この記事では「オーク」と「オーガ」の違いについてみていきます。
これら2つの名前を聞いた人は、大体がゲームやファンタジー小説なんかに登場するモンスターだと思うよな。その違いはずばり、見た目が「豚」か「鬼」のようですが、調べてみると他にも色々あるみたいです。

今回はそんな「オーク」と「オーガ」の違いを、神社や名所巡りの他にカフェ通いが好きなライターさらささらと一緒に解説していくぞ!

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明します。

ゲームやファンタジーにおける「オーク」と「オーガ」とは?

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ゲームやファンタジー小説などに登場する「オーク」や「オーガ」は、人に近い形をした姿で描かれています。現在の作品では“種族”や“部族”としてのカテゴリーで登場し知性や社会性を持つ場合もあるようですが、昔のゲームに登場する彼らの多くはモンスターと呼ばれる異形の"悪役"でした。

そんな「オーク」と「オーガ」の違いとは一体なんなのでしょう?こちらではまず、伝承などに登場した彼らの存在について調べてみます。

「オーク」の語源と誕生について

それでは、「オーク」の語源と誕生について見ていきましょう。

「オーク」とはラテン語で「悪魔」という意味

「オーク(Orc)」とはラテン語で「悪魔」や「地下に生きる生物」、または古い英語で「海の怪物(Orca=オルカ)」など複数の意味やルーツを持つ言葉です。後述しますが似た存在の「ゴブリン」や「コボルド」がヨーロッパの伝承などに登場する“妖精”の一種であるのに対し、「オーク」という存在にはその由来となる伝承や逸話がありません

「オーク」はトールキンの『指輪物語』から

それでは、「オーク」とは一体どこから生まれた存在なのでしょうか?

実は、「オーク」の登場はイギリス出身の言語学者であるJ.R.R.トールキンによって書かれた『指輪物語(The Lord of the Rings=ロード・オブ・ザ・リング)』と言われています。つまり、「オーク」とはトールキンが創作した種族になるわけです。

■「オーク」の語源となった「オーク・ナス(オルクスの死人)」のオルクスとは、死者の国の神であるプルート、ハーデス、ディース・パテルの別名。そのため「オルクス=死者の国」なので、「オーク・ナス=死者の国の死人」となります。

\次のページで「「オーガ」の語源と誕生について」を解説!/

「オーガ」の語源と誕生について

続いては、「オーガ」の語源と誕生について解説していきます。

「オーガ」はヨーロッパ諸国の伝承などに登場する「人喰い怪物」

「オーガ(英:Ogre)」とは、北ヨーロッパの神話や伝承などに登場する、人型の姿を持つ怪物の種族です。人の生肉を食べる残忍な特性から日本で「オーガ」と言えば「鬼」と訳されることが多いため、創作などでは「オーガ=鬼」と思われています。

伝承では知性はなく、私たち人間がオーガを倒すのは容易とか。また、動物など自由に姿を変えられ、お城や地下に住んでおり莫大な財宝を持っていると考えられています。

■「オーガ」の別呼称に「オグル(仏:Ogre)」と「オーグル」があり、女性のオーガは「オーグリス(英:Ogress)」や「オグレス(仏:Ogresse)」と呼び分けています。後述しますが、スカンジナビア半島周辺ではオーガとトロールは同一もしくは関連付けられた存在です。

「オーガ」はシャルル・ペローの『長靴をはいた猫』から

元々は“人喰い怪物”を意味していましたが、フランスの詩人シャルル・ペローの小説『長靴をはいた猫』で「オーガ(オグル)」という名前が与えられました。

作中に登場するオーガも広大な土地と財宝を持ち、豪華な宮殿に住む怪物として登場。しかし、ネズミには変身できないだろうと言われ化けたところを、長靴をはいた猫に食べられてしまいます。

創作物における「オーク」と「オーガ」

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ここまで「オーク」と「オーガ」の伝承や出典などを簡単にまとめてみました。次の項目からは、ゲームや小説など“創作物”における「オーク」と「オーガ」の説明をしたいと思います。※主に日本の創作物を取り上げていることをご了承下さい。

「オーク」はブタやイノシシのような顔?

ゲームなどに登場する「オーク」といえば、原始的な武器を持つ好戦的な種族です。ブタやイノシシに似た顔で描かれることが多く、特徴として大きな体、下あごから上向きに生えた2本の長い牙、とがった耳などがあげられます。

獣のような容姿の「オーク」は知性が低く片言のような話し方で、人間に近い場合は知的で屈強な戦士の姿で描かれることが多いようです。

\次のページで「「オーガ」は角を持つ鬼のような姿」を解説!/

【オークが登場する作品例】
・『ドラゴンクエスト』…イノシシの姿をした獣人。他、ゴールドオーク、オークキングなど。
・『ファイナルファンタジー11』…獣人の一種族で、とがった耳や体毛がなくカエルに似た容姿。
・『指輪物語』…原作ではダークエルフやヴァンパイアに近い容姿。
 ※根底に「オーク」が元々エルフだったという設定がある。

「オーガ」は角を持つ鬼のような姿

一方の「オーガ」は英訳で「鬼」とされるように、角と牙を持つ日本の鬼に似た姿が多い種族です。多くが「オーク」よりも小柄でありながら屈強な体と強い戦闘力を持ち、知性的でありながら“血に飢えた戦闘狂”や“狂戦士(バーサーカ)”のような描かれ方がされています。

【オーガが登場する作品例】
・『ドラゴンクエストⅩ』…種族のひとつとして登場。
・『女神転生』…緑の体色や巨体を持つ邪鬼オーガ。
・『オウガバトル』…「鬼」の比喩として。
 ※オウガ、オーガー。

「ゴブリン」や「トロール」とは?

