この記事では味噌と醤油の違いについてみていきます。どちらも日本の料理を作る際に欠かせない調味料です。日本に住んでいるほとんどの家庭に味噌と醤油があるでしょう。そんな味噌と醤油はどちらも大豆からできているが、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、そんな味噌と醤油の製造方法やルーツなどについて触れながら、雑学好き現役大学院生ライターのききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

植物について研究している現役大学院生。生物や植物だけでなく、言語や旅行、文化などあらゆるジャンルにも興味がある。誰もが面白い・分かりやすいと思ってくれるようなライターを目指している。

違い1. 誕生するまでの過程

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味噌と醤油の1つ目の違いは、それらが誕生した過程です。味噌と醤油はそれぞれどのように誕生したのでしょうか。また、どちらが先に生まれ、どのように食べられていたのでしょうか。ここでは、味噌と醤油が誕生するまでの過程について簡単に解説していきます。

味噌:「醤」の熟成途中で誕生した

味噌は、「醤(しょう、ひしお)」という中国古代の大豆塩蔵食品から生まれたと言われています。実は味噌は、この醤を熟成させる途中のもの。この味がとても良かったことから新たな食品として発展したのです。

「味噌」の名前の由来は、「未だ醤になっていないもの」から「未醤(みしょう)」になり、それが「みしょ」から「みそ」へと変化したと考えられています。

味噌はいつからどのように日本に伝わってきたのかは不明ですが、平安時代では既に食べられていました。この時代の味噌は今と違って高級品で、庶民が口にすることはなかったそう。味噌を調味料として使われることはほとんどなく、舐めたり、ご飯に付けたりして食べられていました。室町時代では、現在の味噌料理のほとんどがこの時代に作られたとされ、保存食として庶民にも広まったのです。

醤油:味噌から生まれた

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実は、醤油はある味噌を生成する途中で生まれたと言われています。

その味噌とは、鎌倉時代に信州の禅僧である覚心が伝えたとされる、中国の径山寺味噌(きんざんじみそ)。覚心は、この味噌の製法を和歌山県の西方寺へと持ち帰り、和歌山県を中心に広まったとされます。径山寺味噌には、ナスやキュウリなどの夏野菜が入っており、おかずとしてご飯と一緒に食べられていたそう。

この味噌を製造する過程で、桶の底に溜まっていた液体が醤油の原型と言われているのです。この調味料の製造方法は主に寺院に広まり、室町時代の中頃には、現在の醤油とほぼ同じようなものが出来上がりました。江戸時代になると濃口醤油が広まり、そばや天ぷら、蒲焼きなどの調味料として使われるようになったのです。

違い2. 味噌と醤油の作り方

味噌は醤から、醤油は味噌から生まれたのでした。私たちの生活では、この2つの調味料は欠かせませんよね。そんな少し似たルーツを持っている醤油と味噌は現在、どのように作られているのでしょうか。ここでは、味噌と醤油の製造方法について簡単に解説していきます。

味噌:原料は大豆・米・麦・食塩

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味噌を作るためには、大豆と米、麦、食塩が必要です。味噌づくりには大豆が必用不可欠。特に、煮えやすく、炭水化物含量が多く、大粒で光沢がある大豆は味噌に良いとされています。また、米と麦は麹を作る原料となっており、この2つも味噌作りには欠かせません。詳しい製造方法を以下にまとめました。

1.  原料に塩を加える:味噌の香りや微生物を作る
2.  麹を作る:蒸した米と麦に麹菌の元を散布して麹を作る
3.  大豆を水に浸けて蒸す:よく水分を含ませる
4.  大豆を磨り潰す:よく冷やしてから潰す
5.  発酵、熟成させる:大豆と麹、酵母菌、食塩などを混ぜる
6.  検査する:アルコール、色度、微生物検査など
7.  容器に詰める:一定量の味噌を入れる

\次のページで「醤油:原料は大豆・小麦・食塩」を解説!/

醤油:原料は大豆・小麦・食塩

醤油の原料は大豆と小麦と食塩。大豆を蒸したり、小麦を炒めたりすることで麹菌の酵素が反応しやすくなります。これによって醤油にコクや甘味、おいしさが生まれるのです。詳しい醤油の製造方法を以下にまとめました。

1.  大豆を蒸す:タンパク質がアミノ酸に分解され、おいしさが生まれる
2.  小麦を炒める:デンプンがブドウ糖に変わって甘味とコクが生まれる
3.  食塩を加える:雑菌の活動抑制、酵母菌と乳酸菌の働き促進
4.  麹を作る:麹菌が育ちヤシ環境でつくり、1と2を混ぜる
5.  発酵、熟成させる:食塩水と酵母を加えてもろみを作る
6.  圧搾する:熟成したものを搾る(搾ったものを「生揚げ」という)
7.  調合と火入れをする:生揚げの調合・加熱し、殺菌と香り、味、色を調整
8.  検査する:香り、味、色をチェック
9.  容器に詰める:クリーンルーム内で行われる

味噌と醤油の種類とは?

