今回は変形労働時間制とシフト制の違いについてみていきます。アルバイトをしたことがあれば、シフト制についてはよく知っているでしょう。ですが、変形労働時間制についてはどうだ?働き方が多様化されて、最近では変形労働時間制も耳にすることが増えてきたよな。働く時間を選べるのはわかるが、それだけだとシフト制とあまり変わらなさそうじゃないか?今回は会計事務所に勤務しているwebライターの早坂佳歩と一緒に、労働時間に関するルールやメリット・デメリットについて解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら、副業webライターとして活動している。パン職人や営業アシスタントの経験もあり、様々な分野の経験を活かして専門的な知識をわかりやすく解説していく。

変形労働時間制とシフト制の働き方の違いとは?

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変形労働時間制とシフト制、どちらも好きな時間を選んで働けるような気がしますね。しかしこのふたつの制度には明確な違いがあります。変形労働時間制が仕事の量に合わせて時間を調整するのに対し、決められた時間ごとに従業員を交代制で勤務させるのがシフト制です。

変形労働時間制の働き方

1週間に働けるのは、週40時間以内・1日10時間以内と決められています。変形労働時間制とは、ある期間内の労働時間から1週間の労働時間を平均して算出し、出した平均時間がこの基準を超えないように調整する制度です。言葉にすると難しそうで、好きな時間に働けなさそうですね。この制度には期間の区切り方に種類があるので、ひとつずつ詳しくみていきましょう。

1週間単位の変形労働時間制

平均的な1週間の労働時間は、8時間×5日=40時間ですよね。ただ、日によって忙しさに差が出る仕事もあります。週末にお客さんが増える飲食店などが当てはまりますね。月曜日は暇なのに8時間もいるのはもったいない…というときに使える制度です。

たとえば、金曜日は忙しくて10時間働かないといけない!という場合。他の曜日に8時間勤務していたら、1週間の合計は42時間になってしまいます。そこでこの制度を使って調整してみましょう。

・月曜日・火曜日→7時間
・水曜日・木曜日→8時間
・金曜日→10時間
合計40時間

これが1週間単位の変形労働時間制の働き方です。

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1ヶ月単位の変形労働時間制

期間を1ヶ月単位にすると、週40時間や1日8時間という上限を一時的に超えられます。経理などは締め日によって業務の量に差が出るので、月内で調整ができると嬉しいですよね。月末は忙しいので1日10時間、月初は落ち着くから1日6時間、月中は通常通り1日8時間という働き方をするとどうでしょうか。

・月初1日6時間×5日=30時間
・月中1日8時間×5日=40時間
・月末1日10時間×5日=50時間
平均40時間

これが平均して基準を超えないように調整するということです。

1年単位の変形労働時間制

対象期間を1年にする場合も、1週間単位と考え方は変わりません。夏季や冬季、年末年始など、1ヶ月以上1年以内の期間で繁閑の差が大きい業種に適しています。繁忙期は週50時間、閑散期は週30時間というように、平均して40時間になるよう労働時間を調整できるのです。

フレックスタイム制

「フレックス導入」という謳い文句を聞いたことはありませんか?フレックスタイム制も変形労働時間制の一種です。これは他のものと違い、出退勤時間を従業員が決められます。残業をたくさんした次の日は遅い時間に出勤する、というように自分で時間を管理できる制度です。デザイナーやエンジニアなどの勤務で多く取り入れられています。

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シフト制の働き方

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シフト制はよく知られていますね。毎週同じ曜日・同じ時間に勤務する固定シフト制、勤務を希望する曜日・時間を都度申告する自由シフト制が主流です。変形労働時間制では労働時間の合計や平均値が決められているのに対し、シフト制は働く時間や曜日が一定ではありません。プライベートを重視する場合は、シフト制の方が「好きな時間に働ける」と言えるでしょう。

変形労働時間制のメリット・デメリット

業務に合わせて働き方を決められる変形労働時間制。制度を導入することでどんなメリット・デメリットがあるでしょうか。

メリット:労働時間の調整ができる

制度の働き方でも紹介したように、変形労働時間制では労働時間の調整ができることが最大のメリットです。通常の働き方では閑散期でも定時まで勤務しなければいけませんよね。仕事がなくても給与は支払わなければならないので、企業側にとっても嬉しくありません。