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「オーク」や「オーガ」と似たものに、「ゴブリン」、「コボルド」、「トロール」がいますが、これらはどんな存在なのでしょうか?それぞれ伝承などを交えながら調べてみました。

「ゴブリン」:小鬼

「ゴブリン」とはヨーロッパの伝承に登場する“妖精”の一種で、「レブラコーン」や「ピクシー」などのように“いたずらをする妖精”です。日本語では「小鬼」の意味に近く、そこから“いたずらをする悪い妖精”に認識になります。

ファンタジーなどの捜索では、多くの場合が“悪の手先”としていわゆる“やられ役”として登場。「オーク」や「トロール」がそれなりの戦力があるのに対し、「コブリン」は小悪党的な扱われ方です。

「コボルト」:犬の顔

「コボルト(コボルド)」とはドイツの伝承に登場する妖精の一種で、英語の翻訳ではしばしば「ゴブリン(Goblin)」と表記されることがあります。そのため、「ゴブリン」とは明確な区別が出来ない場合も多く、おとぎ話などで「いたずらをする妖精」を意味するなど「ゴブリン」とは共通点も多い存在です。

創作では主に“犬の顔に人間の体”という描写ですが、満月など一定の条件で変身する「ワーウルフ(人狼)」とは区別されています。

\次のページで「「トロール」:固有の共通イメージはない」を解説!/

「トロール」:固有の共通イメージはない

「トロール(Troll)」とはヨーロッパの、特に北欧神話に登場する妖精の一種です。2~5m程度の大きな体と怪力を持ちながら、動きは鈍重で知恵の足りない描写がされています。外見に関しては「オーガ」や「コボルト」ように固有の共通イメージは持っていません

醜い巨人であったり小柄な老人、または赤毛の美人であることも。この伝承により「トロール」は自由に姿を変えられるとされています。

■オーク…語源以外はトールキンが創作した種族。
 ブタやイノシシのような顔。
■オーガ…北ヨーロッパ伝承の人喰い悪魔。
 角を持った鬼のような姿。

▲ゴブリン…小鬼。
▲コボルト…頭部が犬。
▲トロール…固有の共通イメージはない。

伝承を後世の人々が肉付けした種族たち

今回調べて分かったことは、「オーク」や「オーガ」のような存在の多くが伝承を由来とし、彼らのイメージは後世の人々が肉付けしたということです。“妖精”や“怪異”として片付けられていた存在が、個性や属性を得て“種族”にまで発展した工程は、私たち人間の「想像」や「生活」の産物と言えるでしょう。

これから人類が歴史を重ねる上で、どんな"種族"が新たに誕生するのか楽しみですね。

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3分で分かるオークとオーガの違い!語源やゴブリン・トロールとの違いも小説家兼ライターが詳しくわかりやすく解説

この記事では「オーク」と「オーガ」の違いについてみていきます。
これら2つの名前を聞いた人は、大体がゲームやファンタジー小説なんかに登場するモンスターだと思うよな。その違いはずばり、見た目が「豚」か「鬼」のようですが、調べてみると他にも色々あるみたいです。

今回はそんな「オーク」と「オーガ」の違いを、神社や名所巡りの他にカフェ通いが好きなライターさらささらと一緒に解説していくぞ!

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明します。

ゲームやファンタジーにおける「オーク」と「オーガ」とは?

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ゲームやファンタジー小説などに登場する「オーク」や「オーガ」は、人に近い形をした姿で描かれています。現在の作品では“種族”や“部族”としてのカテゴリーで登場し知性や社会性を持つ場合もあるようですが、昔のゲームに登場する彼らの多くはモンスターと呼ばれる異形の”悪役”でした。

そんな「オーク」と「オーガ」の違いとは一体なんなのでしょう?こちらではまず、伝承などに登場した彼らの存在について調べてみます。

「オーク」の語源と誕生について

それでは、「オーク」の語源と誕生について見ていきましょう。

「オーク」とはラテン語で「悪魔」という意味

「オーク(Orc)」とはラテン語で「悪魔」や「地下に生きる生物」、または古い英語で「海の怪物(Orca=オルカ)」など複数の意味やルーツを持つ言葉です。後述しますが似た存在の「ゴブリン」や「コボルド」がヨーロッパの伝承などに登場する“妖精”の一種であるのに対し、「オーク」という存在にはその由来となる伝承や逸話がありません

「オーク」はトールキンの『指輪物語』から

それでは、「オーク」とは一体どこから生まれた存在なのでしょうか?

実は、「オーク」の登場はイギリス出身の言語学者であるJ.R.R.トールキンによって書かれた『指輪物語(The Lord of the Rings=ロード・オブ・ザ・リング)』と言われています。つまり、「オーク」とはトールキンが創作した種族になるわけです。

■「オーク」の語源となった「オーク・ナス(オルクスの死人)」のオルクスとは、死者の国の神であるプルート、ハーデス、ディース・パテルの別名。そのため「オルクス=死者の国」なので、「オーク・ナス=死者の国の死人」となります。

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