今回は「全粒粉」と「小麦粉」の違いについてみていきます。みんなは全粒粉って知っているか?小麦粉で作るパンと比べて健康に良いと聞いたんですが、詳しい違いがよくわからなのです。パンやパスタを作れるということは小麦粉の仲間なんでしょうが、なんだか粉が茶色っぽくて小麦粉に見えない。美味しいかどうかも気になる。そこで今回は元パン職人の早坂佳歩を呼んです。栄養価の違いや味、体に良い粉の種類をわかりやすく解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら、副業webライターとして活動している。自宅でパンを作るために様々な小麦粉を揃える元パン職人。粉の違いによるパンの性質を詳しく解説していく。

小麦の仕組み

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小麦粉とは名前の通り、小麦から作る粉のことです。はじめに小麦の構造について詳しくみていきましょう。小麦の粒は「胚乳」・「表皮」・「胚芽」という3つの部分からできています。表皮は粒の周りの茶色い皮、胚乳は中の白いところ、胚芽はやがて芽になるところです。

割合では胚乳が一番多く83%、次に表皮が15%胚芽は2%とされています。この小麦のどこを使うかによって粉の種類が変わってくるのです。

全粒粉と小麦粉の違いは?

全粒粉は小麦粉の一種で、小麦粉と同様に小麦から作られます。全粒粉と小麦粉の違いは、小麦の皮を取り除くかどうかです。どちらに皮が入っているかは、粉の色を見れば、もうわかりますよね。

全粒粉:小麦をそのまま

全粒粉は表皮も胚芽もついたままの小麦を挽いて製粉します。全粒粉が茶色いのは、小麦の皮の色によるものですね。手で触るとザラザラとしていて、粒が粗く残っているものもあります。

小麦粉:胚乳のみ

小麦粉は小麦の粒から表皮と胚芽を除き、胚乳のみを製粉したものです。キメが細かく、白くてサラサラしています。使用する小麦の種類によって小麦粉の特性も変わり、パンには強力粉・お菓子には薄力粉など、目的に応じて使い分けが必要です。

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違いその1:栄養価

全粒粉は小麦粉に比べて栄養価が高い!とよく言われますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

全粒粉:食物繊維が豊富

全粒粉は食物繊維が多く含まれていることから、美肌効果便秘改善に効果があるとされています。全粒粉100gあたりに含まれる食物繊維は11gで、その量はゴボウの約2倍にもなるのです。その他にも、ビタミンマグネシウム鉄分など、多くの栄養素が小麦粉よりも多く含まれています。小麦の表皮に栄養がたくさん詰まっていることがわかりますね。

小麦粉:炭水化物が主成分

小麦粉の主成分は炭水化物で、全体の70%以上を占めています。体をつくるエネルギー源となる炭水化物・脂質・タンパク質をすべて含んでいるため、パンが主食に選ばれるのも納得ですね。

違いその2:カロリー

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健康に良い=低カロリーと思いがちですが、実は全粒粉と小麦粉のカロリーにはあまり差がありません。

全粒粉:100gあたり340kcal

全粒粉には小麦粉と同じく胚乳も含まれているため、炭水化物が多くカロリーも高いです。栄養価が高いからといって全粒粉ばかり食べていると肥満の原因となってしまいます。

小麦粉:100gあたり368kcal

小麦粉のカロリーを見てみると、カロリー制限のためだけに全粒粉へ置き換えるのは効果的ではないことがわかりますね。主食以外の料理で他の栄養素を補えるのであれば、小麦パンを我慢する必要はあまりありませんよ。

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違いその3:血糖値

カロリーはあまり変わりませんが、血糖値の上がり方には大きな差があります。

全粒粉:上がりにくい

全粒粉には食物繊維が多く含まれているのはわかりましたよね。この食物繊維が消化・吸収のスピードを緩める働きをして、血糖値の急上昇を防いでくれます。血糖値が急に上がると脂肪が作られやすくなるので、ダイエットのために全粒粉パンへ置き換えることは効果的です。

小麦粉:上がりやすい

食事の最初に小麦パンを一気に食べてしまうと、血糖値も一気に上がってしまいます。血糖値の上昇を防ぐには、パンの前にサラダを食べるなどして食物繊維を摂取しましょう。

全粒粉って美味しいの?

