この記事ではハイターとキッチンハイターの違いについてみていきます。2つとも漂白したり汚れを落としたり、掃除や洗濯に便利なものというイメージがあるよな。違いはずばり成分にあるようですが、用途など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんなハイターとキッチンハイターの違いを、まずハイターの定義から確認しつつ、雑学オタクライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

雑学オタクなWebライター。日頃から少しでも疑問に思ったことを調べては、知的好奇心を満たしている。リサーチ力を活かして、様々な違いをわかりやすく解説していく。

そもそもハイターってなに?

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ハイターやキッチンハイターは、ドラッグストアやスーパーでもよく見かける商品です。キッチンの掃除や洗濯の際に使っている方も多いのではないでしょうか?そんなハイターとキッチンハイターの違いを知る前に、そもそも「ハイター」とは何なのかを解説していきます。

商標登録された塩素系漂白剤の総称

ハイターと名前がつくものは全て塩素系の漂白剤を指しています。ただ「ハイター」という名は商標登録されているもの。いわゆるブランド名のようなもので、商品に記載できるメーカーは限られています。

商標登録をしたメーカー以外は、「ブリーチ」という言葉に変えて販売していることが多いです。そのためハイターとキッチンハイターは、同じメーカーから販売されている塩素系漂白剤ということになります。

違いその1:成分

同じメーカーから販売されているハイターとキッチンハイター。どちらも塩素系漂白剤のため、中身に違いがあるのか気になりますよね。それぞれどんな成分で出来ているのか、さっそくチェックしていきましょう。

ハイター:次亜塩素酸ナトリウムや水酸化ナトリウム

ハイターの主な成分は次亜塩素酸ナトリウム。殺菌・漂白・シミ抜きなどの効果があります。医療現場や介護現場でも、消毒などに使われている成分です。

その他に含まれる成分は水酸化ナトリウムというもの。水酸化ナトリウムは、アルカリ性の洗剤などに入っていることが多い成分です。ハイターの場合は、主成分である次亜塩素酸ナトリウムが分解されるのを防ぎ、安定させる目的で配合されています。

キッチンハイター:界面活性剤も含まれる

キッチンハイターも主成分は次亜塩素酸ナトリウムです。また水酸化ナトリウムが含まれる点もハイターと共通しています。

どこが違うのかというと、キッチンハイターには「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」という成分が含まれるという点。界面活性剤として配合されています。

アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは台所洗剤にも含まれる成分です。油汚れなどを落としやすくする効果があります。ハイターにはない洗浄効果がキッチンハイターにあるといえるでしょう。

違いその2:主な用途

ハイターとキッチンハイターは、使い方や使う場面にも少々違いがあります。それぞれの主な用途をみていきましょう。

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ハイター:衣服の漂白・除菌・消臭に

ハイターは洗濯物を漂白する目的で使われることがほとんどです。つけおきすると、衣服の黒ずみや黄ばみなど、普通の洗濯用洗剤では落とせない汚れも落としてくれます。

また除菌や消臭効果も期待できるため、キッチンで使う布巾などにつかうのもおすすめです。雑菌や汚れが原因で発生する、雑巾のような臭いも解消してくれますよ。

しかしハイターは、色素を抜いて白くする働きがあるもの。色や柄つきの衣類に使うと落ちてしまう可能性があります。白いもの限定で使うようにしましょう。

キッチンハイター:キッチン用品の漂白や台所掃除に

キッチンハイターは食器に使うことを主な目的としたハイターです。例えばまな板・マグカップの漂白や急須についた茶渋落としに。食器用洗剤では落ちない、色素沈着もキレイに落とせます。

また、排水溝のぬめり取りやシンクのカビ取りも得意です。筆者は食器の水切りラックの下に珪藻土マットを敷いていることもあり、珪藻土マットのカビを取る際にもキッチンハイターを使用しています。

除菌効果もあるため、ふきんをつけおきして洗ったり、水で薄めて冷蔵庫を掃除したりも可能です。しかし、キッチンハイターも色や柄付きのふきんには使えません。木製の食器も変色する可能性があります。使う際は注意しましょう。

ハイターとキッチンハイターはそれぞれ代用できる?

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ハイターとキッチンハイターはどちらも塩素系の漂白剤です。主な用途は違いますが、成分がほとんど同じことから「代用できるのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか?実際に代用できるのかご紹介していきます。

可能ではあるけれどおすすめできない

ハイターとキッチンハイターを代用することは可能です。成分がほぼ同じということもあり、それぞれ代用しても劇的な違いはないと言えるでしょう。

ただ実際に代用してみると、販売元のメーカーが商品を分けている理由がわかります。筆者もハイターで排水溝を掃除しましたが、キッチンハイターの方がスッキリとぬめりや汚れがよく落ちました。

