今回のテーマは「金環日食」、日食の一種です。

そもそも日食とは何か。日食とは地球と月、太陽と一直線に並んだときに月によって光が遮られて太陽が欠けげ見える現象のことです。時々ニュースで話題になっており、実際に見たことがある人もいるでしょう。では普通の日食と金環日食は何が違うのか。このポイントは月の見せかけの大きさにある。

今回は金環日食はについて、仕事大好き職場大好きな化学系科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学系の化学一筋リケジョ。実験大好き、仕事大好き、職場大好きで趣味はプラネタリウム鑑賞とサイエンスショーのネタ作り。

金環日食って何?普通の日食と何が違うの?

金環日食とはどんな現象でしょうか。普通の日食と比較しながら確認していきます。

辞書から見る日食

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始めに、日食を辞書で調べてみましょう。辞書には次のように書かれています。

日食は、太陽が月によって隠される現象である。日蝕とも書く。
太陽全部が隠される皆既食(皆既日食)、一部分が隠される部分食(部分日食)、太陽が黒い月の縁に沿ってリング状にはみ出す金環食(金環日食)がある。
日食のときは、太陽―月―地球がほぼ一直線に並び、太陽による月の影が、地上に投影される。本影(太陽面からの光がまったく届かない影)が地上に達するとき、本影内では皆既食、半影(太陽面からの一部の光が届いている影)の地域では部分食、本影が地球に達しないときには金環食となる。

[コトバンク 日食]

「むしばむ」という意味の。蝕とはある天体が他の天体の一部または全部を覆い隠す現象のことです。日食以外に、月食もよく知られています。これは月と太陽の間に地球が位置し、地球が月に降り注ぐ太陽の光を遮ることで起こる現象です。続いて、金環日食に意味も調べてみましょう。

地球、月、太陽が、ほぼ一直線に並ぶとき、太陽が月に隠される天文現象を日食といい、このうち、太陽の方が月より大きく見えるために、太陽が完全に隠れず月の外周にリング状に見える現象を金環日食(または金環食)という。

[コトバンク 金環日食]

\次のページで「日食の種類」を解説!/

日食の種類

日食の種類

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日食とは太陽-月-地球がほぼ一直線に並んだ時に起きる、太陽の光が月によってさえぎられる現象です。これは先ほど確認しましたね。そして日食は、太陽の隠れ方によって以下のように分類されます。

皆既日食 太陽全部が隠れる
部分日食 一部分が隠れる
金環日食 太陽が黒い月の縁に沿ってリング状にはみ出す日食

今回のテーマ、金環日食。金環日食は太陽の光の一部が月に収まらずに漏れ、金の指輪のように見える現象のことなのです。

なぜ金環日食がおきるの?

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日食が起きるのは、太陽-月-地球がほぼ一直線に並ぶと太陽の光が月によって遮られてしまうからです。ではなぜ太陽が全部隠れてしまう皆既日食、一部が隠れる部分日食、そしてまるで指輪のように太陽がはみ出して見える金環日食と見え方の違う日食が起きるのでしょうか。まずひとつめのポイントは本影半影です。

本影・半影とは?

本影・半影とは?

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本影とは、太陽の光が届かない月の影のこと、そして半影とは太陽の光の一部が届く月の影のことです。

月の本影が地球に届いた時、皆既日食が起こります。そして太陽が月よりも大きく見えて、月が太陽を隠し切れないときに金環日食が起こるのです。このメカニズムは後程解説します。

この本影に入る面積は非常に狭く、皆既日食や金環日食になるのは狭い範囲です。一方、半影は太陽光の一部が届いています。この半影に入るとの部分日食が起こるのです。この半影に入る範囲は本影に比べてずっと広い範囲となっています。そのため、部分日食は皆既日食や金環日食に比べて観察しやすいのです。

日食について知りたい人は、こちらの記事を読んでくださいね。

\次のページで「地球から見える月の大きさ」を解説!/

地球から見える月の大きさ

地球から見える月の大きさ

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ここで先ほど触れた地球から見える月と太陽の大きさについて説明します。

月が地球の周りを回る公転軌道は、楕円形です。そのため、月と地球の距離は一定ではありません。近い時は地球から月まで約35万㎞ですが、遠い時は約40万㎞ほどです。だいぶ距離が違いますね。これだけ距離が違うと地球から見える月の直径は10%近く異なります。ちなみに月の直径は3,474kmです。

月が地球に近い時は太陽は月にすっぽりと覆われて皆既日食になります。一方、地球から月までの距離が遠い時、月は太陽よりも小さく見えるのです。すると太陽がはみ出して月の周りに輪が見える金環日食が起こります。

日食の観察

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日食はどうやって観測するのでしょうか。

強い光を放つ太陽。肉眼はもちろん、サングラスや黒いフィルターなどで見るのも危険です。一番手軽な方法は日食グラス。これは目の前にかざすことで、手軽に日食を観察することができます。ただし、使い方を誤ると目を傷める危険性があるので、必ず使い方を確認してくださいね。また、望遠鏡に太陽投影板を取り付けて投影する、手鏡に反射させた太陽光を壁に移してみるといった手法もあります。

