「光」とはどのような存在か、難しい質問で答えることは難しいでしょう。光は電磁波の一種で、波の性質を持つと同時に光子と呼ばれる粒子の性質を持っているぞ。
そして、波としての光の特徴に「光の分散」がある。光の分散が起きることで発生する自然現象もあるぞ。

今回は光の分散とはどのような現象なのか、そして生活の中で光の分散を見ることができる現象を物理に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

大学院を修了するまで、研究に明け暮れた理系ライター。目の前で起きた現象を深掘りすることが大好きで、化学や物理など幅広く勉強している。現在は化学メーカーで技術職として働きながら、化学や物理の楽しさを発信していく。

光の正体とは

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光の正体は何なのか、これはずっと科学者を悩ませていた問題でした。現代では、量子力学という新しい学問を通して光の正体はこうらしいと、ある程度分かってきています。

しかし、量子力学がまだ確立されていない時代、光は「粒子なのか」それとも「波なのか」問題に多くの科学者が頭を悩ませ、大激論を繰り広げていたんです。光の正体に迫った歴史はここでは割愛しますが、興味のある方はぜひ調べてみてください。

光は粒子なのか波なのか

光は「粒子なのか」「波なのか」…17世紀~19世紀にかけて、物理学最大の謎のひとつでした。多くの科学者がこの謎に挑み、様々な実験を通して光の正体を突き止めようとしていました。

現代の学問には新しく量子力学という分野が加わり、光は「波の性質と粒子の性質を併せ持つ」と理解されています。

量子力学という学問が育つまでは光は波動だという説が強かったのですが、光は波だと結論付けると、説明できない現象もありました。

光は波と粒子の二面性を持つと提唱し、量子力学の基礎を作ったのが、アインシュタインです。

粒子が波動性を持つという研究は、ド・ブロイという人物(フランスの理論物理学者)によって深められ、「光子以外の粒子も光速に近い速度で移動した場合、波としての性質が出てくる」ことが証明されました。

つまり、電子や陽子、中性子なども粒子性と波動性を併せ持っているんです。量子力学は原子や分子の正体に迫るためにも重要な学問で、現代化学・現代物理学を支えている学問でもあります。

光の性質と波動性とは?

光は粒子性と波動性を併せ持つ。つまり「波でもあり」「粒子でもある」と解説しました。波でもあり粒子でもあるってどうゆうこと?と思いますよね…。量子力学は現代物理学にとって重要な学問ですが、非常に難しい学問ですので、興味があったら少しずつ理解していってください。

ここから紹介していくのは、「波動性」に着目した光の性質です。光は波だという説が有力になるほど、光には波としての性質も強くあります。

波の性質とは

波の性質とは

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光は波動性を持つので、波の性質を持っています。波は波形を持ち媒質を進んでいくんです。そして波には特有の現象が4つあります。

\次のページで「光の分散とはどのような現象?」を解説!/

・反射
・屈折
・回折
・干渉

光にもこの4つの性質があります。4つ目の性質の「干渉」は、波長や振動数など、波形の異なる波が互いに干渉し、新しい波形を持った波ができるという現象です。

そして、干渉した波は元の波に分けることもできます。光にもこの性質があるため、光は互いに干渉し混ざることができ、元の波に分けることもできるんです。干渉した光を複数の光に分かれることを「光の分散」といいます。

「反射」「屈折」「回折」「干渉」の4つの現象は、波に特有の現象です。そして、それぞれの特徴を光も持っていることが実験から証明されました。これが、光が波であるという説が強くなった理由だったんですね。

光の分散とはどのような現象?

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太陽から降り注ぐ光は白色ですよね。白色の光は白色光と呼ばれており、太陽から降り注ぐ白色光は7色に分けることができます。これが光の分散です。光の分散をwikipediaで調べてみると、下のように書いてありました。

光学において分散(ぶんさん、英: dispersion)とは、入射した光線が波長ごとに別々に分離される現象、またはその度合いのことをさす。媒体の屈折率が波長によって異なることによって発生する。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E6%95%A3_(%E5%85%89%E5%AD%A6)

光の分散にはプリズムを使うことが多いです。プリズムを通った白色光が7色に分かれて出てくる実験は、目にしたことがある人も多いと思います。これは、媒質の空気とプリズムの屈折率の差で起きる現象です。光の屈折率は波長によって異なるので、光の分散が起きています。

光の分散で起きる自然現象とは

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実験的にはプリズムを使うことで、光の分散を起こすことができますが、実は光も分散が使われている自然現象もあります。それが雨上がりに見られる「虹」です。虹はどうしてできるのか、その原理を紹介していきます。

虹ができる仕組みとは

RainbowFormation DropletPrimary.png
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雨上がり空にかかる虹ですが、虹は光の波としての性質があってこそ発生する自然現象です。「光の反射」「光の屈折」「光の分散」が絡み合うことでキレイな虹ができます。雨上がりの空には、適度な大きさの水滴が漂っていますよね。太陽から降り注ぐ白色光が水滴にあたると次のような現象が起こります。

