この記事では「穴子(あなご)」と「うなぎ」と「ハモ」の違いについてみていきます。
これら3つの名前を聞いて思い浮かべるのは、長くてニョロニョロとした似た生き物ですね。その違いはずばり、ウロコの有無や呼吸の仕方のようですが、生態や外見など調べてみると他にも色々あるみたいです。

今回はそんな「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」の違いを、神社や名所巡りの他にカフェ通いが好きなライターさらささらと一緒に解説していくぞ!

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明します。

「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」とは?

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土用丑の日に食べる「うなぎのかば焼き」やお客さまにお出しする「うな重」など、私たち日本人にとって「うなぎ」は特別な意味を持つ魚の食材です。そんな「うなぎ」と似た魚に、同じく細長い姿をした「穴子」や「ハモ」がありますが、これら3つの違いは一体何なのでしょうか?

そこで今回、「穴子」「うなぎ」「ハモ」をさまざまな方向から調べてみました。

「穴子」:江戸前の寿司ネタ

「穴子(あなご)」はウナギ目ウナギ科に分類される海水魚の総評です。標準和名を真穴子(マアナゴ)、学名をConger myriasterと言います。タレなどで煮付けた身は柔らかで美味しく、「穴子」は江戸前の寿司ネタに欠かすことのできない魚です。

「穴子」は浅い海に生息している魚です。日中は海底の砂や泥の中に潜り、夜になると出てきてカニ、エビ、ゴカイ、小魚などを捕食します。名前の「穴子」とは、“日中に岩穴や砂の中に隠れている”ことが由来とされているようです。

「うなぎ」:99%養殖された高級魚

「うなぎ」は漢字で「鰻」と書きますが、実は“ウナギ”と読む漢字は「鱔」や「鱔」などを含め全部で9種類あります。ウナギ目ウナギ科に分類される魚で、「うなぎ」とはこの“ウナギ目ウナギ科の総称”です。標準和名を日本ウナギ(ニホンウナギ)、学名をanguilla japonicaと言います。

そんな「うなぎ(日本ウナギ)」ですが、近年は乱獲のため絶滅の危機にあるそうです。そのため高級魚になってしまい、流通している「ウナギ」の99%が“養殖もの”で、“天然もの”はなかなか手に入らない超希少品となりました。

養殖ではない「天然うなぎ」の場合、成魚は川に生息しています。岩のすき間や石の下になどに潜むように生き、カニ、エビ、カエル、小魚など何でも食べる大食漢な魚です。

「うなぎ」の生体は長年謎に包まれていましたが、現在では太平洋のマリアナ海域が産卵場所であることが特定されています。川魚の成魚が海で産卵し、ここで孵化した“仔魚(しぎょ)”が太平洋を回遊する間に“稚魚(ちぎょ)=シラスウナギ”へと成長し、日本や韓国など東アジアに到達するそうです。

ちなみに、輸入される"活うなぎ(=生きてるうなぎ)"の99.8%が中国と台湾で占められています。つまり、こうした理由により「天然もの」や「国産もの」は特に高価な魚となったわけです。

「ハモ」:関西で人気の魚

「ハモ」は漢字で「鴨」と書く魚です。「アナゴ」や「うなぎ」同様ウナギ目ですがハモ科に分類される海産魚で、標準和名をハモ、学名をMuraenesox cinereusと言います。

関西では好んで食べられる魚であり、京料理には欠かせません。夏が旬の魚で、小骨が多いため“骨切り”という独特な調理法を用いられます。

「ハモ」は広島や高知などでは「ハム(※古代語と言われている)」と呼ばれ、北海道や東北で「ハモ」と呼ばれているのは「マアナゴ(真穴子)」を指します。つまり、北日本の一部地域では「ハモ→マアナゴ(アナゴ)」と呼ばれている場合があるそうです。

「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」の違い

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細長くヒレやエラも無いように見える「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」。こちらでは3つの魚を比較しながら、それぞれの違いを調べてみました。

\次のページで「「穴子」と「ハモ」はウロコがなく皮膚呼吸」を解説!/

「穴子」と「ハモ」はウロコがなく皮膚呼吸

見た目が似ている3つの魚ですが、実は決定的な違いがあります。

「穴子」と「ハモ」はウロコがないため皮膚呼吸のみです。一方の「うなぎ」はウロコを持ち皮膚呼吸とエラ呼吸の両方を行えます。そのため、「穴子」と「ハモ」は陸上で生きられませんが、「うなぎ」は短時間なら陸上で生きられる魚です。

