この記事では中華料理と中国料理の違いについてみていきます。どちらも、中国に関係する料理であることは誰もが知っているでしょう。しかし、実は両者には決定的な違いがあることを知っているでしょうか。今回は、そんな中華料理と中国料理の特徴や代表的な料理についても触れながら、中華料理と中国料理の違いについて雑学好き現役大学院生ライターのききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

植物について研究している現役大学院生。生物や植物だけでなく、言語や旅行、文化などあらゆるジャンルにも興味がある。誰もが面白い・分かりやすいと思ってくれるようなライターを目指している。

中華料理と中国料理の違いとは?

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日本には、「中華料理」と名乗るお店と「中国料理」と名乗るお店がありますよね。どちらも中国の料理を提供するのですが、どのような違いがあるのでしょうか。実は、両者の最大の違いは、提供する料理の味付けにあるのです。それぞれについて詳しくみていきましょう。

中華料理:日本の人向けの味

中華料理のお店は、中国料理のお店よりもよく目にするかもしれません。そんな中華料理で出される料理は、主に日本の人向けの味付けされたものがほとんど

後ほど詳しく解説しますが、中国から渡ってきた料理はものすごく辛いものや日本では馴染みのない食材を使った料理がたくさんあります。このような料理は、日本の人の口には合わないので、辛さを抑えたり別の食材にしたりと食べやすいようにアレンジされているのです。

中国料理:本場中国の味

一方で、中国料理を提供するお店では、本場・中国の味を堪能することができるのです。中国料理と言っても、広い面積を持つ中国には、地域ごとの特色を持った様々な料理があります。

リアルな中国の料理を試したいのであれば、中国料理のお店に行くと良いでしょう。日本の人でも案外、美味しいと感じる料理があるかもしれませんね。また、日本にいる中国の人が祖国の味を楽しめそうですよね。

中華料理の特徴とは?

中華料理の特徴とは、日本の人でも食べやすいようにアレンジされた中国の料理のことでした。ここからは、中華料理はいつから食べられるようになったのか、また、中華料理にはどのようなものがあるのかについて解説していきます。

いつから食べられるようになったの?

日本に中国料理が伝わったのは、江戸時代とされています。最初は長崎に伝わり、そこでは中国の精進料理である「普茶料理(ふちゃりょうり)」や、日本料理と中国料理、西欧料理の要素が合わさった宴会料理である「卓袱料理(しっぽくりょうり)」が広まりました。

その後、明治時代になると一般の人の間にも、中国料理が広まり始めます。日本の鎖国が終了すると、華僑の人たちが一斉に中国料理のお店を開いたのです。そこで、日本の人の味覚に合わせるようにアレンジされたものが今の中華料理になりました。

中華料理にはどんなものがあるの?

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中華料理の特徴や歴史について解説しました。ここからは、中国料理と見せかけて、実は、日本人向けにアレンジされていた代表的な中華料理をご紹介します。中国本場の料理だと思っていたものが、意外と日本発祥のものかもしれませんね。

天津飯:中国の天津には天津飯は存在しない。
中華丼:日本の中華料理店のまかないとして作られた。ご飯の上に八宝菜をかけたもの。
エビチリ:エビを使った辛い料理はあるが、ケチャップを使って日本人向けに辛さを抑えた。
冷やし中華:中国の涼拌麺(リャンパンメン)とざるそばを合わせたようなもの。

中国料理の特徴とは?

中国料理とは、中華料理のように日本人向けにアレンジされたものではなく、中国の本場の味つけの料理のことでしたね。そんな中国料理は、地域によって様々な食材を使用し、多種多様な味付けが施されます。そのため、中国料理は、さらに8種類に分けることができるのです。八代菜系と呼ばれ、

\次のページで「1. 広東料理:高級食材を使った料理が多い」を解説!/

・広東料理
・四川料理
・山東料理
・江蘇料理
・福建料理
・浙江料理
・湖南料理
・安徽料理

があります。それぞれの料理について詳しくみていきましょう。

1. 広東料理:高級食材を使った料理が多い

広東省で発展し広東料理は、フカヒレやアワビ、伊勢エビなどの高級食材を使うことがほとんど。昔から中国国内で、「食は広州にあり」と言われるほど食材が豊富な地域なのです。上質な食材の味を消さないように、味付けはあっさり。使う調味料はオイスターソースやアワビソースなどの高級なものばかりです。

