今回は「自転速度」がテーマです。

太陽系の惑星が自転していることはみんな知っているな。地球は毎日1回、回転している。ではその回転速度はどれくらいかは知っているか。惑星の自転速度は、惑星の直径や自転周期によって異なる。太陽系には8つの惑星がありますが、自転速度は惑星によってまちまちです。みんなはどの惑星が最も自転速度が速いと思う?

今回は科学館で働く、実験大好きたかはしふみかが天体の自転する速度を解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

探究心があり、自分で調べてみないと気が済まない工学部の出身のリケジョ。大学院では化学を勉強していた。修士の時に学会で賞をもらったことがあり、理科教育がしたくて理系に進み教授の下で研究に励んでいた。

自転とは?公転と何が違うの?

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今回のテーマは「自転」です。皆さんは自転の意味を正しく説明できるでしょうか?まずは自転について確認しましょう。

天体が重心を通る直線の周りを回転すること。地球の自転周期は平均23時間56分4.0905秒(恒星日)であるが、1年かけて太陽の周りを公転しているため太陽に対する地球の自転周期は24時間になる(太陽日)。
(出典:コトバンク「自転」)

自転とは天体が重心を通る直線(地軸)を中心に、惑星がコマのように回ることなのですね。では自転と混乱しやすい公転とはどんなものでしょうか。

惑星,衛星,伴星がそれぞれ太陽,惑星,主星のまわりを周期的に周回運動すること。天体がその軸を中心に回転する自転に対する語。
(出典:コトバンク「公転」)

自転が地軸を中心に回転するのに対し、公転は太陽を中心にその周りを回ることなんですね。公転することで地球には季節の変化が起こり、また見える天体も時期によって異なっているのです。まずはこの違いをしっかりと覚えておいてくださいね。

\次のページで「地軸とはどんなもの?」を解説!/

地軸とはどんなもの?

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ここでさきほどから登場している、自転に欠かせない地軸について解説します。

地軸とは惑星が自転するときの回転軸のことです。地球儀を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。地球儀は地球を貫く棒によって支えられているのです。

また地軸は、南極と北極を結んだ直線のことも意味しています。この地球の地軸が公転軸に対して約23.4度傾いていることも、覚えておいてくださいね。地軸が傾いていることによって南極・北極では太陽が昇らない極夜、太陽が沈まない白夜がおきるのです。

地軸についてはこちらの記事を読んでみてくださいね。

地軸と合わせて覚えたい北極星

地球の地軸と合わせて覚えたいのが、北の夜空に光る「北極星」。北極星は北極側の地軸の延長線上にある星です。地軸は地球の運動の影響を受けずに一定の方向を向いています。そのため、その延長性にある北極星は動いていないように見え、北の方向を示す目印となっているのです。

自転の影響

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自転は地球にどのような影響をもたらしているのでしょうか。太陽の周りを自転している地球。この回転によって少しずつずれながら地球の半分は太陽側に面して光が当たっています。一方、太陽と反対側は太陽の光が当たりません。

この太陽に面する側が、太陽と反対側がとなるのです。24時間で地球が1回自転をしているので、地球は約24時間でもう一度太陽がのぼってくるのですね。

なぜ人類は地球の自転に気付いたか?と思った人はこちらの記事もどうぞ。

もし自転が止まったら?

普段地球にいても、自転を感じている人はいないでしょう。それは地球がいつも一定の速さで回転し、私たちが地面や空気と一緒に動いているからです。ではもしある日突然地球が止まったらどうなるのでしょうか。

まず、地球が急に止まると電車が急ブレーキをかけるのと同じ状況になります。電車が急ブレーキをしたら人は前につんのめりますね。スピードによっては壁にげき突するかもしれません。これは「慣性の法則」によっておこる現象です。

物理を学ぶ上で欠かせない、慣性の法則についてはこちらの記事をどうぞ。

また自転だけ止まって公転は続く場合、公転によってのみ太陽側の面と反対側の面が入れ替わるようになります。つまり1年の半分は日が当たり続け、もう半分は日が当たらないようになってしまうのです。まるで北極や南極の白夜や極夜のようですね。

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太陽系の惑星、自転にかかる時間はどれくらい?

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自転について分かったところで、いよいよ太陽系の惑星の自転スピードについて学んでいきましょう。太陽系には水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8つの惑星があります。

自転にかかる時間

自転にかかる時間

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自転にかかる時間が最も短いのは、木星の9時間55分。一方最も自転に時間がかかっているのは金星の約117日です。では自転にかかる時間が最も短い木星が最も時速速度が速いのでしょうか。

上の表をよく見てください。惑星の直径がバラバラです。直径が大きいほど円周も大きくなります。例えば地球と火星は自転にかかる時間は同じくらいですが、直径は火星の方が地球の半分より少し大きいくらいです。ということは、地球の方が速いスピードで回転する必要があります。また地球と金星は同じくらいの大きさの惑星ですが、自転にかかる時間をくらべると金星はなんと4か月もかけて1回自転しているのです。

太陽系と自転速度

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これを踏まえて自転速度を比べてみましょう。なお、これは惑星の直径から赤道の長さを算出して赤道の長さ÷自転時間で計算した赤道での速度です。しかし実際の赤道の長さとはずれが生じています。なので以下の数値はあくまで目安と考えてください。

・海王星 9.66km/h   2.68m/s
・水星  10.9km/h  3.02m/s
・金星  13.6km/h   3.77m/s
・火星  865km/h  240m/s
・地球  1,669km/h 463m/s
・天王星 9,314km/h 2,587m/s
・土星  37,046km/h  10,290m/s
・木星  45,228km/h  12,564m/s  

時速で比べると、最も速く自転しているのは木星です。木星は地球の10倍以上の直径ですが、自転にかかる時間は半分以下。いかに木星の自転速度が速いかが想像できますね。一方、最もゆっくり自転しているのは海王星です。

地球の直径はどうやって計算されたのか、という事はこちらの記事を参考にして下さいね。

地球の自転速度、比べてみると?

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地球の速さは時速約1670㎞分速約28km、そして秒速463mです。これでは速そうだな、とはわかるもののどれくらい速いのかあまりイメージできないですね。そこで、乗り物や光の速さと比べてみましょう。

\次のページで「地球の自転速度はどれくらいのスピード?」を解説!/

・自動車(時速60㎞) 約16.7m/s
・新幹線(リニア中央新幹線の最高速度)   約168m/s
・音        約340m/s
・地球の自転速度  約460m/s
・光        約30万km/s

音よりも速い地球の自転。それにしても圧倒的に光が速いのですね。それもそのはず、光は1秒間に地球を7周半することができるほど速いのです。

光の速さがどれくらいかについては、こちらの記事を参考にして下さいね。

地球の自転速度はどれくらいのスピード?

自転している地球。地球上にいたら気づけませんが、音よりも速い速度で地球は回っています。地球が自転しているから地球には朝がやってきて、夜が来るのです。

自転する惑星は地球だけではありません。他の惑星も自転してます。自転周期の期間と自転速度は異なるので、注意してくださいね。

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地学理科

地球の自転速度はどれくらい?太陽系の惑星の自転速度を科学館職員がわかりやすく解説

今回は「自転速度」がテーマです。

太陽系の惑星が自転していることはみんな知っているな。地球は毎日1回、回転している。ではその回転速度はどれくらいかは知っているか。惑星の自転速度は、惑星の直径や自転周期によって異なる。太陽系には8つの惑星がありますが、自転速度は惑星によってまちまちです。みんなはどの惑星が最も自転速度が速いと思う?

今回は科学館で働く、実験大好きたかはしふみかが天体の自転する速度を解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

探究心があり、自分で調べてみないと気が済まない工学部の出身のリケジョ。大学院では化学を勉強していた。修士の時に学会で賞をもらったことがあり、理科教育がしたくて理系に進み教授の下で研究に励んでいた。

自転とは?公転と何が違うの?

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今回のテーマは「自転」です。皆さんは自転の意味を正しく説明できるでしょうか?まずは自転について確認しましょう。

天体が重心を通る直線の周りを回転すること。地球の自転周期は平均23時間56分4.0905秒(恒星日)であるが、1年かけて太陽の周りを公転しているため太陽に対する地球の自転周期は24時間になる(太陽日)。
(出典:コトバンク「自転」)

自転とは天体が重心を通る直線(地軸)を中心に、惑星がコマのように回ることなのですね。では自転と混乱しやすい公転とはどんなものでしょうか。

惑星,衛星,伴星がそれぞれ太陽,惑星,主星のまわりを周期的に周回運動すること。天体がその軸を中心に回転する自転に対する語。
(出典:コトバンク「公転」)

自転が地軸を中心に回転するのに対し、公転は太陽を中心にその周りを回ることなんですね。公転することで地球には季節の変化が起こり、また見える天体も時期によって異なっているのです。まずはこの違いをしっかりと覚えておいてくださいね。

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