さらにもう一つ。「穴子」と「ハモ」は“海水魚”に対して、「うなぎ」は“淡水魚”ですが産卵の時にだけ海に出る回遊魚。つまり、「穴子」と「ハモ」は海で捕れるのに対し「うなぎ」は川で捕れるという大きな違いがあります。

「ハモ」は鋭い歯を持つ怖い顔

普通の魚よりも細長い体躯を持つ3種の魚ですが、「穴子」と「うなぎ」は"丸みのある優しそうな顔"をしています。ちなみに、この2つの違いは「うなぎ」は下あごが出ていること。対する「ハモ」は顔が長く、とがった口先と奥まで長く裂けた口元、非常に鋭い歯を持つなど他の2匹と比べ"怖い顔"です。

それぞれの体色にも目を向けてみましょう。「穴子」は茶色っぽい色をしています。「うなぎ」の"養殖もの"は背中が黒く腹側が白いですが、"天然もの"は全体的に茶色っぽく腹側が金色です。「ハモ」は緑色っぽい灰色をしています。

■穴子…ウロコがなく皮膚呼吸、陸上で生きられない。海水魚
     丸みのある優しい顔。体色は茶色っぽい。

■うなぎ…ウロコを持ち皮膚とエラ呼吸の両方、短時間なら陸上で生きられる。淡水魚(→回遊魚)
     丸みのある優しい顔(※下あごが出ている)。体色は養殖=背中が黒く腹は白、天然=前提的に茶色っぽく腹は金色。

■ハモ…ウロコがなく皮膚呼吸、陸上で生きられない。海水魚
     とがった口先と大きく裂けた口、鋭い歯を持つ怖い顔。体色は緑っぽい灰色。

「ウミウヘビ」や「ウツボ」など似た姿の生物

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長い体を持つ「うなぎ」たちですが、この3種のような姿の生物は他にもいます。そこでこちらでは、「ウミヘビ」や「ウツボ」など似た生き物について調べてみました。

ウツボ:海のギャング

「ウツボ」は漢字で「鱓」と書く魚です。ウナギ目ウツボ科に分類され、学名をMuraenidaeと言います。地方によって「ウツボ」は「うなぎ」とも呼ばれていますが、両者の見た目は全くと言ってもいいほど別物です。

体色は暗褐色や黒褐色などに淡い斑点が散らばり、それが身体全体に横縞模様を形成しています。丸みを帯びた「うなぎ」などに比べ、横から見るとヒラヒラとした体です。

口は大きくとがっており、鋭い歯を持つ怖い顔。そのうえ気性も荒く肉食のため「海のギャング」とも呼ばれています。主に日本の太平洋側で食用とされていますが、骨が強く、複雑に入り込んでいるため処理が大変な魚です。

\次のページで「ウミヘビ:爬虫類と魚類の2種類が存在」を解説!/

ウミヘビ:爬虫類と魚類の2種類が存在

「ウミヘビ」と呼ばれる生物には“爬虫類”と“魚類”の2種類が存在します。爬虫類の「海蛇(ウミヘビ)」は有鱗目コブラ科、魚類の「ウミヘビ」はウナギ目ウミヘビ科です。

2つの見分け方として、“爬虫類”の「海蛇」にはヒレがなく体表にウロコが目立ちます。一方、魚類の「ウミヘビ」は長い背ビレや尾ビレが目立つものが多いです。とはいえ、中には見分けがつかない種類いますし、爬虫類の「海蛇」には猛毒を持つものが多いので注意しましょう。

■ウツボ…地域によっては「うなぎ」と呼ばれるが、見た目は全く違う。暗褐色や黒褐色な体色に、淡い斑点横縞模様を形成する。
     丸みを帯びた「うなぎ」と比べ横から見るとヒラヒラした体。骨が強く、複雑に入り込んでいるため料理の処理が大変。
     口先はとんがり、落ちは大きく裂けている。鋭い歯を持つ怖い顔で、「海のギャング」とも呼ばれている。

■ウミヘビ…「ウミヘビ」と呼ばれるものには有鱗目コブラ科の“爬虫類”とウナギ目ウミヘビ科の“魚類”が存在。
     見分け方として“爬虫類”にはヒレがなく体表にウロコガ目立つ。

調べてみたなら似て非なる物

「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」は同じ“ウナギ目”のため見た目が似ています。それは「ウツボ」や「ウミヘビ」も同じです。しかし、少しだけ調べてみれば、これらが生態や姿形、さらには料理の仕方や栄養まで色々と違うことが分かりました。

