この記事では消耗品と備品の違いについてみていきます。消耗品も備品も、普段から使うことが多い言葉ですね。ただ、意味の違いを知っているか?例えば教師が使っている赤ペン。すぐになくなるから消耗品のような気がしますが、学校の備品になるような気もする。区別するのが難しいよな。今回は会計事務所に勤務しているwebライターの早坂佳歩を呼んです。会計処理の観点から、消耗品と備品の違いについて徹底解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら、副業webライターとして活動している。パン職人や営業アシスタントの経験もあり、様々な分野の経験を活かして専門的な知識をわかりやすく解説していく。

「消耗品」と「備品」の違いって?

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消耗品も備品も、職場などでよく耳にしますよね。どちらも似たようなニュアンスで使っていることが多いかもしれませんが、これらには明確な違いがあるのです。

消耗品の定義

消耗品は、「取得価格が10万円未満かつ耐用年数が1年未満のもの」のことを言います。まさに消耗が早いものですね。筆記具やコピー用紙などの事務用品、ティッシュペーパーや電池などの日用品、机や電話などの機器什器、マウスやキーボードなどのパソコン用品が消耗品に区分されます。

その他にも、日常的に購入する多数のものが消耗品に該当するでしょう。セキュリティソフトを導入したときなど、無形のものも消耗品として計上します。

備品の定義

備品は、「取得価格が10万円以上かつ耐用年数が1年以上のもの」のことを言います。業務・職場のための大きな買い物、というイメージでしょうか。パソコンや空調設備などの社内で使うものから、飲食店の陳列ケースや服飾店のマネキン看板など様々なものが備品に区分されます。

物品によって区分されている訳ではないので、パソコンを8万円で購入したとしたら、備品ではなく消耗品で計上することができるのです。

消耗品の会計処理

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消耗品を購入したときの会計処理には2通りの方法があります。会社によって定められた方法で計上しましょう。

\次のページで「購入時に資産として計上」を解説!/

購入時に資産として計上

1つ目は、購入時に資産として計上する方法です。決算のときに、使った分だけを資産から費用に振り替えます。例えば、1,000円分のペンを現金で購入して、決算までに700円分使ったとすると、仕訳はこのようになりますね。

<購入時>
貯蔵品 1,000 / 現金 1,000
<決算時>
消耗品費 700 / 貯蔵品 700

購入時に費用として計上

もう1つは、購入時に費用として計上する方法です。決算のときに、使わなかった分を費用から資産に振り替えます。前述と同じ例で、仕訳の違いをみてみましょう。

<購入時>
消耗品費 1,000 / 現金 1,000
<決算時>
貯蔵品 300 / 消耗品費 300

備品の会計処理

備品は消耗品とは違い、購入時の会計処理は1通りだけです。

\次のページで「購入時は資産として計上」を解説!/

購入時は資産として計上

備品を購入したときは、資産として計上します。例えば20万円のパソコンを現金で購入した場合、仕訳はとてもシンプルです。

<購入時>
備品 200,000 / 現金 200,000

備品は減価償却の対象

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備品を購入したら、減価償却をしていかなくてはなりません。では、減価償却とはなんでしょうか。

減価償却とは

備品は消耗品と違って、どれだけ使用したのかという判断が難しいです。「20万円のパソコンを、今年は6万円分くらい使ったから6万円を経費にしよう!」とはできません。そこで、減価償却が必要になってきます。減価償却とは、耐用年数に応じて分割して費用計上していくことです。

減価償却の計算方法

減価償却には「定額法」「定率法」の2つの計算方法があります。

定額法とは、取得価格×償却率で減価償却額を出す方法です。定額法は名前の通り、減価償却額が毎年同じ額になります。そのため計算がわかりやすく、資産計画を立てやすいですね。