代表的な料理として、「飲茶」「フカヒレスープ」、レタスにオイスターソースをかけた「蠔油生菜」、子豚を丸々焼いた「片皮乳猪」「叉焼」などがあります。

2. 四川料理:麻辣な味付けが特徴的

四川料理が誕生した四川省は、夏になると気温が非常に高くなります。辛いものは夏バテに効くと言わますよね。四川省で辛い料理が広まったのは、この気候が関係していると考えられるのです。

四川料理には、花椒を使った痺れるほどの辛さである「麻辣」なものがほとんど。他にも、青唐辛子を使った「鮮辣」や、花椒と唐辛子をふんだんに使った「香辣」、唐辛子とニンニクやショウガを発酵させた辛さの「糟辣」など、様々な辛さを味わえます。

四川料理の代表的な料理として、花椒や唐辛子などを加えた鍋の「火鍋」「担々麺」、肉を油入りの汁で煮込んだ「水煮肉片」などがありますよ。

3. 山東料理:北京料理の原型

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東シナ海に隣接している山東省には、エビやホタテ、ナマコやアワビなどの魚介類を使った料理がたくさんあります。また、黄河も通っていることから、淡水魚などの川魚も豊富です。山東料理はさらに「済南料理」、「膠東料理」、「曲阜料理」に分類されます。どの料理も味付けは少し塩辛く、食材の臭みを取り除くために香辛料もよく使われているのです。

代表的な料理として、きくらげと豚肉と卵を炒めた「木須肉」や豚肉や牛肉、サワラ、ニラやハクサイなどを使った「水餃子」「燕の巣のコンソメ煮込み」、ナマコを使った「蟹黄海参」などが挙げられますよ。

4. 江蘇料理:上海料理の原型

江蘇料理は、「揚州料理」、「蘇州料理」、「南京料理」の3つに分けられます。上海料理の原型とも言われており、豊かな大地で育った農作物や長江や東シナ海で獲れる川魚や海の幸を使った料理が特徴的です。味付けはシンプルなものが多く、食材が軟らかくなるまで煮込ませることがほとんど。

代表的な料理としてジギョを蒸した「清蒸鰣魚」、豚、アヒル、ケツギョのチャーシューの「南京三叉」、ネギやショウガを練り込んだ肉団子の「獅子頭」などがあります。

5. 福建料理:あっさりとした味付けが特徴的

福建料理は「福州料理」、「閩南料理」、「閩西料理」の3つで構成されています。全体的にあっさりとした料理が多く、辛さも抑えられているので、日本の人でも比較的食べやすいです。

また、海に面していることからナマコやイカなどの海鮮や、山で採れるシイタケやタケノコなどを使用します。特にスープが重視されており、「百湯百味」と言われるほど、様々な材料や調理方法によってでき、その種類は多種多様です。

福建料理の代表例として、豚肉とサツマイモを蒸した「肉燕皮」、カキの卵焼き「海蠣煎」、アワビやナマコなどの煮込んだ「仏跳壁スープ」などがあります。

\次のページで「6. 浙江料理:食材本来の味を堪能できる」を解説!/

6. 浙江料理:食材本来の味を堪能できる

海と山、そして川と自然に恵まれている浙江省。ここで誕生した浙江料理は、野草や淡水魚、海鮮などの食材を本来の味で楽しむために、さっぱりとした味付けがされていることが特徴的です。浙江料理はさらに、「杭州料理」、「温州料理」、「紹興料理」、「寧波料理」の4つの地域の料理で構成されています。

代表的な料理として、エビと龍井茶葉を炒めた「龍井蝦仁」やソウギョの甘酢あんをかけた「西湖醋魚」、皮付きの豚バラ肉の角煮「東坡肉」などがありますよ。

7. 湖南料理:四川料理よりも辛い!

中国の辛い料理と言えば四川料理のイメージが強いでしょう。しかし、実は、湖南料理には四川料理を超える激辛料理がたくさんあるのです。四川料理と言えば痺れる辛さを意味する「麻辣」な味付けされた料理が多いのですが、湖南料理は辛味と酸味が効いた「酸辣」な味がほとんど。

代表例として、魚の頭と唐辛子を蒸した椒魚頭」や酸味と辛味、香味が効いた「酸辣湯」、黒い漬汁に漬けた豆腐に激辛タレをかけた「黒臭豆腐」などがあります。

8. 安徽料理:山と川で採れる食材を使う

海に面していない安徽省で誕生した安徽料理。安徽料理はさらに、「徽州菜」、「沿江菜」、「沿淮菜」の3種類に分けられます。川魚や山で採れる山草やキノコ、茶、野生動物を食材として使った料理が多いです。また、「医食同源」と体に良いものを食べる考え方が発展したことから、薬膳を使った料理もあります。

代表的な例として、揚げた鳥と薬草を煮込んだ「符離集燒鶏」や白い毛カビで覆われた豆腐を焼いて薬味や香菜などをつける「虎皮毛豆腐」、中国ハムとスッポンを煮込んだ「火腿燉甲魚」などがありますよ。

中華料理は日本人向け、中国料理は本場の味!

