この記事では、「ミス」と「ミセス」の違いについてみていきます。どちらも英語の敬称の1つですが、「1文字違いでどう使い分けたらいいかよく分からない」という人も多いのではないでしょうか?しかしこの2つには大きな違いがあり、使い方を間違えると相手に不快な思いをさせてしまうかもしれない。
今回は英語を話す上で重要な敬称について、その起源や現在の使われ方を英語オタクのとくじんと一緒に解説していきます。

ライター/とくじん

中3でそれまで苦手だった英語にハマり、英語漬けの日々。苦手だったからこそ気づいた英語の楽しさを伝えるために英語のあれこれを分かりやすく解説していく。

「ミス」と「ミセス」違いは「婚姻ステータス」?

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まずは「ミス」と「ミセス」の違いを確認してみましょう。どちらも女性に対して使う敬称で、日本語にすると「〜さん」です。しかし、しっかり使い分けなければ相手に不快感を与えかねないので、しっかり違いを理解しましょう。どちらの敬称も女性のラストネーム(名字)またはフルネームの前に置いて使います。

「ミセス」:既婚女性

「ミセス」は英語で”Mrs.”と表記します。この敬称は相手の女性が「既婚」である時のみに使われる敬称です。また敬称のルールとして、Dr.(ドクター)やPrt.(プロフェッサー)など他の敬称がある場合はそちらの敬称を優先的に使います。

元々は、「Mrs.+夫の名字」で「〜の奥様」という使われ方をしていたため、「ミセス」は「既婚女性」にのみ使われる敬称となりました。

「ミス」:未婚女性

一方、「ミス(Miss)」は「未婚女性」にのみ使われる敬称です。こちらも「ミセス」と同様、他の敬称がある場合はそちらの敬称を優先して使いましょう。ミス・コンテスト(ミスコン)やミス・ユニバースといった女性の美を競う大会で目にしますが、これは参加条件が「独身」であることとなっているため、「ミス」の敬称を用います。

起源は同じ「ミストレス(mistress)」

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どちらの敬称も起源は同じ「ミストレス(mistress)」という言葉。ミストレスは古くから使われていた単語で、ミスター(mister)の対義語です。

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Throughout history ‘mistress’ was a term with a multiplicity of meanings, like so many forms of female address. In his Dictionary of 1755, Samuel Johnson defined mistress as: “1. A woman who governs; correlative to subject or servant; 2 A woman skilled in anything; 3. A woman teacher; 4. A woman beloved and courted; 5. A term of contemptuous address; 6. A whore or concubine.”

出典Mistress, Miss, Mrs or Ms: untangling the shifting history of titles, https://www.cam.ac.uk/research/news/mistress-miss-mrs-or-ms-untangling-the-shifting-history-of-titles

1755年の辞書には、”mistress”の意味は、1.統治する女性、2.技術をもった女性、3.女性教師、4.誰からも好まれる女性、5.女性を軽蔑する言葉、6.女奴隷と記載されており、婚姻ステータスには一切触れられていません。それでは、この言葉がどのようにして、「ミセス」と「ミス」2つの異なる敬称に変容していったのでしょうか?

「ミセス」は財力のある女性、キャリアウーマン

成人女性の敬称として先に使われていたのは「ミセス」です。社会的に地位の高い、財を成している女性に対して使われてきましたが、そこに婚姻ステータスの違いはありませんでした。

そもそも敬称を用いるという文化自体が、上流階級でのみ適用されていたため、多くの女性は敬称を用いずに名前だけで呼ばれていました。「ミス」が「未婚女性」の敬称となったことで、次第に「既婚女性」の意味を含むようになり、今に至ります。

「ミス」は女の子

一方で「ミス」は元々、上流階級の女の子の敬称。今では使われませんが男の子の敬称は「マスター」なので、その対義語として「ミス」が使われていました。

しかし、1740年代に出版された小説がきっかけで下級貴族の独身女性が「ミス」を使うようになったと言われています。その小説では、若い下級貴族の女性を”Miss”、未婚の執事を”Mrs.”と表記されていました。下級貴族の独身女性が、執事やキャリアウーマンとは違い、自分には階級があるということを示すために「ミス」を使い始めます。

現代の風潮に合わせて生まれた「ミズ」

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元来は女性の敬称としては「ミセス」と「ミス」しかありませんでしたが、1950年代に新たに「ミズ」という敬称が使われるようになりました。この敬称は、新聞記事や雑誌などで扱われることで広く使われるようになります。

婚姻ステータスは関係ない

「ミズ(Ms.)」はこれまでの敬称と異なり、そこに「婚姻ステータス」は含まれません。既婚であろうと、独身であろうと同じ「ミズ」を使うことができます。

「ミズ」も他の敬称と同様に起源は「ミストレス」。もともと婚姻ステータスを含まなかった敬称(ミストレス)が、一度は婚姻ステータスを含む敬称(ミセス、ミス)に変わり、300年という時を経てまた元の形に戻る。歴史は繰り返すと言いますが、言語でも同じことが起こり得るということですね。

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今では最も一般的な表記

「ミズ」に関しては次のような批判もあります。「ミスやミセスは、それぞれ父または夫に属していることを意味しているが、ミズは何にも属していないから敬称として不適切である」と。

しかし、女性は女性であり、男性の所有物ではありません。実際、現在では「ミズ」が最も一般的な敬称です。むしろ「ミス」と「ミセス」で分けることを良しとしないことも多いぐらいに、「ミズ」が普及しています。女性に敬称をつける時は「ミズ(Ms.)」と覚えておきましょう。

起源を知れば英語がさらに楽しくなる!

英単語には必ず起源があります。他の言語から来ているもの、同じ英語でも古い英語から来ているものなど様々です。単語を覚える際は起源まで気にして覚えるという人は少ないと思います。しかし、今回のように英単語の起源を辿っていくと面白い発見があったり、他の単語との意外な共通点を見つけられたりすることも。また起源から英単語を覚えることでより英単語が覚えやすくなる、話のネタができるなど他のメリットもあります。気になる単語があれば、ぜひ起源を調べてみてください。きっと英語がもっと楽しくなりますよ!

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
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雑学

3分で分かる「ミス」と「ミセス」の違い!今では「ミズ」が一般的?使い方や起源も英語オタクが詳しくわかりやすく解説

この記事では、「ミス」と「ミセス」の違いについてみていきます。どちらも英語の敬称の1つですが、「1文字違いでどう使い分けたらいいかよく分からない」という人も多いのではないでしょうか?しかしこの2つには大きな違いがあり、使い方を間違えると相手に不快な思いをさせてしまうかもしれない。
今回は英語を話す上で重要な敬称について、その起源や現在の使われ方を英語オタクのとくじんと一緒に解説していきます。

ライター/とくじん

中3でそれまで苦手だった英語にハマり、英語漬けの日々。苦手だったからこそ気づいた英語の楽しさを伝えるために英語のあれこれを分かりやすく解説していく。

「ミス」と「ミセス」違いは「婚姻ステータス」?

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まずは「ミス」と「ミセス」の違いを確認してみましょう。どちらも女性に対して使う敬称で、日本語にすると「〜さん」です。しかし、しっかり使い分けなければ相手に不快感を与えかねないので、しっかり違いを理解しましょう。どちらの敬称も女性のラストネーム(名字)またはフルネームの前に置いて使います。

「ミセス」:既婚女性

「ミセス」は英語で”Mrs.”と表記します。この敬称は相手の女性が「既婚」である時のみに使われる敬称です。また敬称のルールとして、Dr.(ドクター)やPrt.(プロフェッサー)など他の敬称がある場合はそちらの敬称を優先的に使います。

元々は、「Mrs.+夫の名字」で「〜の奥様」という使われ方をしていたため、「ミセス」は「既婚女性」にのみ使われる敬称となりました。

「ミス」:未婚女性

一方、「ミス(Miss)」は「未婚女性」にのみ使われる敬称です。こちらも「ミセス」と同様、他の敬称がある場合はそちらの敬称を優先して使いましょう。ミス・コンテスト(ミスコン)やミス・ユニバースといった女性の美を競う大会で目にしますが、これは参加条件が「独身」であることとなっているため、「ミス」の敬称を用います。

起源は同じ「ミストレス(mistress)」

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どちらの敬称も起源は同じ「ミストレス(mistress)」という言葉。ミストレスは古くから使われていた単語で、ミスター(mister)の対義語です。

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