一方定率法は、一定の割合で減価償却をしていく方法です。未償却額×償却率で償却額を出すのですが、定率法は定額法に比べて計算方法が複雑になります。

定率法の計算を簡単な数字でみてみましょう。50万円で購入した備品を償却するとして、1年目は取得価格の50万円×償却率で計算します。1年目の償却額が1万円だとすると、2年目の未償却額は50万円−1万円で49万円になるため、償却額の計算は49万円×償却率となるのです。

定率法では1年目の償却額が大きくなるので、経費回収を早めにできるという強みがあります。

\次のページで「減価償却の会計処理<直接法>」を解説!/

減価償却の会計処理<直接法>

直接法とは、減価償却費を資産から直接引く方法です。現在の資産価値がいくらなのかがすぐにわかります。20万円で購入したパソコンを直接法で減価償却してみましょう。

・パソコンの耐用年数:4年
・減価償却額:50,000円(定額法で計算)
・減価償却費 50,000 / 備品 50,000
・償却後の備品の価値:20万円−5万円=15万円
帳簿上ですぐにわかる

減価償却の会計処理<間接法>

間接法とは、減価償却した額を資産から引かずに累計額を計上する方法です。「減価償却累計額」という勘定科目を使い、いくら償却してきたかが一目でわかります。また、資産から引かないので取得価格も把握できますね。同じくパソコンを例に、間接法で減価償却してみましょう。

・パソコンの耐用年数:4年
・減価償却額:50,000円(定額法で計算)
・減価償却費 50,000 / 減価償却累計額 50,000
・1年目の減価償却累計額=5万円
年々の累計額が把握できる

しっかり見極めて正しい会計処理を

消耗品は購入時の処理方法に、備品は減価償却の処理方法に種類がありましたね。会計処理をどの方法で行うかは会社で決められています。わかりやすく、今後の計画を立てやすい帳簿を作るために、それぞれのメリットをよく理解して会計処理をしていきましょう。

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雑学

3分でわかる「消耗品」と「備品」の違い!会計処理や減価償却も会計事務所職員がわかりやすく解説

この記事では消耗品と備品の違いについてみていきます。消耗品も備品も、普段から使うことが多い言葉ですね。ただ、意味の違いを知っているか?例えば教師が使っている赤ペン。すぐになくなるから消耗品のような気がしますが、学校の備品になるような気もする。区別するのが難しいよな。今回は会計事務所に勤務しているwebライターの早坂佳歩を呼んです。会計処理の観点から、消耗品と備品の違いについて徹底解説していきます。

ライター/早坂佳歩

会計事務所に勤務しながら、副業webライターとして活動している。パン職人や営業アシスタントの経験もあり、様々な分野の経験を活かして専門的な知識をわかりやすく解説していく。

「消耗品」と「備品」の違いって?

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消耗品も備品も、職場などでよく耳にしますよね。どちらも似たようなニュアンスで使っていることが多いかもしれませんが、これらには明確な違いがあるのです。

消耗品の定義

消耗品は、「取得価格が10万円未満かつ耐用年数が1年未満のもの」のことを言います。まさに消耗が早いものですね。筆記具やコピー用紙などの事務用品、ティッシュペーパーや電池などの日用品、机や電話などの機器什器、マウスやキーボードなどのパソコン用品が消耗品に区分されます。

その他にも、日常的に購入する多数のものが消耗品に該当するでしょう。セキュリティソフトを導入したときなど、無形のものも消耗品として計上します。

備品の定義

備品は、「取得価格が10万円以上かつ耐用年数が1年以上のもの」のことを言います。業務・職場のための大きな買い物、というイメージでしょうか。パソコンや空調設備などの社内で使うものから、飲食店の陳列ケースや服飾店のマネキン看板など様々なものが備品に区分されます。

物品によって区分されている訳ではないので、パソコンを8万円で購入したとしたら、備品ではなく消耗品で計上することができるのです。

消耗品の会計処理

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消耗品を購入したときの会計処理には2通りの方法があります。会社によって定められた方法で計上しましょう。

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