中華料理と中国料理の違いは、味付けでした。中華料理は、中国から日本に渡ってきた料理をアレンジしたものに対し、中国料理は本番の味が再現されたものです。中華料理は日本の人にとって馴染み深いですが、本番の味にチャレンジしてみることも良いかもしれませんね。

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雑学食べ物・飲み物

中華料理と中国料理の違いとは?日本人向けなのはどっち?特徴や代表的な料理も雑学好き現役大学院生が詳しくわかりやすく解説

この記事では中華料理と中国料理の違いについてみていきます。どちらも、中国に関係する料理であることは誰もが知っているでしょう。しかし、実は両者には決定的な違いがあることを知っているでしょうか。今回は、そんな中華料理と中国料理の特徴や代表的な料理についても触れながら、中華料理と中国料理の違いについて雑学好き現役大学院生ライターのききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

植物について研究している現役大学院生。生物や植物だけでなく、言語や旅行、文化などあらゆるジャンルにも興味がある。誰もが面白い・分かりやすいと思ってくれるようなライターを目指している。

中華料理と中国料理の違いとは?

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日本には、「中華料理」と名乗るお店と「中国料理」と名乗るお店がありますよね。どちらも中国の料理を提供するのですが、どのような違いがあるのでしょうか。実は、両者の最大の違いは、提供する料理の味付けにあるのです。それぞれについて詳しくみていきましょう。

中華料理:日本の人向けの味

中華料理のお店は、中国料理のお店よりもよく目にするかもしれません。そんな中華料理で出される料理は、主に日本の人向けの味付けされたものがほとんど

後ほど詳しく解説しますが、中国から渡ってきた料理はものすごく辛いものや日本では馴染みのない食材を使った料理がたくさんあります。このような料理は、日本の人の口には合わないので、辛さを抑えたり別の食材にしたりと食べやすいようにアレンジされているのです。

中国料理:本場中国の味

一方で、中国料理を提供するお店では、本場・中国の味を堪能することができるのです。中国料理と言っても、広い面積を持つ中国には、地域ごとの特色を持った様々な料理があります。

リアルな中国の料理を試したいのであれば、中国料理のお店に行くと良いでしょう。日本の人でも案外、美味しいと感じる料理があるかもしれませんね。また、日本にいる中国の人が祖国の味を楽しめそうですよね。

中華料理の特徴とは?

中華料理の特徴とは、日本の人でも食べやすいようにアレンジされた中国の料理のことでした。ここからは、中華料理はいつから食べられるようになったのか、また、中華料理にはどのようなものがあるのかについて解説していきます。

いつから食べられるようになったの?

日本に中国料理が伝わったのは、江戸時代とされています。最初は長崎に伝わり、そこでは中国の精進料理である「普茶料理(ふちゃりょうり)」や、日本料理と中国料理、西欧料理の要素が合わさった宴会料理である「卓袱料理(しっぽくりょうり)」が広まりました。

その後、明治時代になると一般の人の間にも、中国料理が広まり始めます。日本の鎖国が終了すると、華僑の人たちが一斉に中国料理のお店を開いたのです。そこで、日本の人の味覚に合わせるようにアレンジされたものが今の中華料理になりました。

中華料理にはどんなものがあるの?

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中華料理の特徴や歴史について解説しました。ここからは、中国料理と見せかけて、実は、日本人向けにアレンジされていた代表的な中華料理をご紹介します。中国本場の料理だと思っていたものが、意外と日本発祥のものかもしれませんね。

天津飯:中国の天津には天津飯は存在しない。
中華丼:日本の中華料理店のまかないとして作られた。ご飯の上に八宝菜をかけたもの。
エビチリ:エビを使った辛い料理はあるが、ケチャップを使って日本人向けに辛さを抑えた。
冷やし中華:中国の涼拌麺(リャンパンメン)とざるそばを合わせたようなもの。

中国料理の特徴とは?

中国料理とは、中華料理のように日本人向けにアレンジされたものではなく、中国の本場の味つけの料理のことでしたね。そんな中国料理は、地域によって様々な食材を使用し、多種多様な味付けが施されます。そのため、中国料理は、さらに8種類に分けることができるのです。八代菜系と呼ばれ、

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