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主食として置き換えられて、栄養価が高い。そう言われると食事に取り入れてみたくなりますが、やっぱり味が気になりますよね。健康的で美味しいのも、全粒粉パンの魅力のひとつです。

全粒粉パンは香ばしく歯応えがある

全粒粉パンは香ばしい香りがまず特徴的です。小麦パンのようなもっちり感はあまりなく、少し固いと感じるかもしれません。プチプチとした食感も楽しめます。噛めば噛むほど甘味が出て、ハード系のパンが好きな方は美味しく食べられるでしょう。

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グルテンフリーを求めるなら

グルテンフリーという言葉を知っていますか?グルテンとは小麦粉と水をこねると出来上がる成分のことで、弾力や粘りの元であり、美味しさの元です。パンがふっくらもちもちになるのも、グルテンのおかげですね。

そのグルテンが、体質によっては体に悪影響を及ぼす、とも言われているのです。全粒粉には小麦粉も含まれているため、グルテンも含まれています。そこで、グルテンフリーのパンを作るのに代用可能な粉を紹介しましょう。

おすすめその1:ふすま

ふすまとは小麦の表皮のことで、ブランとも言います。小麦ブランパンという名前の方が有名かもしれませんね。小麦の表皮だけを製粉した、小麦粉の一種です。グルテンは小麦の胚乳に含まれているため、ふすまはグルテンフリーになります。

100gあたり216kcalで、低カロリー・低糖質。歯切れがとても良く、舌触りは少しざらっとした感じがします。香りと風味が独特なので、好き嫌いが分かれやすいことは否めません。

はちみつを使ってフレンチトーストにしたり、クリームチーズを挟んだり、アレンジをすると食べやすくなります。市販のふすまパンの袋にレシピが載っていることも多いので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

おすすめその2:ライ麦粉

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ライ麦という穀物を粉にしたライ麦粉にも、グルテンは含まれていません。ライ麦を乳酸発酵させて酵母を作るため、酸味があるのが特徴です。小麦パンのように膨らまず、ずっしりとして固く、噛みごたえがあります。満腹感を得やすいのでダイエットにもおすすめです。

代表的なライ麦パンといえばカンパーニュ。ただ、スーパーなどで売られているライ麦パンは小麦パンにライ麦粉を混ぜたものが多いので、完全なグルテンフリーのものを探すのは難しいかもしれません。粉の配合を自分で決めて、手作りに挑戦してみるのも良いでしょう。ライ麦パンは、イチジクやレーズンなどのドライフルーツ、ナッツ類と相性が抜群ですよ。

全粒粉は栄養豊富な食事重視の方にはもってこい!

全粒粉には小麦粉+αの栄養価があることがわかりましたね。ただ、全粒粉パンですべての栄養がとれるわけではありません。小麦パンでも全粒粉パンでも、バランスの良い食事を心がけることが健康への近道です。普段の食事に美味しく栄養をプラスする、という取り入れ方をしてみてはどうでしょうか。

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雑学

全粒粉と小麦粉の違いとは?代用には何がおすすめ?栄養価や味も元パン職人がわかりやすく解説

今回は「全粒粉」と「小麦粉」の違いについてみていきます。みんなは全粒粉って知っているか?小麦粉で作るパンと比べて健康に良いと聞いたんですが、詳しい違いがよくわからなのです。パンやパスタを作れるということは小麦粉の仲間なんでしょうが、なんだか粉が茶色っぽくて小麦粉に見えない。美味しいかどうかも気になる。そこで今回は元パン職人の早坂佳歩を呼んです。栄養価の違いや味、体に良い粉の種類をわかりやすく解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら、副業webライターとして活動している。自宅でパンを作るために様々な小麦粉を揃える元パン職人。粉の違いによるパンの性質を詳しく解説していく。

小麦の仕組み

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小麦粉とは名前の通り、小麦から作る粉のことです。はじめに小麦の構造について詳しくみていきましょう。小麦の粒は「胚乳」・「表皮」・「胚芽」という3つの部分からできています。表皮は粒の周りの茶色い皮、胚乳は中の白いところ、胚芽はやがて芽になるところです。

割合では胚乳が一番多く83%、次に表皮が15%胚芽は2%とされています。この小麦のどこを使うかによって粉の種類が変わってくるのです。

全粒粉と小麦粉の違いは?

全粒粉は小麦粉の一種で、小麦粉と同様に小麦から作られます。全粒粉と小麦粉の違いは、小麦の皮を取り除くかどうかです。どちらに皮が入っているかは、粉の色を見れば、もうわかりますよね。

全粒粉:小麦をそのまま

全粒粉は表皮も胚芽もついたままの小麦を挽いて製粉します。全粒粉が茶色いのは、小麦の皮の色によるものですね。手で触るとザラザラとしていて、粒が粗く残っているものもあります。

小麦粉:胚乳のみ

小麦粉は小麦の粒から表皮と胚芽を除き、胚乳のみを製粉したものです。キメが細かく、白くてサラサラしています。使用する小麦の種類によって小麦粉の特性も変わり、パンには強力粉・お菓子には薄力粉など、目的に応じて使い分けが必要です。

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