テレビやSNSで注目されているオートミールを知っているか?名前だけではどんな食べ物なのかちょっと想像しづらいかもしれないが、調べてみると体にいい栄養がたくさん含まれているみたいです。
今回はそんなオートミールについて、食育指導歴10年以上の元保育士ライター榎木えふと一緒に解説していきます。

ライター/榎木えふ

現在は我が子の育児を楽しむ元保育士。オートミールを長らく食生活に取り入れており、離乳食にも積極的に使っていた。10年以上食育に携わった経験を踏まえて食に関する知識をわかりやすく発信していく。

オートミールってどんな食べ物?

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オートミールは日本ではあまりなじみのない食べ物でしたが、欧米諸国ではごく身近な定番食材。外国の映画や絵本の食事シーンで登場することもあるので名前だけ聞いたことがあったり、どんな食べ物だろうと憧れを持ったりした方もいるかもしれませんね。ではさっそく、オートミールとはどんな食べ物なのか見ていきましょう。

オートミールは穀物の仲間

オートミールは燕麦(えんばく)という麦の仲間が原材料となります。燕麦は英語で「oat(オート)」と呼ばれ、日本ではオーツ麦と表示されることが一般的です。

オートミールは、このオーツ麦を一度蒸してから平らに押しつぶした加工がされています。種類によってはお米を割ったような形のものもありますよ。ちなみに、オートミールの名前の由来は、「oat(オーツ麦)」+「meal(食事)」です。

どんな味?そのまま食べられる?

原材料であるオーツ麦は穀物の一種なのでそのままだと噛むことも難しいほど固く乾燥しています。見た目は鳥のエサのように思えてしまうかも…。

米と同じように水分を含ませて加熱することで柔らかくなり、お粥や炊いたごはんに似た食感になります。オートミール自体に特徴的な味はありませんが、口に入れるとほんのりとした麦の香りとやさしい甘みを感じることができますよ。クセのない味なので他の食材や調味料との相性はばっちり。おいしく食べるためには調理が必要です。

ミューズリー・グラノーラとの違いは?

オートミール、ミューズリー、グラノーラは全てシリアルの仲間。シリアルとは、穀物を焼き上げて加工したもののことです。とうもろこしを原材料とするコーンフレークをイメージするとわかりやすいでしょう。

ミューズリーとは、オートミールにドライフルーツやナッツを加えたものです。味付けされていないことが多いですが、ドライフルーツの甘みやナッツの香ばしさが加わって食べやすくなっています。牛乳をかけてふやかしたり煮込んだりと簡単な調理が必要です。

グラノーラは、オートミールにハチミツやメープルシロップなどを混ぜてオーブンで焼き上げたもの。ドライフルーツやナッツの他に玄米、パンプキンシードなどが入っているものもあり商品によって様々です。甘い味がついているのでそのままサクサクと食べることもできますが、牛乳やヨーグルトをかけて食べるのが一般的。

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オートミールにはどんな栄養がある?

オートミールの原材料は燕麦という麦の仲間でしたね。炭水化物・タンパク質・脂質からなる三大栄養素の中では炭水化物にあたります。他にはどんな栄養素が含まれているのか見ていきましょう。

その1.食物繊維

オートミールは特に食物繊維が豊富。100gあたり9.4gが含まれています。玄米と同じで燕麦の実の最も外側にある固い皮の部分を取り除く加工がされていて、果皮や種皮・胚芽という糠(ぬか)の部分が残っているため食物繊維が豊富なのです。炊いた米では100gあたり0.3gなので、たくさん含まれていることがわかりますね。

その2.ビタミン類

ビタミンというと野菜や果物のイメージがあるかもしれませんが、オートミールにもビタミンは含まれています。

 身体を動かすエネルギーを作ったり皮膚や粘膜の健康を助けるビタミンB1。タンパク質をエネルギーに変え、健康な肌や髪、歯を作る働きを持つビタミンB6。カラダの老化や血管の老化、肌トラブル、生活習慣病の引き金になると言われる身体の酸化を抑える効果(抗酸化作用)があるビタミンEも豊富です。

その3.タンパク質

オートミール100gあたりのタンパク質量は13.7g。炊いた米100gでは2.5gなので、米の代わりに食べるのであれば高タンパク質と言えます。しかし、オートミールの一食量はおよそ30~50g程度。一日に必要とされるタンパク質量を満たすほどではないため、肉や魚介類、卵などと一緒に食べるとよいでしょう。