ここまで、味噌と醤油の歴史とそれぞれの製造過程について解説しました。ここからは、味噌と醤油の種類について解説していきます。味噌と醤油は、原材料の調合や加工の仕方によって、様々な味が作り出されるのです。それぞれの特徴に合うような料理に使うと、より美味しくなりますよ。

味噌の種類について

味噌は、加えた麹の種類によって分類することができるのです。味噌を作るために使われる麹として、米麹と麦麹があります。大豆に米麹を加えたものが「米味噌」、大豆に麦味噌を加えたものを「麦味噌」と言うのです。また、大豆のみを使用した味噌「豆味噌」と呼びます。

さらに、味噌は辛口と甘口に分けることができますよ。この味の違いは食塩によるものと、麹歩合によって決まるのです。

以下に味噌の種類とその味と産地をまとめました。

\次のページで「醤油の種類について」を解説!/

米味噌:甘味噌と甘口味噌、辛口味噌。米味噌は全国各地で作られる。
麦味噌:甘口味噌と辛口味噌。九州、四国、中国、関東地方で作られる。
豆味噌:中京地方で作られる。

醤油の種類について

醤油は5つに分けることができます。熟成期間によって醤油の色味と味が変わってくるのです。熟成期間が短いほど、醤油の色が薄くなり、素材の味を楽しめます。一方、熟成期間が長いほど、色が濃くなり、食材に旨味を与えることができるのです。以下に熟成期間が短い醤油から、その種類についてまとめました。

白醤油:素材の味を生かせる。炊き込みご飯や茶わん蒸しに良い。
淡口醬油:西日本に多くやや塩分高め。冷ややっこやお寿司と合う。
甘口醤油:九州や北陸に多く、地域によって甘味が異なる焼きおにぎりや卵かけご飯に合う。
濃口醤油:全国的に生産されている。流通している80%の醤油が濃口醤油。万能。
再仕込醤油:醤油を醤油で仕込んだ。刺身におすすめ。
溜醤油:中部地方に多く、旨味たっぷり。お寿司や照り焼きに良い。

味噌は醤から、醤油は味噌から生まれた!

味噌は中国の醤から生まれ、醤油は味噌から生まれたのでしたね。また、両者は似たようなルーツでありながら、製造方法は異なるのでした。この製造方法によって様々な味が生まれる味噌と醤油。料理によってそれらを使い分けると、素材を楽しめたり、旨味を味わえたりすることができそうですね。

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雑学食べ物・飲み物

味噌と醤油の違いとは?歴史と作り方の違いについても雑学好き現役大学院生がわかりやすく解説

米味噌:甘味噌と甘口味噌、辛口味噌。米味噌は全国各地で作られる。
麦味噌:甘口味噌と辛口味噌。九州、四国、中国、関東地方で作られる。
豆味噌:中京地方で作られる。

醤油の種類について

醤油は5つに分けることができます。熟成期間によって醤油の色味と味が変わってくるのです。熟成期間が短いほど、醤油の色が薄くなり、素材の味を楽しめます。一方、熟成期間が長いほど、色が濃くなり、食材に旨味を与えることができるのです。以下に熟成期間が短い醤油から、その種類についてまとめました。

白醤油:素材の味を生かせる。炊き込みご飯や茶わん蒸しに良い。
淡口醬油:西日本に多くやや塩分高め。冷ややっこやお寿司と合う。
甘口醤油:九州や北陸に多く、地域によって甘味が異なる焼きおにぎりや卵かけご飯に合う。
濃口醤油:全国的に生産されている。流通している80%の醤油が濃口醤油。万能。
再仕込醤油:醤油を醤油で仕込んだ。刺身におすすめ。
溜醤油:中部地方に多く、旨味たっぷり。お寿司や照り焼きに良い。

味噌は醤から、醤油は味噌から生まれた!

味噌は中国の醤から生まれ、醤油は味噌から生まれたのでしたね。また、両者は似たようなルーツでありながら、製造方法は異なるのでした。この製造方法によって様々な味が生まれる味噌と醤油。料理によってそれらを使い分けると、素材を楽しめたり、旨味を味わえたりすることができそうですね。

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