この記事では摂氏と華氏の違いについてみていきます。どちらも温度表記の種類のことです。
海外の旅行先で天気予報を見ると、「86度?!」とびっくりすることもあるでしょう。これは、使われている温度表記が異なるからです。そんな。摂氏と華氏にはどのような違いがあり、どのような国で使われているでしょうか。
今回はそんな摂氏と華氏の違いや使用されている国、さらに変換方法についても雑学好き現役大学院生ライターにききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

植物について研究している現役大学院生。生物や植物だけでなく、言語や旅行、文化などあらゆるジャンルにも興味がある。誰もが面白い・分かりやすいと思ってくれるようなライターを目指している。

摂氏と華氏とは?

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世界には「摂氏」と「華氏」の2つの温度表記があります。日本では、摂氏が採用されており、天気予報や体温計などで、温度は摂氏の単位である「℃」で表記されていますよね。しかし、海外の天気予報などを見ると、温度表記が違っている!なんてこともあるでしょう。

そんな両者には、どのような違いがあるのでしょうか。単位や使われている国、名前の由来に注目しながら、摂氏と華氏の違いについてみていきましょう。

違い1. それぞれの単位の違いとは?

はじめに、摂氏と華氏の単位について注目してみましょう。数値が異なるということは、単位も変わってくるのです。そのため、両者の基準となる温度の水の「沸点」と「融点」、そして絶対零度についてもみていきます。摂氏と華氏の最も大きな違いなので、しっかりと覚えておきましょう。

摂氏:単位は℃

摂氏の単位は「℃」です。摂氏の水の融点、沸点、絶対零度は以下の通り。

水の融点:0℃
水の沸点:100℃
絶対零度:-273.15℃

そもそも、「融点」とは固体が液体になり始める温度のことで、「沸点」とは、液体が沸騰する温度のことを言います。摂氏の場合、融点と沸点の差がちょうど100になっていますよね。

華氏:華氏は℉

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華氏の単位は「℉」です。華氏の場合、水の融点、沸点、絶対零度は以下の通り。

水の融点:32℉
水の沸点:212℉
絶対零度:-459.67℉

摂氏の時、水の融点と沸点の差は100ありましたが、華氏の場合、水の融点と沸点の差は180もあります。このことから、摂氏1℃は華氏1.8℉に相当することになるのです。

違い2. それぞれが使われている国とは?

日本での温度表記は摂氏を利用しますよね。しかし世界では、摂氏ではなく華氏を温度表記として利用する国もあるのです。ここでは、どのような国が摂氏、華氏を採用しているのかをご紹介します。特に、華氏で温度表記する国に訪れる時は役に立つかもしれませんね。

摂氏:「国際単位系」を採用する国

世界中のほとんどの国々は、温度表記に摂氏を使用します。実は、これらの国々は共通して国際単位系(SI単位系)を採用しているのです。

国際単位系とは、世界的な基準として定められた基本単位のことを言います。この国際単位系には、温度のほかに、長さ(m)・質量(Kg)・秒(s)・電流(A)・光度(cd)の単位もSI基本単位として定めていますよ。つまり、国際単位系を採用するとなると、必ず摂氏(℃)を使用しなければならないのです。

華氏:アメリカやバハマ、パラオなどの一部の国

多くの国々が摂氏を採用している中、アメリカやパラオ、バハマなどの国々は華氏を使って温度表記しています。華氏は、摂氏のように負の数で表すことがなく、正の数だけで気温などを表すことができるのです。この特徴が良いとしている国は、国際単位系の摂氏ではなく、華氏を使い続けているのでしょう。

\次のページで「違い3. それぞれの名前の由来とは?」を解説!/

違い3. それぞれの名前の由来とは?

実は、摂氏と華氏はどちらも、それぞれを考案した科学者の名前に由来するのです。ここでは、摂氏と華氏の発明者と、2つの温度表記がどのように誕生したのかについても解説していきます。摂氏と華氏は名前が似ていてややこしいですが、その由来を知ることで、頭に入りやすくなりますよ。

摂氏:発明者はアンデルス・セルシウス

摂氏は英語で、「degrees Celsius」と表され、これは摂氏を考案したスウェーデンの天文学者・測地学者である「アンデルス・セルシウス」から取ったもの。また、セルシウスは中国語で「摂爾修斯」と表記され、この最初の文字を取って「摂氏」としたのです。

セルシウスは1742年に、世界初の実用的温度計を提唱しました。しかし、この温度計は水の沸点を0度とし、水の融点を100度とし、現在のセルシウス温度計と逆の目盛りとしていたのです。その後、生物学者のカール・フォン・リンネらによって目盛りは水の融点を0度、沸点を100度へと改定しました。

華氏:発明者はガブリエル・ファーレンハイト

華氏は英語で、「degrees Fahrenheit」と表され、これは華氏を提案したドイツの技術者・物理学者である「ガブリエル・ファーレンハイト」から取ったものと言われています。また、ファーレンハイトは中国語で「華倫海」と書くことができ、この最初の文字を取って「華氏」としたのです。

ファーレンハイトは1724年に、およそ10年かけて開発した水銀温度計を発表。この時、水ではなく塩化アンモニウム、氷、水の混合物でできた寒剤の融点を0度としていたのです。これは、日常生活で温度がマイナスで表記にならないようにするためだと言われています。

摂氏と華氏の変換式とは?

