。日本国内の電力会社が所有するすべての原子力発電所で、この軽水炉が採用されていますよ。

製造コストが安いといったことが軽水炉の利点です。一方で、出力制御が難しいこと原子炉の起動に時間がかかることが軽水炉のデメリットになっています。

重水炉:天然ウランと重水を用いる原子炉

重水炉は、核燃料に天然ウラン、減速材に重水を用いている原子炉です。重水は酸素と重水素を結合させた化学物質ですよ。重水素は、一般的な水素の原子核に中性子を1つ加えたものになります。

重水素のメリットは安価に手に入る天然ウランを利用できることであり、天然ウランの産地であるカナダなどで研究開発が進められてきました。かつて、日本においても「ふげん」という名前の重水炉が存在していましたよ。

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高速増殖炉:ウラン238およびプルトニウム239と液体ナトリウムを用いる原子炉

高速増殖炉は、核燃料にウラン238およびプルトニウム239、減速材に液体ナトリウムを用いている原子炉です。減速材に液体ナトリウムを使用することで、中性子を高速で原子核にぶつけることができますが、これが「高速炉」という名前の由来になっています。

また、高速増殖炉には、発電を行うことで消費した核燃料よりも多くの燃料を生成できる仕組みがありますよ。これが「増殖炉」という名前の由来なのです。それゆえ、高速増殖炉によって天然ウランなどの資源を有効に活用できます。かつて、日本においても「もんじゅ」という名前の高速増殖炉が存在していました。

トリウム炉:トリウムを用いる原子炉

トリウム炉は、核燃料にトリウムを用いる原子炉のことをさします。トリウムに中性子を当てることでウラン233が生成されるので、それを核分裂連鎖反応させる仕組みです。トリウムはウランよりも埋蔵量が多いことから、トリウム炉は次世代技術として期待が高まっています

また、トリウム原子炉が従来の原子炉よりも安全性が高いことも注目すべき事柄ですよ。トリウム原子炉では、メルトダウンのリスクが軽水炉などよりも低くなっているのです。

原子力発電の仕組みについて学ぶ意義

原子力発電という言葉を聞くと、反射的に危険なイメージが頭の中に浮かぶ方も少なくないかもしれません。しかしながら、原子力発電の仕組みを理解できていないと、なぜ危険であるのかが分かりませんよね。何事もメカニズムを知り、正しく怖がり、正しく利用することが大切です。

この記事では、以上のような懸念を払しょくできるように、原子力発電の仕組みを基本から丁寧に説明してきました。ぜひこの機会に、原子力発電の仕組みについて詳しく学んでみてくださいね。

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3分で簡単原子力発電の仕組み!原子炉の分類方法は?現役理系学生ライターが詳しくわかりやすく解説!

今回は「原子力発電の仕組み」について解説していきます。

原子力発電は核エネルギーを用いた特殊な発電方法であり、その安全性に関する議論は度々行われているぞ。しかしながら、原子力発電の仕組みを理解していなければ、このような議論にもついていけないでしょう。そこで、今回は原子力発電のメカニズムを詳しく述べ、原子炉の種類についても紹介することにしたぞ。ぜひ、この機会に原子力発電の仕組みについての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

原子力発電の仕組みを学ぼう!

今日、原子力発電は火力発電や水力発電と並ぶ主力電源になっており、世界中の人々が原子力による電気の恩恵を受けていると言えます。わが国日本に存在する原子力発電は50基を超えており、日本に住んでいても原子力の恩恵を受けていることになりますよ。

このような背景がありながら、原子力発電の仕組みを説明できる方は決して多くはありません。原子力発電は安全性などをめぐり度々議論にあがりますが、仕組みを知らないことにはこのような議論も理解することができませんよね。そこでこの記事では、原子力発電の仕組みについて述べることにしました

最初のチャプターでは、原子力発電所においてエネルギーが生み出される過程を3つのステップに分けて説明しますね。それぞれのステップにおいて、どのような物理現象が生じて、どのようにエネルギーが変換されているのかという点に注目してみましょう。それでは早速、解説をはじめます。

1.核分裂が生じる

1.核分裂が生じる

image by Study-Z編集部

原子力発電においてエネルギー源になるものは、ウラン235などの核分裂性物質を含む『核燃料』です。原子炉内では、核分裂連鎖反応という反応を生じさせます。

核分裂連鎖反応をウラン235を例にとって説明しますね。ウラン235に中性子を当てると、ウラン235原子核は2つに割れ、中性子を放出しますこの中性子は他のウラン235にぶつかり、再び同じ反応が生じるのです。このようにしてウラン235は次々と分裂していきます。これが核分裂連鎖反応です。

2.熱エネルギーにより蒸気が発生する

2.熱エネルギーにより蒸気が発生する

image by Study-Z編集部

核分裂連鎖反応によって核燃料のもつ核エネルギーは、熱エネルギーに変換されます。原子力発電所では、この熱で水を温めますよ。核分裂で発生する熱エネルギーは莫大であり、簡単に水が沸騰して蒸気になります。その後、蒸気はタービンに送られますよ。

熱エネルギーによって発生する蒸気がタービンに送られるまでの過程は様々です。日本の原子力発電所では、原子炉とタービンが直接つながっている「沸騰水型」と原子炉とタービンの間に熱交換装置が存在する「加圧水型」の2種類が採用されています。

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