この記事では「山をなす」について解説する。
端的に言えば「山をなす」の意味は「たくさんたまる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「山をなす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「山をなす」の意味をわかりやすく伝える。

「山をなす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「山をなす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「山をなす」の意味は?

「山をなす」には、次のような意味があります。

うずたかくなる。たくさんたまる。山積する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「山をなす

「山をなす」は「やまをなす」と読み、何かの物事や物質がたくさん積み上がった・溜まった際に使用する言葉です。紙や書類といった実際にある物質を指す際にも使用できますし、タスクややることといった物質以外の事象に対しても使用できますよ。

「山をなす」の語源は?

次に「山をなす」の語源を確認しておきましょう。「山をなす」の語源は明確ではありませんが、2つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「山」は「高く積み上げたもの。」または「たくさん寄り集まっていることや多いこと。」の意味でしょう。どちらも「陸地の表面が周辺の土地よりも高く盛り上がった所。」というまさしく物質的な「山」になぞらえた意味ですね。次に「なす」は「成す」の「ある形・状態などをしている」という意味が近いでしょう。

そのため「山をなす」を丁寧に言い回すと、「たくさん寄り集まっていたり多かったりしている」となることがわかりますね。

「山をなす」の使い方・例文

「山をなす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. あの上司はステレオタイプな人だから、机の上に書類が山をなしているよ。クリアデスクって言葉、知らないのかな。
2. 変にテレビで特集されてしまったから、あのラーメン店に人が山をなして押しかけているみたい。確かに美味しいのだけれど、しばらくは行けないなぁ。
3. 来週までにやるべきタスクが山をなしていて、目がぐるぐる回っているんだ。ちょっと、何個かタスクを引き受けてくれない?

どの例文においても「山をなす」は何かの物事や物質が溜まっている様子を示していることがわかりますね。特に例文の1と2は書類や人といった物質が、例文の3はタスクという物質以外のものが溜まっていることが確認できます。

「山をなす」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「山をなす」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「積み上げる」:物を高く重ねること

今回最初にご紹介する類義語が「積み上げる」(つみあげる)です。口語でもよく使用する慣用句ですが、念のため国語辞典で意味を確認しておきましょう。

\次のページで「「折り重なる」:人や物が乱れて重なり合うこと」を解説!/

1. 物の上にさらに積む。物を高く重ねる。
2. 積み終わる。
3. ある物事を順次重ねていき、高い水準に達するようにする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「積み上げる

「山をなす」の類義語としては1の意味ですね。同じ意味を有していますが、比較すると「積み上げる」は「物質」に限定した慣用句というところが違いと言えるでしょう。

「折り重なる」:人や物が乱れて重なり合うこと

次にご紹介する類義語が「折り重なる」(おりかさなる)です。こちらも意味を確認しておきます。

人や物が次々と乱れて重なり合う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「折り重なる

「折り重なる」は何かの物質が山になっていくという点では「山をなす」と類似していますが、違いとしては「乱れて重なる」というニュアンスが含まれていることと言えるでしょう。

「山積」:処理すべきことが溜まること

今回最後にご紹介する類義語が「山積」(さんせき)です。こちらも意味を確認しておきます。

山のようにうず高く積もること。また、処理すべき仕事・問題などがたくさんたまること。やまづみ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「山積

このように「山積」は物質および物質以外に使用できるという点においても、「山をなす」とほぼ同じ意味を有していることがわかりますね。「さんせき」としっかりと読めるようにしておきましょう。

\次のページで「「山をなす」の対義語は?」を解説!/

「山をなす」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「山が見える」:完成までの見通しがつく

「山をなす」の対義語としては「山が見える」(やまが見える)が挙げられるでしょう。「事が進んで、完成までの見通しがつく。」という意味ですから、課題なりが山積み状態の「山をなす」とは対義関係にあることがわかりますね。

「山をなす」の英訳は?

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最後に、「山をなす」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「pile up」:山積みである

「山をなす」を英語で言い回す場合には「pile up」が良いでしょう。「山積み」や「積み重なる」という意味で使用できます。以下に例文を見てみましょう。

・I have to deal with these piles up of papers first before I can handle the meat I select. I can't entrust my cattle to someone who can't clean up after them.
精選したお肉を取り扱うには、山をなしたこれらの書類をまず処理する必要があるよ。片づけができない人には私の牛は預けられないからね。

・Let's first have a meeting with the parties concerned to discuss the issues that are piling up. Many of the issues are not resolved even after the meeting, but let's just start.
山をなした課題について、まず関係者でミーティングしましょうか。ミーティングしても解決しないことが多いのだけれど、とりあえずね。

・If I hadn't been home at all, my roommate wouldn't clean up, and the garbage was piling up.
全然家に帰っていなかったら、ルームシェアしている人が掃除してくれなくて、ごみが山をなしていたのよ。

「山をなす」を使いこなそう

この記事では「山をなす」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「山をなす」は何かの物事や物質がたくさん積み上がった・溜まった際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、何らかのタスクを「山をなす」ように溜めてしまう人は必ずいるものですから、そのような人に対しては早めにタスクを処理するよう促したり、マネジメントを行う人をつけたりして、危機的状況になる前に解決しておく必要がありますよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「山をなす」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「山をなす」について解説する。
端的に言えば「山をなす」の意味は「たくさんたまる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「山をなす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「山をなす」の意味をわかりやすく伝える。

「山をなす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「山をなす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「山をなす」の意味は?

「山をなす」には、次のような意味があります。

うずたかくなる。たくさんたまる。山積する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「山をなす

「山をなす」は「やまをなす」と読み、何かの物事や物質がたくさん積み上がった・溜まった際に使用する言葉です。紙や書類といった実際にある物質を指す際にも使用できますし、タスクややることといった物質以外の事象に対しても使用できますよ。

「山をなす」の語源は?

次に「山をなす」の語源を確認しておきましょう。「山をなす」の語源は明確ではありませんが、2つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「山」は「高く積み上げたもの。」または「たくさん寄り集まっていることや多いこと。」の意味でしょう。どちらも「陸地の表面が周辺の土地よりも高く盛り上がった所。」というまさしく物質的な「山」になぞらえた意味ですね。次に「なす」は「成す」の「ある形・状態などをしている」という意味が近いでしょう。

そのため「山をなす」を丁寧に言い回すと、「たくさん寄り集まっていたり多かったりしている」となることがわかりますね。

「山をなす」の使い方・例文

「山をなす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. あの上司はステレオタイプな人だから、机の上に書類が山をなしているよ。クリアデスクって言葉、知らないのかな。
2. 変にテレビで特集されてしまったから、あのラーメン店に人が山をなして押しかけているみたい。確かに美味しいのだけれど、しばらくは行けないなぁ。
3. 来週までにやるべきタスクが山をなしていて、目がぐるぐる回っているんだ。ちょっと、何個かタスクを引き受けてくれない?

どの例文においても「山をなす」は何かの物事や物質が溜まっている様子を示していることがわかりますね。特に例文の1と2は書類や人といった物質が、例文の3はタスクという物質以外のものが溜まっていることが確認できます。

「山をなす」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「山をなす」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「積み上げる」:物を高く重ねること

今回最初にご紹介する類義語が「積み上げる」(つみあげる)です。口語でもよく使用する慣用句ですが、念のため国語辞典で意味を確認しておきましょう。

\次のページで「「折り重なる」:人や物が乱れて重なり合うこと」を解説!/

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