当たり前にある存在も、少しの疑問で調べてみれば意外な発見に出逢えます。この記事が少しでも"学び"のきっかけになれば幸いです。

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3分で簡単穴子とうなぎとハモの違い!見た目や生態・ウツボやウミヘビなど似た生物についても小説家兼ライターがやさしくわかりやすく解説

この記事では「穴子(あなご)」と「うなぎ」と「ハモ」の違いについてみていきます。
これら3つの名前を聞いて思い浮かべるのは、長くてニョロニョロとした似た生き物ですね。その違いはずばり、ウロコの有無や呼吸の仕方のようですが、生態や外見など調べてみると他にも色々あるみたいです。

今回はそんな「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」の違いを、神社や名所巡りの他にカフェ通いが好きなライターさらささらと一緒に解説していくぞ!

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明します。

「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」とは?

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土用丑の日に食べる「うなぎのかば焼き」やお客さまにお出しする「うな重」など、私たち日本人にとって「うなぎ」は特別な意味を持つ魚の食材です。そんな「うなぎ」と似た魚に、同じく細長い姿をした「穴子」や「ハモ」がありますが、これら3つの違いは一体何なのでしょうか?

そこで今回、「穴子」「うなぎ」「ハモ」をさまざまな方向から調べてみました。

「穴子」:江戸前の寿司ネタ

「穴子(あなご)」はウナギ目ウナギ科に分類される海水魚の総評です。標準和名を真穴子(マアナゴ)、学名をConger myriasterと言います。タレなどで煮付けた身は柔らかで美味しく、「穴子」は江戸前の寿司ネタに欠かすことのできない魚です。

「穴子」は浅い海に生息している魚です。日中は海底の砂や泥の中に潜り、夜になると出てきてカニ、エビ、ゴカイ、小魚などを捕食します。名前の「穴子」とは、“日中に岩穴や砂の中に隠れている”ことが由来とされているようです。

「うなぎ」:99%養殖された高級魚

「うなぎ」は漢字で「鰻」と書きますが、実は“ウナギ”と読む漢字は「鱔」や「鱔」などを含め全部で9種類あります。ウナギ目ウナギ科に分類される魚で、「うなぎ」とはこの“ウナギ目ウナギ科の総称”です。標準和名を日本ウナギ(ニホンウナギ)、学名をanguilla japonicaと言います。

そんな「うなぎ(日本ウナギ)」ですが、近年は乱獲のため絶滅の危機にあるそうです。そのため高級魚になってしまい、流通している「ウナギ」の99%が“養殖もの”で、“天然もの”はなかなか手に入らない超希少品となりました。

養殖ではない「天然うなぎ」の場合、成魚は川に生息しています。岩のすき間や石の下になどに潜むように生き、カニ、エビ、カエル、小魚など何でも食べる大食漢な魚です。

「うなぎ」の生体は長年謎に包まれていましたが、現在では太平洋のマリアナ海域が産卵場所であることが特定されています。川魚の成魚が海で産卵し、ここで孵化した“仔魚(しぎょ)”が太平洋を回遊する間に“稚魚(ちぎょ)=シラスウナギ”へと成長し、日本や韓国など東アジアに到達するそうです。

ちなみに、輸入される”活うなぎ(=生きてるうなぎ)”の99.8%が中国と台湾で占められています。つまり、こうした理由により「天然もの」や「国産もの」は特に高価な魚となったわけです。

「ハモ」:関西で人気の魚

「ハモ」は漢字で「鴨」と書く魚です。「アナゴ」や「うなぎ」同様ウナギ目ですがハモ科に分類される海産魚で、標準和名をハモ、学名をMuraenesox cinereusと言います。

関西では好んで食べられる魚であり、京料理には欠かせません。夏が旬の魚で、小骨が多いため“骨切り”という独特な調理法を用いられます。

「ハモ」は広島や高知などでは「ハム(※古代語と言われている)」と呼ばれ、北海道や東北で「ハモ」と呼ばれているのは「マアナゴ(真穴子)」を指します。つまり、北日本の一部地域では「ハモ→マアナゴ(アナゴ)」と呼ばれている場合があるそうです。

「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」の違い

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細長くヒレやエラも無いように見える「穴子」と「うなぎ」と「ハモ」。こちらでは3つの魚を比較しながら、それぞれの違いを調べてみました。

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