主食の中ではカロリーと糖質が低め

オートミールと白米100gあたりのカロリーと糖質を比べてみましょう。

オートミール:350Kcal、糖質59.7g
白米(炊飯後):156Kcal、糖質35.6g

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

オートミールの方が糖質もカロリーも多いですね。しかしこの数字は、それぞれ100gあたりの栄養量です。お米はお茶碗に軽く盛ると150g。オートミールは1食の量の目安である30gとして計算してみると、

オートミール:約106Kcal、糖質約18g
白米(炊飯後):234Kcal、糖質53.4g

つまり、1食分の量で比べてみるとオートミールは低カロリー低糖質と言うことができます。

健康や美容・ダイエット効果があるって本当?

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食事をオートミールに変えたらダイエットできたという成功談を、SNSやテレビで見聞きしたことはありませんか?これがオートミールが注目されるようになった理由のひとつ。ダイエットの他にも美容や健康によい影響を与える栄養素に注目してみましょう。

腸内環境の改善に期待

腸はエネルギーを作る働きをしている肝臓と関係していて、腸の機能に負担がかかると代謝が落ちる、つまり痩せにくくなってしまいます。

また、腸内に便が長く留まって悪玉菌が増殖すると、むくみや血行不良の原因となってダイエットに悪影響が出ることも。オートミールに多く含まれている食物繊維は便の量を増やし、大腸を刺激する働きでスムーズな排便をを助けます。便秘を解消して腸内環境を改善することはダイエット成功の第一歩なのです。

鉄分補給にぴったり

オートミール100gあたりの鉄分量は3.9gと、とても豊富。炊いた米100gでは0.1㎎なのでいかに優秀かがわかりますね。

鉄分は摂ったカロリーをエネルギーに変えたり、身体を動かすためのエネルギーや酸素を全身に届けたりする働きがあります。つまり、鉄分を十分に摂ると代謝が上がりやすくなってダイエットの効率アップ!栄養が身体の隅々に行き渡って健康な肌や髪を保つ美容効果が期待できるのです。また、ダイエット中に食事を控えていると鉄分も不足しがちになるので意識して摂りたい栄養素ですよ。

\次のページで「血糖値の上昇を穏やかにする低GI値食品」を解説!/

血糖値の上昇を穏やかにする低GI値食品

GI値とは、食後の血糖値の上がりやすさを示す指数のことです。血糖値が上がると膵臓から血糖を下げるインスリンというホルモンが分泌されるのですが、インスリンは脂肪を作る・脂肪の分解を抑えるというダイエットにとっては都合のよくない働きも持っています。GI値が低い食品を食べると食後の血糖値の上がり方が緩やかになり、食べたものが脂肪に変わりにくくなるのです

低GI値とは55以下の食品を指します。オートミールのGI値は55、炊いた米では88。オートミールはまさに低GI値食品と言えますね。

オートミールを食べる時の3つの注意点

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いいことづくめにみえるオートミールにも、食べる時に注意してほしいことがあります。3つ確認していきましょう。

その1.アレルギーに注意

食物アレルギーの原因のひとつにグルテンというタンパク質があります。小麦粉に含まれるグルテンは小麦アレルギーの原因。オートミールの原材料であるオーツ麦自体にグルテンは含まれていないのですが、オートミールを製造する工場で他の小麦製品を作っていて、小麦が混ざってしまう可能性があるため小麦アレルギーの方は要注意。商品の成分表をしっかり確かめてください。

赤ちゃんが成長するにつれて不足していく鉄分が豊富なためオートミールは離乳食にも適した食材ですが、まずはごく少量からスタートを。アレルギー症状が疑われた時にすぐに受診できるよう、病院が開いている時間に食べさせ始めるようにしましょう。

その2.適量を守って食べよう

オートミールは白米と比べてヘルシーな食材ですが、具材を足して調理すればその分のカロリーも増えますし、甘くて食べやすいグラノーラはそのものがカロリー高め。食べ過ぎればあっというまにカロリーオーバー、糖質の摂りすぎとなってしまいます

さらに、食物繊維の多く含まれた食材を食べ過ぎると腸の動きが良くなりすぎる、または消化不良となって下痢を起こすことがあります。逆に、便のカサが増えすぎてスムーズに排便されなくなり便秘になってしまうことも。食べ過ぎは禁物です。

その3.栄養バランスを意識しよう

栄養豊富なオートミールですがビタミンA・C・D・Kはほとんど含まれておらず、タンパク質もオートミールだけで1日の必要量を満たすことはできません。野菜や果物、きのこ類、肉・魚・卵などのタンパク質を食べると不足している栄養素を補うことができます。つまり、色々な食材と一緒にバランスよく食べることが大切です。

毎日の食生活に栄養豊富なオートミールを取り入れてみよう!

オートミールは栄養もメリットもたっぷりで調理もしやすい食材です。洋画や海外の絵本などでは牛乳で煮るミルク粥のような食べ方が一般的ですが、日本で注目を浴びるようになってからはよりおいしく食べられるよう工夫をこらした様々なレシピが登場しています。手に入りやすくもなっているので、健康管理や維持に活用してみてくださいね。

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家庭科

オートミールってどんな食べ物?カロリーや栄養素・ダイエット効果・注意点も元保育士がわかりやすく解説

オートミールにはどんな栄養がある?

オートミールの原材料は燕麦という麦の仲間でしたね。炭水化物・タンパク質・脂質からなる三大栄養素の中では炭水化物にあたります。他にはどんな栄養素が含まれているのか見ていきましょう。

その1.食物繊維

オートミールは特に食物繊維が豊富。100gあたり9.4gが含まれています。玄米と同じで燕麦の実の最も外側にある固い皮の部分を取り除く加工がされていて、果皮や種皮・胚芽という糠(ぬか)の部分が残っているため食物繊維が豊富なのです。炊いた米では100gあたり0.3gなので、たくさん含まれていることがわかりますね。

その2.ビタミン類

ビタミンというと野菜や果物のイメージがあるかもしれませんが、オートミールにもビタミンは含まれています。

 身体を動かすエネルギーを作ったり皮膚や粘膜の健康を助けるビタミンB1。タンパク質をエネルギーに変え、健康な肌や髪、歯を作る働きを持つビタミンB6。カラダの老化や血管の老化、肌トラブル、生活習慣病の引き金になると言われる身体の酸化を抑える効果(抗酸化作用)があるビタミンEも豊富です。

その3.タンパク質

オートミール100gあたりのタンパク質量は13.7g。炊いた米100gでは2.5gなので、米の代わりに食べるのであれば高タンパク質と言えます。しかし、オートミールの一食量はおよそ30~50g程度。一日に必要とされるタンパク質量を満たすほどではないため、肉や魚介類、卵などと一緒に食べるとよいでしょう。

主食の中ではカロリーと糖質が低め

オートミールと白米100gあたりのカロリーと糖質を比べてみましょう。

オートミール:350Kcal、糖質59.7g
白米(炊飯後):156Kcal、糖質35.6g

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

オートミールの方が糖質もカロリーも多いですね。しかしこの数字は、それぞれ100gあたりの栄養量です。お米はお茶碗に軽く盛ると150g。オートミールは1食の量の目安である30gとして計算してみると、

オートミール:約106Kcal、糖質約18g
白米(炊飯後):234Kcal、糖質53.4g

つまり、1食分の量で比べてみるとオートミールは低カロリー低糖質と言うことができます。

健康や美容・ダイエット効果があるって本当?

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食事をオートミールに変えたらダイエットできたという成功談を、SNSやテレビで見聞きしたことはありませんか?これがオートミールが注目されるようになった理由のひとつ。ダイエットの他にも美容や健康によい影響を与える栄養素に注目してみましょう。

腸内環境の改善に期待

腸はエネルギーを作る働きをしている肝臓と関係していて、腸の機能に負担がかかると代謝が落ちる、つまり痩せにくくなってしまいます。

また、腸内に便が長く留まって悪玉菌が増殖すると、むくみや血行不良の原因となってダイエットに悪影響が出ることも。オートミールに多く含まれている食物繊維は便の量を増やし、大腸を刺激する働きでスムーズな排便をを助けます。便秘を解消して腸内環境を改善することはダイエット成功の第一歩なのです。

鉄分補給にぴったり

オートミール100gあたりの鉄分量は3.9gと、とても豊富。炊いた米100gでは0.1㎎なのでいかに優秀かがわかりますね。

鉄分は摂ったカロリーをエネルギーに変えたり、身体を動かすためのエネルギーや酸素を全身に届けたりする働きがあります。つまり、鉄分を十分に摂ると代謝が上がりやすくなってダイエットの効率アップ!栄養が身体の隅々に行き渡って健康な肌や髪を保つ美容効果が期待できるのです。また、ダイエット中に食事を控えていると鉄分も不足しがちになるので意識して摂りたい栄養素ですよ。

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