今回はネットワーク機器のルーターとL3スイッチの違いについて勉強していこう。みんなもルーターはよく聞いたことがあるんじゃないか。インターネット回線を設置するときによく使われるな。
では、L3スイッチはどうでしょうか。あまり聞きなれない人も多いのではないか。企業ネットワークでは欠かせないこの2つの機器の違いについて現役エンジニアのsatokoと一緒に解説していきます。

ライター/satoko

現役のネットワークエンジニア。わからないことを調べることが好き。業務で得た知識やこれまで調べて得た知識をわかりやすく解説していく。

ルーターとL3スイッチってどんな機器?

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ネットワークエンジニアにはおなじみのルーターとL3スイッチ。しかし、多くの人は「ルーターは聞いたことがあるなぁ」「スイッチは聞いたことがあるけど、L3スイッチはスイッチと一緒なの?」このように思う人がほとんではないでしょうか。まずはルーターとL3スイッチがどのような機器なのか説明していきます。

ルーター:異なるネットワーク同士を接続・中継する

ネットワークで同じ属性を持った一つの塊を「セグメント」と言いますルーターの役割は異なるネットワーク同士の接続・中継。つまり、異なるネットワークセグメントに属する機器同士のデータ転送はルーターが行うのです。ルーターは交通整理のような役割を持っており、データの宛先に応じて転送経路の決定を行います。

L3スイッチ:ルーターの機能をあわせ持つスイッチ

スイッチという言葉を聞いたことがある人は、スイッチとL3スイッチは同じなのかという疑問を持つのではないでしょうか。一般的にスイッチとはL2スイッチのことを指します。L2やL3というあまり聞きなれない言葉がでてきましたが、これは何なのでしょうか。

ネットワークではネットワークの機能を7つの階層に分割したOSI参照モデルというものがあります。これは国際標準化機構によって策定されたものです。OSI参照モデルは以下のようになっています。

第7層(L7):アプリケーション層
第6層(L6):プレゼンテーション層
第5層(L5):セッション層
第4層(L4):トランスポート層
第3層(L3):ネットワーク層
第2層(L2):データリンク層
第1層(L1):物理層

\次のページで「ルーターの主な機能」を解説!/

L2とはこのOSI参照モデルの第2層:データリンク層、L3は第3層のネットワーク層のこと。L2スイッチは同じセグメント内の通信しか行うことができませんが、L3スイッチがあれば違うセグメント同士の通信も行うことができますL3スイッチはL2スイッチの機能に加えて、本来はルーターの機能である異なるセグメント同士の通信を可能にしたものです。

ルーターの主な機能

ルーターの基本的な機能は転送ルートの決定とデータ転送ですが、ルーターには他にもいくつかの機能があります。ここではその中でインターネット接続時に必要な機能についてみていきましょう。

NAT:ネットワークアドレスの変換

NATとはIPアドレスを変換する技術。一般的にはプライベートアドレスをグローバルアドレスに変換する技術です。企業内のネットワークでは基本的にプライベートアドレスを使用します。しかし、インターネットに接続するときにプライベートアドレスではインターネットに接続することができません。そのため、インターネットを利用するときはNATでプライベートアドレスをグローバルアドレスへの変換が必要です。

NATでセキュリティとIPアドレス問題が解決?

さらにNATはセキュリティとIPアドレスの枯渇という問題を解決してくれます。インターネットに接続するときに、端末が持っているアドレスでそのままインターネットに出てしまうと外部の悪意あるユーザから攻撃を受けてしまう可能性があるのです。外部の悪意あるユーザに端末が持っている本来のIPアドレスを知られないためにもNATを使うことは大切になります。

世界中でネットワークに接続される端末が増えたことによりIPアドレスの枯渇という問題がでてきました。NATは複数のプライベートアドレスを1つのグローバルアドレスに変換することができ、IPアドレスを節約することが可能です。このようにNATはIPアドレスの枯渇という問題を解決してくれます。

VPN:仮想専用回線

VPNとは「Virtual Private Network」を略した言葉です。異なる拠点のルーター同士でトンネルをはることにより、本来は公開されたネットワークであるインターネット上で仮想的に専用の回線として使うことができます。VPN機能を使うことにより高価な専用回線を契約しなくても、安全なネットワーク接続が可能です。

\次のページで「ルーターとL3スイッチの違いは?」を解説!/

ルーターとL3スイッチの違いは?