あわせて確認 太陽&月食

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日食と一緒に覚えておきたいキーワードが太陽月食です。太陽のつくりや、月食にメカニズムについて解説していきます。

もっと知りたい、太陽

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まずは、日食に欠かせない太陽についておさらいしましょう。

太陽は自ら光を発する恒星の一種です。地球から最も近い恒星で、太陽系の惑星はこの太陽の周りを公転しています。太陽系の惑星といえば地球の他に、水星や金星がありますね。太陽はとても重たい星で、その質量はなんと1.989× 1030 kg。太陽系全体の質量の99.8%を占めています。この太陽のおかげで地球は生物が生きるのに必要な光と熱を得ているのです。

太陽についてはこちらの記事をどうぞ。

個性的な太陽系の惑星についてはこちらの記事がおすすめです。

太陽エネルギーについてはこちらの記事がおすすめです。

月食と日食は何が違う?

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日食が太陽の光を月が遮って起きるに対し、地球が太陽の光を遮って起きるのが月食です。日食が太陽-月ー地球と並ぶのに対し、月食は太陽ー地球-月という並びになって起こります。日食と月食の違いは、太陽の光を遮るのが月なのか地球なのかという事なのですね。

月食には皆既月食部分月食、そして半影月食の3種類があります。日食同様、月食にも太陽からの光が全く届かない本影、本影の外側で太陽の光が部分的に届く半影があるためです。皆既月食とは本影にすっぽりと隠れる月食で、部分月食とは月の一部が暗くなる月食のことで、さらに半影の部分では半影月食が起こります。これは、月の一部分がわずかに暗くなる月食です。

金環日食まとめ

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金環日食は日食の一種で、月に隠れきれなかった太陽の光が漏れて環のように見える現象のことです。日食には皆既日食、部分日食、金環日食と種類があるので、その違いを押さえておきましょう。日食は太陽-月-地球と一直線に並んだ時に起こります。一方、月食は太陽-地球-月と一直線に並んだ時に起こるのです。こちらもチェックしておいてくださいね。

太陽はとても強い光を放ち、そのまま見るのは大変危険です。観測するときは日食グラスなど太陽を観測するための道具を使いましょう

金の環、金環日食

太陽と月、地球が一直線に並び、月が太陽の光を遮った時に日食が起こります。地球と月との距離は一定ではありません。地球と月が近い時は太陽がすっぽりと隠れる皆既日食が起こり、地球と月が離れていると月の見せかけの大きさが小さくなるので太陽の光が月の周りに漏れてわっかのように見えるのです。

まばゆい光を放つ太陽の観察は注意事項がたくさんあります。日食の観察をするときは、注意事項をよく確認し、必要な道具をそろえてから行って下さいね。

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地学理科

「金環日食」ってどんな日食?日食の種類とその違いを科学館職員がわかりやすく解説

今回のテーマは「金環日食」、日食の一種です。

そもそも日食とは何か。日食とは地球と月、太陽と一直線に並んだときに月によって光が遮られて太陽が欠けげ見える現象のことです。時々ニュースで話題になっており、実際に見たことがある人もいるでしょう。では普通の日食と金環日食は何が違うのか。このポイントは月の見せかけの大きさにある。

今回は金環日食はについて、仕事大好き職場大好きな化学系科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学系の化学一筋リケジョ。実験大好き、仕事大好き、職場大好きで趣味はプラネタリウム鑑賞とサイエンスショーのネタ作り。

金環日食って何?普通の日食と何が違うの?

金環日食とはどんな現象でしょうか。普通の日食と比較しながら確認していきます。

辞書から見る日食

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始めに、日食を辞書で調べてみましょう。辞書には次のように書かれています。

日食は、太陽が月によって隠される現象である。日蝕とも書く。
太陽全部が隠される皆既食(皆既日食)、一部分が隠される部分食(部分日食)、太陽が黒い月の縁に沿ってリング状にはみ出す金環食(金環日食)がある。
日食のときは、太陽―月―地球がほぼ一直線に並び、太陽による月の影が、地上に投影される。本影(太陽面からの光がまったく届かない影)が地上に達するとき、本影内では皆既食、半影(太陽面からの一部の光が届いている影)の地域では部分食、本影が地球に達しないときには金環食となる。

[コトバンク 日食]

「むしばむ」という意味の。蝕とはある天体が他の天体の一部または全部を覆い隠す現象のことです。日食以外に、月食もよく知られています。これは月と太陽の間に地球が位置し、地球が月に降り注ぐ太陽の光を遮ることで起こる現象です。続いて、金環日食に意味も調べてみましょう。

地球、月、太陽が、ほぼ一直線に並ぶとき、太陽が月に隠される天文現象を日食といい、このうち、太陽の方が月より大きく見えるために、太陽が完全に隠れず月の外周にリング状に見える現象を金環日食(または金環食)という。

[コトバンク 金環日食]

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