逆の場合もそうです。ハイターの代わりにキッチンハイターでYシャツをつけ置きして洗ってみましたが、洗濯後に残る塩素のニオイがキツく感じました。

代用可能ではありますが、結果的にあまりおすすめできません。できる限り、用途に合わせて使い分けた方がいいでしょう。

ハイターやキッチンハイターの使い方・注意点

ハイターやキッチンハイターは、手強い汚れを落としてくれる便利なアイテムです。洗剤などと違って強い成分で作られた製品のため、水で薄めて使うなど使い方には必ず目を通しておく必要があります。

使い方を間違えると取り返しのつかない失敗や事故につながることも。どんなことに気をつけたらいいのかなど、使い方や注意点を確認していきましょう。

(1)使える物と使えない物をしっかり確認する

ハイターやキッチンハイターでよくある失敗の一つは、使える物と使えない物を確認していなかったことが原因で起こるもの。使用前にチェックしないと変色してしまったり、色落ちしてしまったりと大変なことになる可能性があります。それぞれの使える物と使えない物を、以下にまとめてみました。参考にしてみてくださいね。

ハイターが使える物
・色や柄がない白地のせんい製品(主に木綿、麻、ポリエステル、アクリル)
・洗濯表示のタグに三角形のマークがあるもの(三角形の中に斜線がある場合は不可) など

ハイターが使えない物
・色や柄があるせんい製品
・家庭での洗濯ができないもの
・水洗いできないもの
・絹、ナイロン、アセテート、ポリウレタンなどの衣料
・動物の毛が使われた衣料
・ファスナーなど金属がついている衣料 など

キッチンハイターが使える物
・白地かつ無地のふきんやおしぼり
・プラスチック製品(一部を除く)
・木や竹の製品(目立たない場所で試してみてから使用)
・シリコン製品
・陶器
・ナイロン製品 など

キッチンハイターが使えない物
・色や柄があるせんい製品
・食べ物
・水洗いできない食器や道具
・金属製品
・漆器
・動物の毛を使用したハケ
・メラミン製品 など

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(2)換気した場所でゴム手袋などを使いながら作業する

ハイターとキッチンハイターは塩素系の漂白剤です。消毒したプールのようなニオイがします。狭くて換気が不十分な場所では、独特なニオイが原因で気分が悪くなることもあるので注意が必要です。

また塩素系漂白剤はアルカリ性であるため、肌につくと荒れてしまう可能性があります。ハイターやキッチンハイターを使うときは、ゴム手袋などで保護しましょう。液体が跳ねて目に入ることを防ぐため、メガネをかけることもおすすめです。

(3)酸性の洗剤などと混ぜないように注意する

ハイターとキッチンハイターの主成分である次亜塩素酸ナトリウムは、酸性のものが混ざると塩素ガスという、黄色の有毒ガスが発生します。パッケージに「まぜるな危険」と書かれているのはこのためです。

濃度が高い場合、数分で死に至ります。濃度が低い場合でも、目・気道・皮膚などに刺激を感じたり、呼吸困難などの症状がでることも。とっても危険です。

実際に主婦の方が、お風呂を掃除している途中に亡くなってしまったこともあります。説明書きをよく読み、換気など準備を整えてから使用するようにしてくださいね。

塩素系漂白剤はウイルス対策にも効果が!

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ハイターやキッチンハイターに含まれる次亜塩素酸ナトリウムは、ウイルス除去も可能です。厚生労働省も、コロナ・インフルエンザ・ノロウイルスなどのウイルス対策として、ハイターなどの塩素系漂白剤を使った消毒方法が紹介されています。

手や空気中の消毒には使えませんが、ドアノブやテーブルなど「モノ」の消毒におすすめです。ハイターやキッチンハイターを使用した、消毒液の作り方をご紹介していきます。

消毒液の作り方

ハイターとキッチンハイターは次亜塩素酸ナトリウムの量がほとんど変わらないため、同じ方法で作ることができます。厚生労働省の資料では、以下の作り方が例として記載されていました。

水1Lに本商品25mL(商品付属のキャップ1杯)
※次亜塩素酸ナトリウムは、一般的にゆっくりと分解し、濃度が低下して いきます。購入から3ヶ月以内の場合は、水1Lに本商品10ml(商品 付属のキャップ1/2杯)が目安です。

出典:厚生労働省「身のまわりを清潔にしましょう。」

上記の方法で作ると、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.05%に薄まります。キッチンペーパーやふきんなどに消毒液をつけて、ドアノブなどを拭いてみてください。消毒液で拭いたあと、必ず水拭きもするようにしましょう。

特に金属は次亜塩素酸ナトリウムが残ると腐食する可能性もあるため、消毒した後の水拭きは大切です。また薄めてはいますが、使用する際はゴム手袋をして皮膚を守ったり、目や口に入らないように注意してください。

塩素系以外の漂白剤の種類

ハイターとキッチンハイターは塩素系の漂白剤です。ただ漂白剤には他にも種類があります。どんなものがあるのか確認して、使い分けてみましょう。

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(1)酸素系漂白剤:色や柄のある衣服にも使える

酸素系の漂白剤は、衣類の漂白・シンクや洗濯槽の掃除など幅広く使える便利なアイテムです。タイプは粉末と液体の2種があり、それぞれ主成分や用途が異なります。

粉末タイプ
・主成分:過酸化ナトリウム
・用途:衣類や食器などの汚れやシミ落とし/水回りの掃除/除菌や消臭

液体タイプ
・主成分:過酸化水素/除菌や消臭
・用途:衣類の汚れやシミ落とし

粉末タイプはアルカリ性で液体タイプは酸性です。粉末タイプの方が漂白力はやや高いという特徴が。洗濯に関してはどちらも色柄物に対応していますが、毛や絹などデリケートな衣類に使えるのは液体のみとなります。またどちらも塩素系漂白剤のような独特なニオイもありません。ツンとしたニオイが苦手な方はチェックしてみてください。

(2)還元型漂白剤:衣類の黄ばみやサビ落としが得意

汚れと酸素を反応させて漂白する塩素系や酸素系漂白剤と違い、還元型漂白剤は酸素を取り除く働きをします。そのため、シンクのサビ落としや皮脂などが酸化して発生する黄ばみの漂白が得意です。

塩素系や酸素系の漂白剤を使っても黄ばみが落ちない場合は、還元型の漂白剤を使ってみるといいでしょう。ただ、色柄物や金属の装飾品がついた洋服には使えません

またアルカリの性質を持っているため、塩素系漂白剤のように、使うときはゴム手袋をつけるなど肌を保護しましょう。

大きな違いは界面活性剤が入っているかどうか

ハイターとキッチンハイターは名前も似ているため混同しがちですが、細かな違いがあります。特に大きな違いは、界面活性剤が入っているかどうかという点です。

ハイターには含まれない界面活性剤が、キッチンハイターには含まれます。名前にキッチンが入っているだけあり、油汚れが落としやすくなっているのです。

またハイターは衣類の漂白を目的として販売されているため、洗濯後もほとんど塩素のニオイが残りません。似ている部分が多い2種ですが、用途ごとに分けて使ってみてくださいね。

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ハイターとキッチンハイターの違いは名前だけ?成分や使い方など雑学オタクが詳しくわかりやすく解説

この記事ではハイターとキッチンハイターの違いについてみていきます。2つとも漂白したり汚れを落としたり、掃除や洗濯に便利なものというイメージがあるよな。違いはずばり成分にあるようですが、用途など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんなハイターとキッチンハイターの違いを、まずハイターの定義から確認しつつ、雑学オタクライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

雑学オタクなWebライター。日頃から少しでも疑問に思ったことを調べては、知的好奇心を満たしている。リサーチ力を活かして、様々な違いをわかりやすく解説していく。

そもそもハイターってなに?

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ハイターやキッチンハイターは、ドラッグストアやスーパーでもよく見かける商品です。キッチンの掃除や洗濯の際に使っている方も多いのではないでしょうか?そんなハイターとキッチンハイターの違いを知る前に、そもそも「ハイター」とは何なのかを解説していきます。

商標登録された塩素系漂白剤の総称

ハイターと名前がつくものは全て塩素系の漂白剤を指しています。ただ「ハイター」という名は商標登録されているもの。いわゆるブランド名のようなもので、商品に記載できるメーカーは限られています。

商標登録をしたメーカー以外は、「ブリーチ」という言葉に変えて販売していることが多いです。そのためハイターとキッチンハイターは、同じメーカーから販売されている塩素系漂白剤ということになります。

違いその1:成分

同じメーカーから販売されているハイターとキッチンハイター。どちらも塩素系漂白剤のため、中身に違いがあるのか気になりますよね。それぞれどんな成分で出来ているのか、さっそくチェックしていきましょう。

ハイター:次亜塩素酸ナトリウムや水酸化ナトリウム

ハイターの主な成分は次亜塩素酸ナトリウム。殺菌・漂白・シミ抜きなどの効果があります。医療現場や介護現場でも、消毒などに使われている成分です。

その他に含まれる成分は水酸化ナトリウムというもの。水酸化ナトリウムは、アルカリ性の洗剤などに入っていることが多い成分です。ハイターの場合は、主成分である次亜塩素酸ナトリウムが分解されるのを防ぎ、安定させる目的で配合されています。

キッチンハイター:界面活性剤も含まれる

キッチンハイターも主成分は次亜塩素酸ナトリウムです。また水酸化ナトリウムが含まれる点もハイターと共通しています。

どこが違うのかというと、キッチンハイターには「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」という成分が含まれるという点。界面活性剤として配合されています。

アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは台所洗剤にも含まれる成分です。油汚れなどを落としやすくする効果があります。ハイターにはない洗浄効果がキッチンハイターにあるといえるでしょう。

違いその2:主な用途

ハイターとキッチンハイターは、使い方や使う場面にも少々違いがあります。それぞれの主な用途をみていきましょう。

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