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ここまでルーターとL3スイッチがどのような機器なのか解説してきました。ではルーターとL3スイッチはどのような違いがあるのでしょうか。

違いその1.NATとVPN機能の有無

インターネットに接続するときに使われる機器であるルーターはNATやVPN機能が備わっています。しかし、基本的に企業ネットワークの中で使用されるL3スイッチはこれらの機能がありません

違いその2.ポート数

ルーターとL3スイッチではポート数が異なります。ルーターは2~4ポートのものがほとんどです。ルーターには基本的にネットワーク機器が接続されるため、多くのポート数は必要ありません

それに比べてL3スイッチは8~48ポートほどあります。L3スイッチにはネットワーク機器も接続されますが、端末も接続されることが多いです。そのためルーターに比べてポート数が多くなっています

ルーターとL3スイッチの共通点は?

ルーターとL3スイッチの機能のところで解説しましたが、ルーターとL3スイッチの基本的な機能はルーティング。異なるセグメント間のデータ転送を行うことができ、データの転送経路を決定する機能をもっています。

ルーターとL3スイッチどちらを選ぶ?

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ルーターとL3スイッチの異なる点と共通点をみていきましたが、この2つの機器はどのように使い分けられているのでしょうか。

ルーターはNATやVPNといったインターネットに接続するときに安全に接続できるセキュリティ機能があります。そのため、ルーターはインターネットに接続する部分WANとLANの境界で使用することが多いです。

それに比べてL3スイッチはセキュリティが確保されているLANの中で使用されます。また、ポート数が多いためよりユーザに近い部分で使用され端末が接続されることも多いです。

\次のページで「基本機能は一緒!用途に合わせて選択を」を解説!/

基本機能は一緒!用途に合わせて選択を

ルーターとL3スイッチの基本機能は同じです。単にデータを転送するためにルーティングしたいだけであればどちらの機器を使用しても問題ありません。ただ、ルーターはNATやVPNが使える、スイッチはポート数が多いというそれぞれの特徴があります。そのため、それぞれの環境に合わせて最適な機器を選択することが望ましいです。

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雑学

初心者でもわかる!ルーターとL3スイッチの違いとは?特徴や共通点も現役エンジニアがわかりやすく解説

今回はネットワーク機器のルーターとL3スイッチの違いについて勉強していこう。みんなもルーターはよく聞いたことがあるんじゃないか。インターネット回線を設置するときによく使われるな。
では、L3スイッチはどうでしょうか。あまり聞きなれない人も多いのではないか。企業ネットワークでは欠かせないこの2つの機器の違いについて現役エンジニアのsatokoと一緒に解説していきます。

ライター/satoko

現役のネットワークエンジニア。わからないことを調べることが好き。業務で得た知識やこれまで調べて得た知識をわかりやすく解説していく。

ルーターとL3スイッチってどんな機器?

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ネットワークエンジニアにはおなじみのルーターとL3スイッチ。しかし、多くの人は「ルーターは聞いたことがあるなぁ」「スイッチは聞いたことがあるけど、L3スイッチはスイッチと一緒なの?」このように思う人がほとんではないでしょうか。まずはルーターとL3スイッチがどのような機器なのか説明していきます。

ルーター:異なるネットワーク同士を接続・中継する

ネットワークで同じ属性を持った一つの塊を「セグメント」と言いますルーターの役割は異なるネットワーク同士の接続・中継。つまり、異なるネットワークセグメントに属する機器同士のデータ転送はルーターが行うのです。ルーターは交通整理のような役割を持っており、データの宛先に応じて転送経路の決定を行います。

L3スイッチ:ルーターの機能をあわせ持つスイッチ

スイッチという言葉を聞いたことがある人は、スイッチとL3スイッチは同じなのかという疑問を持つのではないでしょうか。一般的にスイッチとはL2スイッチのことを指します。L2やL3というあまり聞きなれない言葉がでてきましたが、これは何なのでしょうか。

ネットワークではネットワークの機能を7つの階層に分割したOSI参照モデルというものがあります。これは国際標準化機構によって策定されたものです。OSI参照モデルは以下のようになっています。

第7層(L7):アプリケーション層
第6層(L6):プレゼンテーション層
第5層(L5):セッション層
第4層(L4):トランスポート層
第3層(L3):ネットワーク層
第2層(L2):データリンク層
第1層(L1):物理層

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