制度を導入することで、無駄な時間を削減できることはもちろん、「繁忙期に頑張っただけ閑散期にゆっくりできる!」と従業員のモチベーション維持にも繋がります。

デメリット:導入に時間がかかる

変形労働時間制を導入するには、非常に時間がかかります。まずは導入前に自社の調査をし、繁閑の時期を見極めたり、所定労働時間を適切に割り当てたり、現状を把握し制度が必要かどうかを判断しなければいけません。それから、対象者や労働時間を決め、就業規則を見直し、労使協定を結び、労働基準監督署へ届け出る、という長い工程を経てようやく導入できます。

導入後は労働者への周知を徹底し、運用スタートです。導入前の手続きが、高いハードルとなってしまうかもしれませんね。

シフト制のメリット・デメリット

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シフト制は時間ごとに人員を配置できるという特性により、メリットもデメリットも生じます。

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メリット:残業代が削減できる

シフト制では従業員をバランスよく勤務させることができます。規定された時間で交代となるため、残業代が発生しにくくなるのです。また、残業が少ないことは従業員にとってもメリットとなります。予定が組みやすく、仕事とプライベートの両立がしやすいですよね。

デメリット:人員の確保が難しい

従業員の希望によっては、人員の確保が難しくなることもあります。お盆や年末年始など、世間が長期休暇に入る時期に、従業員も休み希望を出し人手が足りない…ということもしばしば。シフト制の場合は勤務が固定ではないので、このようなときには社内での交渉・調整が必要となるでしょう。

会社に適した制度でより良い労働環境を

変形労働時間制とシフト制、どちらにもメリット・デメリットがあります。会社に向いている制度はどちらか、導入を機に働き方を見直してみるのも良いでしょう。会社の負担が減り、従業員が働きやすい。そんな環境を作るための参考にしてみてくださいね。

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雑学

変形労働時間制とシフト制に違いはある?働き方やメリット・デメリットも会計事務所職員がわかりやすく解説

今回は変形労働時間制とシフト制の違いについてみていきます。アルバイトをしたことがあれば、シフト制についてはよく知っているでしょう。ですが、変形労働時間制についてはどうだ?働き方が多様化されて、最近では変形労働時間制も耳にすることが増えてきたよな。働く時間を選べるのはわかるが、それだけだとシフト制とあまり変わらなさそうじゃないか?今回は会計事務所に勤務しているwebライターの早坂佳歩と一緒に、労働時間に関するルールやメリット・デメリットについて解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら、副業webライターとして活動している。パン職人や営業アシスタントの経験もあり、様々な分野の経験を活かして専門的な知識をわかりやすく解説していく。

変形労働時間制とシフト制の働き方の違いとは?

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変形労働時間制とシフト制、どちらも好きな時間を選んで働けるような気がしますね。しかしこのふたつの制度には明確な違いがあります。変形労働時間制が仕事の量に合わせて時間を調整するのに対し、決められた時間ごとに従業員を交代制で勤務させるのがシフト制です。

変形労働時間制の働き方

1週間に働けるのは、週40時間以内・1日10時間以内と決められています。変形労働時間制とは、ある期間内の労働時間から1週間の労働時間を平均して算出し、出した平均時間がこの基準を超えないように調整する制度です。言葉にすると難しそうで、好きな時間に働けなさそうですね。この制度には期間の区切り方に種類があるので、ひとつずつ詳しくみていきましょう。

1週間単位の変形労働時間制

平均的な1週間の労働時間は、8時間×5日=40時間ですよね。ただ、日によって忙しさに差が出る仕事もあります。週末にお客さんが増える飲食店などが当てはまりますね。月曜日は暇なのに8時間もいるのはもったいない…というときに使える制度です。

たとえば、金曜日は忙しくて10時間働かないといけない!という場合。他の曜日に8時間勤務していたら、1週間の合計は42時間になってしまいます。そこでこの制度を使って調整してみましょう。

・月曜日・火曜日→7時間
・水曜日・木曜日→8時間
・金曜日→10時間
合計40時間

これが1週間単位の変形労働時間制の働き方です。

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