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普段、使い慣れていない温度表記では感覚がつかみづらいですよね。そこで、ここでは摂氏から華氏、また華氏から摂氏への変換式についてご紹介します。慣れないうちは、これらの式で、使い慣れた温度表記で気温や体温を把握しておきましょう。

摂氏から華氏への変換

水の融点は、摂氏では0℃で、華氏では32℉でした。つまり華氏の数値が摂氏の数値より32高いことになります。また、摂氏の1℃は華氏1.8℉に当たるので、華氏の温度変化は摂氏の1.8倍ということになるのです。

これらを踏まえると、摂氏から華氏への変換式は以下のようになります。

\次のページで「華氏から摂氏への変換」を解説!/

摂氏(℃)=(華氏(℉)-32)÷1.8

華氏から摂氏への変換

華氏から摂氏への変換式は、摂氏から華氏への変換式と真逆のことを行えば良いです。華氏の温度変化は摂氏の1.8倍あるため、はじめに摂氏に1.8を掛け、華氏の数値は摂氏の数値より32高いので、最後に32を足します

すると、華氏から摂氏への変換式は以下の通りになるのです。

華氏(℉)=摂氏(℃)×1.8+32

摂氏と華氏は融点や沸点が異なる!

温度表記には摂氏と華氏の2種類があるのでした。日本を含む多くの国々は摂氏(℃)と表記しますが、アメリカなどの一部の国々では、華氏(℉)で温度を表します。両者の最大の違いは沸点と融点でした。これにより、2つの温度表記に差が表れます。

華氏で温度表記する国にいる時、ご紹介した変換式で摂氏にして、気温や体温の感覚を掴んでみてくださいね。

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摂氏と華氏の違いとは?変換の計算についても雑学好き現役大学院生がわかりやすく解説

この記事では摂氏と華氏の違いについてみていきます。どちらも温度表記の種類のことです。
海外の旅行先で天気予報を見ると、「86度?!」とびっくりすることもあるでしょう。これは、使われている温度表記が異なるからです。そんな。摂氏と華氏にはどのような違いがあり、どのような国で使われているでしょうか。
今回はそんな摂氏と華氏の違いや使用されている国、さらに変換方法についても雑学好き現役大学院生ライターにききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

植物について研究している現役大学院生。生物や植物だけでなく、言語や旅行、文化などあらゆるジャンルにも興味がある。誰もが面白い・分かりやすいと思ってくれるようなライターを目指している。

摂氏と華氏とは?

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世界には「摂氏」と「華氏」の2つの温度表記があります。日本では、摂氏が採用されており、天気予報や体温計などで、温度は摂氏の単位である「℃」で表記されていますよね。しかし、海外の天気予報などを見ると、温度表記が違っている!なんてこともあるでしょう。

そんな両者には、どのような違いがあるのでしょうか。単位や使われている国、名前の由来に注目しながら、摂氏と華氏の違いについてみていきましょう。

違い1. それぞれの単位の違いとは?

はじめに、摂氏と華氏の単位について注目してみましょう。数値が異なるということは、単位も変わってくるのです。そのため、両者の基準となる温度の水の「沸点」と「融点」、そして絶対零度についてもみていきます。摂氏と華氏の最も大きな違いなので、しっかりと覚えておきましょう。

摂氏:単位は℃

摂氏の単位は「℃」です。摂氏の水の融点、沸点、絶対零度は以下の通り。

水の融点:0℃
水の沸点:100℃
絶対零度:-273.15℃

そもそも、「融点」とは固体が液体になり始める温度のことで、「沸点」とは、液体が沸騰する温度のことを言います。摂氏の場合、融点と沸点の差がちょうど100になっていますよね。

華氏:華氏は℉

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華氏の単位は「℉」です。華氏の場合、水の融点、沸点、絶対零度は以下の通り。

水の融点:32℉
水の沸点:212℉
絶対零度:-459.67℉

摂氏の時、水の融点と沸点の差は100ありましたが、華氏の場合、水の融点と沸点の差は180もあります。このことから、摂氏1℃は華氏1.8℉に相当することになるのです。

違い2. それぞれが使われている国とは?

日本での温度表記は摂氏を利用しますよね。しかし世界では、摂氏ではなく華氏を温度表記として利用する国もあるのです。ここでは、どのような国が摂氏、華氏を採用しているのかをご紹介します。特に、華氏で温度表記する国に訪れる時は役に立つかもしれませんね。

摂氏:「国際単位系」を採用する国

世界中のほとんどの国々は、温度表記に摂氏を使用します。実は、これらの国々は共通して国際単位系(SI単位系)を採用しているのです。

国際単位系とは、世界的な基準として定められた基本単位のことを言います。この国際単位系には、温度のほかに、長さ(m)・質量(Kg)・秒(s)・電流(A)・光度(cd)の単位もSI基本単位として定めていますよ。つまり、国際単位系を採用するとなると、必ず摂氏(℃)を使用しなければならないのです。

華氏:アメリカやバハマ、パラオなどの一部の国

多くの国々が摂氏を採用している中、アメリカやパラオ、バハマなどの国々は華氏を使って温度表記しています。華氏は、摂氏のように負の数で表すことがなく、正の数だけで気温などを表すことができるのです。この特徴が良いとしている国は、国際単位系の摂氏ではなく、華氏を使い続けているのでしょう。

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