その1.白色光が水滴内に屈折して侵入する。この時光が7色に分かれる。(光の分散)
その2.水滴内で光が反射する。(光の反射)
その3.水滴内を進む光がさらに屈折して空気中へ出ていく。

空気中から水滴内へ入っていった光が反射屈折を経て、7色に分かれて再度空気中へ出ていきます。屈折率は光の波長と媒質によって変わると先ほど紹介しました。光の波長は色ごとに決まっています。媒質は空気と水で同じなので、屈折の仕方はどの水滴でも変わりません。

そのため、虹の順番は「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」に決まっています。

\次のページで「虹にかかる、もう一つの虹とは」を解説!/

虹にかかる、もう一つの虹とは

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虹が空にかかる原理を解説しましたが、虹の外側にかかる、もう一つの虹を知っていますか?一般的な虹は「主虹」と呼ばれています。そして、主虹の外側にうっすらもう一つの虹が見えることがあるんです。

この虹を「副虹」といいます。副虹最大の特徴は、色の順番が逆になることです。主虹は「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」でしたよね。一方で副虹は「紫・藍・青・緑・黄・橙・赤」の順です。これはなぜでしょうか。

副虹ができる原理とは?

RainbowFormation DropletSecondary.png
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ここからは、副虹ができる原理を解説していきます。

原理自体は主虹と同じです。「白色光が屈折して7色に分かれ、水滴内に侵入する」「水滴内で光が反射する」「屈折しながら水滴内から空気中へ抜ける」。副虹では、水滴内で光が反射する回数が変わります。主虹の場合、反射の回数は1度でしたが、副虹の場合は2度反射するんです。すると、赤と紫の上下が逆転します。これが副虹ができる原理です。

光の波としての性質と光の分散で起きる自然現象をチェック

今回は光の「波」としての性質に注目して、光の分散を解説しました。

光は粒子性と波動性の2つの性質がありますが、光の分散は光の波動性に着目した現象です。様々な波長の光が混ざった白色光から、波長ごとに光が分かれる現象が、光の分散でしたよね。

また、光の分散が関係する自然現象として、虹を紹介しました。虹は、光の分散以外にも光の波動性がよく表れている自然現象です。ぜひチェックしてみてください!

" /> 光の分散とは?身近な例を交えて原理・現象を理系ライターがわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
物理理科生活と物質量子力学・原子物理学

光の分散とは?身近な例を交えて原理・現象を理系ライターがわかりやすく解説!

・反射
・屈折
・回折
・干渉

光にもこの4つの性質があります。4つ目の性質の「干渉」は、波長や振動数など、波形の異なる波が互いに干渉し、新しい波形を持った波ができるという現象です。

そして、干渉した波は元の波に分けることもできます。光にもこの性質があるため、光は互いに干渉し混ざることができ、元の波に分けることもできるんです。干渉した光を複数の光に分かれることを「光の分散」といいます。

「反射」「屈折」「回折」「干渉」の4つの現象は、波に特有の現象です。そして、それぞれの特徴を光も持っていることが実験から証明されました。これが、光が波であるという説が強くなった理由だったんですね。

光の分散とはどのような現象?

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Suidroot投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

太陽から降り注ぐ光は白色ですよね。白色の光は白色光と呼ばれており、太陽から降り注ぐ白色光は7色に分けることができます。これが光の分散です。光の分散をwikipediaで調べてみると、下のように書いてありました。

光学において分散(ぶんさん、英: dispersion)とは、入射した光線が波長ごとに別々に分離される現象、またはその度合いのことをさす。媒体の屈折率が波長によって異なることによって発生する。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E6%95%A3_(%E5%85%89%E5%AD%A6)

光の分散にはプリズムを使うことが多いです。プリズムを通った白色光が7色に分かれて出てくる実験は、目にしたことがある人も多いと思います。これは、媒質の空気とプリズムの屈折率の差で起きる現象です。光の屈折率は波長によって異なるので、光の分散が起きています。

光の分散で起きる自然現象とは

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実験的にはプリズムを使うことで、光の分散を起こすことができますが、実は光も分散が使われている自然現象もあります。それが雨上がりに見られる「虹」です。虹はどうしてできるのか、その原理を紹介していきます。

虹ができる仕組みとは

雨上がり空にかかる虹ですが、虹は光の波としての性質があってこそ発生する自然現象です。「光の反射」「光の屈折」「光の分散」が絡み合うことでキレイな虹ができます。雨上がりの空には、適度な大きさの水滴が漂っていますよね。太陽から降り注ぐ白色光が水滴にあたると次のような現象が起こります。

その1.白色光が水滴内に屈折して侵入する。この時光が7色に分かれる。(光の分散)
その2.水滴内で光が反射する。(光の反射)
その3.水滴内を進む光がさらに屈折して空気中へ出ていく。

空気中から水滴内へ入っていった光が反射屈折を経て、7色に分かれて再度空気中へ出ていきます。屈折率は光の波長と媒質によって変わると先ほど紹介しました。光の波長は色ごとに決まっています。媒質は空気と水で同じなので、屈折の仕方はどの水滴でも変わりません。

そのため、虹の順番は「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」に決まっています。

\次のページで「虹にかかる、もう一つの虹とは」を解説!/

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