雨粒の速度公式を求めよう!
予備知識が揃ったので、ここからは本題である雨粒の速度を求めることができる公式について述べます。また、今回は雨粒の終端速度を、雨粒の速度として定義しますね。以下では、雨粒に作用する重力→雨粒が受ける空気抵抗→雨粒の速度の順番で公式を導きます。
なお、以下では様々なパラメータが登場しますよ。そこでは、そのパラメータが大気に関する値であるのか、それとも雨粒に関する値であるのかという点が重要になります。
1.雨粒に作用する重力
image by Study-Z編集部
雨粒に作用する重力は、(雨粒の質量)×(重力加速度)で導出できます。雨粒の形状が球であると仮定すると、その体積は(4/3)πr3となりますよね。ここで、πは円周率、rは雨粒の半径です。さらに、質量と密度の積は質量になるので、雨粒の密度をρとすると雨粒の質量は(4/3)πr3ρとなります。
次に重力加速度について考えましょう。地球上では、重力加速度はほぼ同じ値になることが知られています。一般に、重力加速度g=9.8[m/s2]になるのです。したがって、雨粒に作用する重力を数式で表現すると、(4/3)πr3ρgとなります。
2.雨粒が受ける空気抵抗
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雨粒に作用する空気抵抗は、(ρv2πr2Cd)/2となります。ここで、ρは雨粒の密度、vは雨粒の落下速度、πは円周率、rは雨粒の半径、Cdは抗力係数です。この式から、雨粒に作用する空気抵抗の大きさは、落下速度の2乗に比例することがわかります。
また、抗力係数Cdはレイノルズ数という指標に依存する値ですが、今回は議論を簡単にするために定数として扱うことにしますね。また、ここで紹介した空気抵抗の式は雨粒のように小さい物体にのみ適応可能であることも重要な事項となります。
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3.雨粒の速度
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終端速度の理論により、雨粒の落下速度は重力と空気抵抗のつりあいを考えることで導出できます。両者のつりあいの式は、(4/3)πr3ρg=(ρv2πr2Cd)/2となりますよ。この式を、雨粒の落下速度vについて解くと、v=√(8rg/3Cd)となります。
ここで、重力加速度gおよび抗力係数Cdは定数ですから、雨粒の半径rが大きいほど雨粒の落下速度vも大きくなることがわかるのです。傘をさしているときの感覚を思い出すと、雨粒の小さい小雨よりも大粒のゲリラ豪雨のほうが、雨粒のぶつかる速度が大きいですよね。
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