この記事では「かしこまりました」と「承知しました」の違いについてみていきます。両方ともビジネスの場で使う機会がある言葉ですが、丁寧な意味合いが強いのはどちらの語句でしょうか。どちらを使ったら適切なのか、上司や社外のお客様に使えるのかどうか迷ってしまう人もいるようです。今回はビジネスシーンで使われる言葉の違いについて、文学部卒のライター海辺のつばくろと一緒にみていきます。

ライター/海辺のつばくろ

2つの言葉の違いが気になり調べてみようと考えた、海外のミステリ小説を愛好するライター。

「かしこまりました」「承知しました」はビジネスシーンで使う

「かしこまりました」「承知しました」は、ビジネスシーンで使われる謙譲語。目上の相手から質問要望命令や指示などに対して「分かった」「理解した」「引き受ける」といった意味合いで返事をする際に使う印象があります。オフィスで上司に返事をする、サービス業でお客様からリクエストがあった時に応対する時などに使うかもしれません。

「かしこまりました」はどんなイメージ?

image by iStockphoto

「かしこまりました」という返事の仕方は、仕事ではお客様や社外の人に対して、強い敬意を示して使うイメージがありますね。上司であれば、かなり上役の方。直属の上司にはあまり使わないかもしれません。

「かしこまりました」は謙譲語

「かしこまりました」は謙譲語。自分がへりくだって相手を高める意味合いが強い言葉です。「承知しました」と比べてあまり耳にする機会がないという方もいるようですね。

「かしこまりました」漢字の表記

「かしこまりました」の漢字表記は「畏まりました」。「畏」には、恐れ多い、つつしむなどの意味があります。相手を敬いながら間違いがあってはならないと身を慎むという意味合いで使われる字です。相手に対して気兼ねするような感じがしますね。

\次のページで「「かしこまりました」違和感のない間柄は?」を解説!/

「畏」意味
1.おそれる。敬服する
2.かしこい。おそれおおい。おそれうやまう
3.かしこまる。つつしむ

漢字のなりたち
象形。おにが手にむちを持ったさまにかたどり、おどす、転じて「おそれる」意を表す。

出典:公益財団法人 日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』

「かしこまりました」違和感のない間柄は?

「かしこまりました」を使うには、主に目上の方からの依頼や命令などがあった時に「分かった」という意味で返事する時に使います。上司や社外のお客様に対して使うと違和感がありません。ただし、上司や顧客によっては「かしこまりました」と言われると「堅苦しい」というイメージを持つ方もいるようです。

・お客様からのご要望があり「かしこまりました」と答えた。
・上司が顧客との面会の場所を指定した時、秘書が「かしこまりました」と返事をしていた。
・顧客から荷物の時間指定の依頼があった。「かしこまりました」と返信メールに記載した。
・日程の変更の打診があり、会場の飲食店に電話をかけたら「かしこまりました」と快く応じてくれた。

\次のページで「「承知しました」はどんなイメージ?」を解説!/

「承知しました」はどんなイメージ?

image by iStockphoto

「承知しました」もやはり一般的なビジネスシーンで、目上の方からの返答に「分かった」という意味で使われるイメージがありますね。「かしこまりました」よりも広く使われ話し言葉でも書き言葉でも違和感ないと感じる方もいるようです。

「承知しました」も謙譲語

「承知しました」も謙譲語。目上の相手の要望や提案や指示やリクエスト、質問や命令などに「分かった」「引き受けた」理解した」という意味合いで、返事をする際に使います。

さらに丁寧にしたい場合は「(~の動作を)する」の謙譲語「いたす」を付けて「承知いたしました」ということも。ただし、「かしこまりました」と同様に堅苦しい返事のように思われるかもしれません。

「承知しました」違和感のない間柄は?

「承知しました」は社内の目上の方に使うのが一般的です。お客様など社外の方には、多少堅苦しい感じがしても「かしこまりました」を使うのが無難でしょう。

「承知しました」は直属の上司にも先輩のような親しい間柄にも使えます。同僚や後輩など、普段はくだけた言葉遣いをする間柄でも使う場合も。例えば、プレゼンの最中や社外の人がいる前など、改まった言葉で話すべき場でも使って差し支えないでしょう。

・上司にメールで「指示について承知しました」と返信した。
・打ち合わせ中、同僚の問いかけに「〇〇さん、先日の件承知しています」と答えた。
・課長の要望に「承知しました」と返事をした。
・部長に『「承知しました」で構わないよ。「承知いたしました」だと何だかすごく偉そうな感じじゃない?』と言われた。

「承知しました」は使わない方がいい?

