3分で簡単「川瀬巴水」なぜ海外でも人気?生い立ちや代表作も歴史好きライターが詳しくわかりやすく解説
なぜ川瀬巴水の作品は海外でも人気なのか?
川瀬巴水の作品は、近年になり高値で取引されるようになりました。その理由の1つは、川瀬の作品が希少であることです。関東大震災では、川瀬が活動初期に描いた多くのスケッチ画が焼失しました。そして、東京大空襲により、多くの川瀬の作品を失うことになります。
川瀬の作品が国内で少ないのは、それだけが理由ではありません。川瀬の作品は海を越えて海外でも愛されるようになり、海外のコレクターも川瀬の作品を買い求めているためです。日本の技巧的な木版画は、海外でも高く評価されています。さらに、川瀬の描く近代日本の風景は、日本人ならずとも懐かしさを感じさせているようです。
スティーブ・ジョブズも所有していた
川瀬巴水の海外での評価はとても高く、葛飾北斎や歌川広重らと並び称されるほどです。「Hokusai」(北斎)・「Hiroshige」(広重)・「Hasui」(巴水)の頭文字を取って、「風景画の3H」と呼ぶ人もいます。日本国内でも、川瀬巴水は「昭和の広重」と呼ばれていました。
川瀬巴水のコレクターとして最も有名なのは、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズでしょう。彼は物をあまり持たないミニマリストとしても有名でしたが、川瀬の作品は数十点も所有していました。ジョブズは10代の頃より、川瀬の作品を持っていたそうです。友人の家で川瀬の作品を目にし、譲ってくれるよう懇願したのがきっかけでした。
川瀬巴水の版画は国内外で愛されている
衰退しかけた浮世絵を再興させようと、川瀬巴水らが中心となり、新版画を確立させました。浮世絵同様に分業制を採用しつつも、時代とマッチした技法も取り入れているのが新版画の特徴です。旅先の風景を叙情豊かに描いた川瀬の作品は、日本だけにとどまらず、海外でも高い人気があります。そんな川瀬が画家になったのが20代後半からだったのは、意外に思う人も多いでしょう。