文化と文明の違いとは?定義や使い分けのポイント・英語表現・例文も雑学好きの元書店員がわかりやすく解説
文化と文明の使い分けを例文でチェック!
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続いて文化と文明の例文を見ていきましょう。前の章で解説した違いを意識しながら例文を読むと、より使い分けがしやすくなりますよ。
文化の例文
まずは文化を使った例文を見ていきましょう。
・異文化交流において最も重要なのは、他文化を尊重する気持ちである
・茶の湯や水墨画は室町時代を代表する文化だ
・企業文化とは、企業内で共有されている価値観やルールを指している
・キリスト教はヨーロッパのあらゆる文化に多大な影響を与えてきた
・日本の漫画やアニメを中心とするオタク文化は年々発展してきている
文明の例文
続いて文明を使った例文を見ていきましょう。
・明治時代の日本に西洋の文明が流入してきたことで、文明開化がおこった
・メソポタミア文明は紀元前3000年頃に誕生した世界最古の文明である
・現代の日本では文明を捨てて生活することは難しいと言えるだろう
・自動車文明によって人や物の長距離の移動が可能となった
・スマートフォンやタブレットは、現代における文明の利器である
文化の英語表現・語源
文化は英語「culture」の訳語で、その語源はラテン語の「colore」であると言われています。「colore」は、「耕す」、「住む」、「崇拝する」などの意味がありますが、この中でも「耕す」という意味が現在の「文化」と深い関連を持っているのです。耕すという行動によって、人間は自然環境に手を加え、自分たちの過ごしやすい土地に作り変えてきたと言えるでしょう。
そうした流れで地域に根ざした生活や行動のしかた、つまり文化が形成されていったことは想像しやすいですね。このことから、ラテン語の「colore」が英語の「culture」になり、日本語で「文化」と訳され一般的に使われるようになったのです。
文明の英語表現・語源
文明は英語「civilization」の訳語で、その語源はラテン語の市民「civis」や都市「civitas」に由来しています。このことから、文明は市民が生活する都市を前提とした言葉だと言えるでしょう。「civilization」は「都市化」という意味も持ちますが、これはまさに人々の知恵によって世の中が進歩した状態のことであり、市民が寄り集まった都市から文明という言葉が生まれた経緯がイメージしやすいですね。
文化は「耕す」、つまり土地と深い関連を持つのに対し、文明は「市民」や「都市」と繋がりのある言葉だと考えると違いも理解しやすくなるでしょう。
文化も文明も多くの意味を含んだ言葉
文化や文明はとても多くの意味を持っており、いくら調べてもなかなか理解が難しい部分がありますよね。便利さの一方で、その曖昧さから、現在までさまざまな分野の専門家が個別の定義を主張してきた言葉でもあります。文化と文明の違いは判断に迷うところがありますが、今回解説した内容を大まかな目安として使ってみてくださいね。