ただ、「承知しました」を敬語として使わない方が良いのではと考える人もいる模様。「承知」は単に「(事情を)知る、分かる」という意味なので、敬意は含まれないのではというのが言い分です。

しかし、「」には「うけたまわる」という意味があります。これは「受ける」に「賜る(たまわ-る)」が付いた語で、「受ける」に謙譲の意味をもたせた語。それゆえに謙譲語として目上の方に使うのにふさわしい語と考える方が多いです。解釈が分かれますが、こちらの記事では「承知しました」を謙譲語として扱っています。

\次のページで「「了解しました」との違いは?」を解説!/

「承」の意味
1.うける。うけつぐ。
2.うけたまわる。ひきうける。

なりたち
象形。座っている人を両手でかつぎあげている形にかたどり、上位の者を助ける意を表す。
転じて「うける」意に用いる。

出典:公益財団法人 日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』

「了解しました」との違いは?

image by iStockphoto

了解しました」も「分かった」「理解した」という意味。しかし、「かしこまりました」「承知しました」とは違い、謙譲の意味を持たない言葉です。敬語として使うには不適切と考える方が多いようですね。

「了解しました」使ってよい間柄とは?

敬意が含まれないため、同僚や後輩のように同じ立場の人や年下の人にも使えます。許される範囲内といえば、親しくしている先輩であれば問題ないかもしれません。しかし、上司や顧客など目上の方に使うのは持ってのほかです。

特に、メールでの返信や目上の方に対してSNSなどのメッセージを送る際に、「了解!」といった内容のスタンプを送っていませんか。後輩が上司に「了解しました」と返事をしているのを見かけて、「ヒヤヒヤする」といった感想を持った方もいるようですよ。

「かしこまりました」の方が「承知しました」よりも堅い言葉

「かしこまりました」も「承知しました」も、「分かった」「理解した」といった意味合いで返答する時に使える謙譲語。ただ、「かしこまりました」の方がよりつつしみ深く、堅い雰囲気がします。社外の顧客や立場がかなり上の上司にはかしこまりました」、直属の上司や親しい関係の先輩であれば「承知しました」でよいでしょう。

" /> 「かしこまりました」「 承知しました」の違いとは?「了解しました」とどう違う?文学部卒のライターがわかりやすく解説! – Study-Z
雑学

「かしこまりました」「 承知しました」の違いとは?「了解しました」とどう違う?文学部卒のライターがわかりやすく解説!

この記事では「かしこまりました」と「承知しました」の違いについてみていきます。両方ともビジネスの場で使う機会がある言葉ですが、丁寧な意味合いが強いのはどちらの語句でしょうか。どちらを使ったら適切なのか、上司や社外のお客様に使えるのかどうか迷ってしまう人もいるようです。今回はビジネスシーンで使われる言葉の違いについて、文学部卒のライター海辺のつばくろと一緒にみていきます。

ライター/海辺のつばくろ

2つの言葉の違いが気になり調べてみようと考えた、海外のミステリ小説を愛好するライター。

「かしこまりました」「承知しました」はビジネスシーンで使う

「かしこまりました」「承知しました」は、ビジネスシーンで使われる謙譲語。目上の相手から質問要望命令や指示などに対して「分かった」「理解した」「引き受ける」といった意味合いで返事をする際に使う印象があります。オフィスで上司に返事をする、サービス業でお客様からリクエストがあった時に応対する時などに使うかもしれません。

「かしこまりました」はどんなイメージ?

image by iStockphoto

「かしこまりました」という返事の仕方は、仕事ではお客様や社外の人に対して、強い敬意を示して使うイメージがありますね。上司であれば、かなり上役の方。直属の上司にはあまり使わないかもしれません。

「かしこまりました」は謙譲語

「かしこまりました」は謙譲語。自分がへりくだって相手を高める意味合いが強い言葉です。「承知しました」と比べてあまり耳にする機会がないという方もいるようですね。

「かしこまりました」漢字の表記

「かしこまりました」の漢字表記は「畏まりました」。「畏」には、恐れ多い、つつしむなどの意味があります。相手を敬いながら間違いがあってはならないと身を慎むという意味合いで使われる字です。相手に対して気兼ねするような感じがしますね。

\次のページで「「かしこまりました」違和感のない間柄は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: