実際の雨粒の速度は?
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以上の説明で、雨粒の力学についての理論が身についたかと思います。ですが、実際の雨粒の速度がどの程度であるのか、理論と実際の現象の間で誤差はあるのかといった議論はできていません。
そこで本チャプターの目的は、実測された雨粒の速度を知り、それと物理公式による値にどのような違いがあるのかを明らかにすることとします。これらはあらゆる学問を学ぶ上で必要とされる重要な視点ですよ。
測定された雨粒の落下速度
まずは測定された雨粒の落下速度について考えてみましょう。雨粒の落下速度の計測はハイスピードカメラの登場により、高い精度で測定できるようになりました。
直径が0.5[mm]程度の小雨の場合、落下速度は2.2[m/s]程度になります。それより少し大きい直径1.0[mm]ですと、落下速度は6.2[m/s]程度になりますよ。また、ゲリラ豪雨のような直径3.0[mm]を超える雨粒では、落下速度は7.0[m/s]を超えます。
公式と実際の速度の違い
先ほど紹介した実測値と公式を比較すると、直径が大きくなるほど誤差が大きくなることがわかります。誤差の生じる原因は複数ありますが、解に最も影響を与えている要素は雨粒の形状です。
雨粒を構成しているのは液体の水ですから、落下速度が大きくなるとひずみが発生し、形状が球から楕円体に近くなります。これにより、空気抵抗が理論値から外れ、実測値と公式の間の誤差が大きくなるのです。
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