この記事では「身を沈める」について解説する。

端的に言えば身を沈めるの意味は「身投げする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「身を沈める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「身を沈める」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「身を沈める」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「身を沈める」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「身を沈める」の意味は?

「身を沈める」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.水中に身を投げる。身投げする。入水する。
2.失意の境遇に身をおく。身を沈倫(ちんりん)させる。身を落とす。
3.身売りして、芸者・娼婦などになる。身を売る。
4.姿勢を低くする。

出典:精選版 日本国語大辞典「身を沈める」

「身を沈める」は水中に身を投げる・失意の境遇に身を置く・身売りする・姿勢を低くすることを意味する慣用句です。4種類の多彩な意味をもった言葉となっているため、見聞きした際はどの意味で使われているのか、前後の文脈から丁寧に読み取る必要があるため注意しましょう。

「身を沈める」は書籍・新聞等の文章中を中心として使われている言葉です。比較的見聞きする機会の少ない古風な表現となっているため、使用する場面には注意が必要となっています。この機会に「身を沈める」の意味・用法を詳しく確認しておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「身を沈める」の語源は?

次に「身を沈める」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「身を沈める」の語源ははっきりとはしていません。「身を沈める」の語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。また語源とあわせて「身を沈める」がいつ頃から使われだした言葉なのかという点についても、確認しておきましょう。

990年頃の元輔集(もとすけしゅう)には「としごとにたへぬ涙やつもりつついとどふかくはみをしづむ覧」としてこの言葉が登場しています。このことから「身を沈める」という表現は、非常に古くから現在と同様の意味で使われていたことが分かりますね。こちらもあわせて確認しておきましょう。

\次のページで「「身を沈める」の使い方・例文」を解説!/

「身を沈める」の使い方・例文

「身を沈める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.失意のうちに川の底に身を沈めた。
2.娘のため苦界に身を沈める覚悟を決める。
3.その場に身を沈め、隠れる。

「身を沈める」は例文のように、水中に身投げすること・身売りして遊女などになること・姿勢を低くすることなどを表して使われている言葉です。身投げや身売りするといった意味は、古い書籍などに登場する際によく見られます。現在は一般的には用いられていない表現であるため、使用する際は注意しましょう。

また小説等では単に姿勢を低くすること、お風呂など水中に体を沈めることを指して用いられていることも多くあります。こちらの点についても、あわせて確認しておきましょう。例文から「身を沈める」の実際の使用場面をイメージし、自身でも使用することができるようにしていきましょう。

「身を沈める」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて「身を沈める」の類義語・違いについて確認していきましょう。「身を沈める」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「身を沈める」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「身投げ(みなげ)」:水中・火中に飛び込み死ぬ

「身投げ」は自ら水中・火中に飛び込んで死ぬことを意味する言葉です。こちらも水中に身を投げることを意味している言葉となっており、「身を沈める」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは火中へ飛び込むことも指す点、身売りや姿勢を低くする意味はない点に注意しましょう。

\次のページで「その2「沈淪(ちんりん)」:深く沈む」を解説!/

その2「沈淪(ちんりん)」:深く沈む

「沈淪」は深く沈むこと、ひどく落ちぶれることを意味している言葉です。こちらも失意の境遇に落ちぶれることを意味している言葉となっており、「身を沈める」と一部似た意味をもった類義語となっています。身を投げること・姿勢を低くするといった意味はない点に注意しましょう。

その3「身売り」:自身の身を売り務める

「身売り」は娼婦などが身代金と交換に自身の身を売り、務めることを意味する言葉です。こちらも芸者・娼婦などになることを表す言葉となっており、「身を沈める」と似た意味をもった類義語となっています。身を投げること・姿勢を低くすることといった意味はないため、違いに注意しましょう。

その4「身を落とす」:落ちぶれる

「身を落とす」は落ちぶれること・からだを伏せることを意味している言葉です。こちらも落ちぶれること・姿勢を低くすることを意味している言葉となっており、「身を沈める」と似た意味をもった類義語となっています。水中などに身を投げることという意味はない点に注意して使い分けていきましょう。

その5「屈む(かがむ)」:足・腰を曲げて姿勢を低くする

「屈む」は足や腰を曲げて姿勢を低くすることを意味する言葉です。こちらも姿勢を低くすることを表す言葉となっており、「身を沈める」と似た意味をもった類義語となっています。身投げや身売り、落ちぶれることといった意味はないため、こちらの点に注意して使い分けていきましょう。

「身を沈める」の対義語は?

image by iStockphoto

つづいて「身を沈める」の対義語についても確認していきましょう。「身を沈める」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

\次のページで「「身を立てる」:立身出世する」を解説!/

「身を立てる」:立身出世する

「身を立てる」は立身出世する・生計を成り立たせることを意味している言葉です。「身を沈める」が落ちぶれることを意味していたのに対し、こちらは出世し成り上がることを意味している言葉となっています。対義語として、こちらの言葉についてもあわせて確認しておきましょう。

「身を沈める」を使いこなそう

この記事では「身を沈める」の意味・使い方・類語などを説明しました。「身を沈める」は水中に身を投げる・失意の境遇に身を置く・身売りする・姿勢を低くすることを意味している慣用句です。4種類の多彩な意味をもった言葉となっているため、見聞きした際は前後の文脈に注意し、丁寧に読み取っていきましょう。

また類義語には「身投げ」、「沈淪」、「身売り」、「身を落とす」、「屈む」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

" /> 【慣用句】「身を沈める」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「身を沈める」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「身を沈める」について解説する。

端的に言えば身を沈めるの意味は「身投げする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「身を沈める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「身を沈める」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「身を沈める」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「身を沈める」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「身を沈める」の意味は?

「身を沈める」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.水中に身を投げる。身投げする。入水する。
2.失意の境遇に身をおく。身を沈倫(ちんりん)させる。身を落とす。
3.身売りして、芸者・娼婦などになる。身を売る。
4.姿勢を低くする。

出典:精選版 日本国語大辞典「身を沈める」

「身を沈める」は水中に身を投げる・失意の境遇に身を置く・身売りする・姿勢を低くすることを意味する慣用句です。4種類の多彩な意味をもった言葉となっているため、見聞きした際はどの意味で使われているのか、前後の文脈から丁寧に読み取る必要があるため注意しましょう。

「身を沈める」は書籍・新聞等の文章中を中心として使われている言葉です。比較的見聞きする機会の少ない古風な表現となっているため、使用する場面には注意が必要となっています。この機会に「身を沈める」の意味・用法を詳しく確認しておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「身を沈める」の語源は?

次に「身を沈める」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「身を沈める」の語源ははっきりとはしていません。「身を沈める」の語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。また語源とあわせて「身を沈める」がいつ頃から使われだした言葉なのかという点についても、確認しておきましょう。

990年頃の元輔集(もとすけしゅう)には「としごとにたへぬ涙やつもりつついとどふかくはみをしづむ覧」としてこの言葉が登場しています。このことから「身を沈める」という表現は、非常に古くから現在と同様の意味で使われていたことが分かりますね。こちらもあわせて確認しておきましょう。

\次のページで「「身を沈める」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: