英語でよく使う「たくさんの」の意味になる英単語「many」と「much」ですが、どのような違いがあるか知っているか。日本語の意味としては同じですが、英語の感覚として考えると違う表現になるぞ。
今回はこの「many」と「much」の違いを現役塾講師でもあるライター明東碧吾と一緒に解説していきます。

ライター/明東碧吾

現役の塾講師ラーターで、文系科目を指導中。社会科が専門ではあるが、高校英文法まで指導でき、わかりやすい英語と生徒から定評を得ている。

大きな違いは後にくる「名詞」!使用パターンの違いは何だ?

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英語で「たくさんの」を表記する形容詞に「many」や「much」があります。また、同意表現として「a lot of」や「lots of」もありますね。では、どのようなときに使うのが正しいのか、用法を見ていきましょう。

可算名詞で使われる「many」

英語には可算名詞不可算名詞の二つがあります。可算名詞とは数えることができる名詞のことです。例えば、appleやcatなど1・2と数えることができる名詞のことになります。不可算名詞は液体や粉末のようなそのもので数えることができない名詞のことです。

I have many books in my house. (私は家にたくさんの本がある。)
book(本)は1冊2冊と数える可算名詞

「many」は数の多さを表す言葉なので、後ろにくる名詞が必ず可算名詞になります。日本語訳が「たくさんの」になりますから、後ろの名詞は複数形です。

不可算名詞なら「much」

「much」は不可算名詞の前につく「たくさんの」の言葉になります。「much」は量の多さを表す言葉なので、数えられないものが大量にあるよという場合に使うのです。

I don’t drink much water.(私はそんなに水を飲んでいない。
water(水)は数えられない不可算名詞

その他にも「time(時間)」や「effort(努力)」といった形にできないものも不可算名詞になるので、「much」を使います。ただし、「many times」と複数形の「time」は時間ではなく、「回数」の意味なので可算名詞となり、「many」を使うのです。

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「many」と「much」どっちが正しい?集団名詞での使い分け

集団名詞というのを知っていますか。集団名詞とは単数形ですが、日本語では複数を表す名詞のことで「people(人々)」「food(食べ物)」「police(警察)」などのことです。

集団名詞にも「many」「much」の使い分けがあり、「people」のような数えていくことが可能なものは「many」を使用します。「food」のようなさまざまな形やものをまとめた名詞には「much」を使うのです。「much」になる集団名詞には「furniture(家具)」「baggage(手荷物)」などがあります。

比較表現では同じ変化の「many」と「much」

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使い分けのある「many」と「much」ですが、比較表現になるとどちらも同じ比較級と最上級に変化します。つまり、「より多く」と「最も多く」は可算名詞、不可算名詞にかかわらず使うことができる表現になるのです。

「many・much(たくさんの)」 → 比較級:「more」 → 最上級:「most」

強い比較の表現!「much」の使用法

「much」は量の多さを示すことから比較の表現で「断然」「ずっと」など強調するものとして使うという特徴もあります。

He is much taller than I. (彼は私よりずっと背が高い。)

比較級や最上級の前に「much」をつけることで強い比較を表すことができるのです。他にも「by far」を使って強調することもできます。

\次のページで「疑問文でもルールが適応?「many」と「much」」を解説!/

疑問文でもルールが適応?「many」と「much」

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「many」を使った疑問文で有名なものが「How many+複数形」の疑問文です。これは「いくつ」「何個」という物の数を問う表現になります。「much」にも「how」と合わせた疑問文がありますね。「How much(いくら)」と金額を聞く表現なのは有名ですね。

なぜ、お金は「much」と思われる方もいるかと思いますが、お金は種類が色々あり、国では通貨が違います。一つの種類の数を数える形にはならないので、「much」を使用するのです。

「How much」には金額を尋ねる表現が有名ですが、実は「How much」は「どのくらい」という意味もあります。

How much sleep do you need?(あなたはどれだけの睡眠が必要ですか。)
「sleep(眠り)」は数えることができない不可算名詞

必ず金額を聞くだけというわけではないのです。ただ、この表現は「How many」と同じように必ず後ろに量を聞きたいものがくるので、「How much」の後をよく見ましょう。

後ろの名詞だけではない?使い方の違いをさらに詳しく!

実は「many」と「much」の違いは後ろにくる名詞だけが使い分けではないのです。文法上では使ってはいけないパターンというのも存在します。どのようなときに使えないのかを見ていきましょう。

「many」は万能?「much」は限定的?英文法で見る違い

「many」はどのような文でも使うことができますが、「much」は使ってはいけないパターンがあります。それが肯定文(普通の文のことで、「〜はーする」「〜はーである」のような文のこと)で単独使用はできないという英文法上のルールです。では、「much」はどこで使うのか。基本的に「much」は疑問文や否定文の中で使用することになります。

I want much water.(私はたくさんの水がほしい。)→×
この英文は間違いとなります!

例文のように肯定文で単独の「much」を使用することはできません。必ず「much」は疑問文や否定文で使うのが原則なのです。「many」は肯定文でも使用可能ですが、あまり好まれていません。間違いではないですが、好ましい表現にはならないので、使用するときには気をつけるべき英文法になります。

つまり、「many」と「much」両方とも肯定文ではあまり使われないということです。

\次のページで「肯定文でも使用可?「much」の肯定文パターン」を解説!/

肯定文でも使用可?「much」の肯定文パターン

肯定文では使用してはいけない「much」ですが、中学校や高校の教科書には肯定文でも使用されていることがあります。比較の強調で使用した場合は当然使うことができるパターンです。しかし、この場合は「ずっと」「断然」の意味で使用するものなので、「たくさんの」の意味ではありません。

He has so much money.(彼はとてもたくさんのお金を持っている。)

例文のような英文を見たことがあると思います。これは「much」の前に「so」が使われているため使うことができるのです。あくまで、単独使用ができないだけで、「as」「too」「so」といった副詞が伴う場合は肯定文でも「much」が使用可能になる方法になります。

また、主語として用いる場合も肯定文の中で使用することができるパターンです。その他にも「prefer(好む)」などの動詞によっては使うことができるパターンもありますが、必ず連語となる動詞とセットで使用するというのが条件になります。

どちらの書き換えにも使える?「lot」の表現

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先程あったように「much」は肯定文で単独使用ができない。「many」もあまり好まれていません。では、肯定文で「たくさんの」を使用したい場合はどうするのか。

ここで役立つのが、書き換え表現である「a lot of」「lots of」です。中学校の英文法で学習して、よく同意表現に使われるこれらの表現は実はとても万能で、後ろの名詞は可算名詞と不可算名詞どちらでも使用可能になります。

つまり、「many」と「much」の書き換え表現になるのです。肯定文では「a lot of」や「lots of」を使用するのが最善になります。

「many」「much」の違いは英語の数量感覚!

「many」と「much」の違いは後ろにある名詞が数えられるか、数えられないかが大きな違いです。複数形も英語が数字に厳しい言語であることを表しています。日本語はよく曖昧と言いますが、数字に対して厳密な表現を避ける傾向にあることから英語の数量的感覚との違いが曖昧さにつながっているのです。英語の感覚を理解することで、数量的感覚を鍛えていきましょう。

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英語言葉雑学

3分でわかる「many」と「much」の違い!比較や使い方の違いを現役講師ライターがわかりやすく解説!

英語でよく使う「たくさんの」の意味になる英単語「many」と「much」ですが、どのような違いがあるか知っているか。日本語の意味としては同じですが、英語の感覚として考えると違う表現になるぞ。
今回はこの「many」と「much」の違いを現役塾講師でもあるライター明東碧吾と一緒に解説していきます。

ライター/明東碧吾

現役の塾講師ラーターで、文系科目を指導中。社会科が専門ではあるが、高校英文法まで指導でき、わかりやすい英語と生徒から定評を得ている。

大きな違いは後にくる「名詞」!使用パターンの違いは何だ?

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英語で「たくさんの」を表記する形容詞に「many」や「much」があります。また、同意表現として「a lot of」や「lots of」もありますね。では、どのようなときに使うのが正しいのか、用法を見ていきましょう。

可算名詞で使われる「many」

英語には可算名詞不可算名詞の二つがあります。可算名詞とは数えることができる名詞のことです。例えば、appleやcatなど1・2と数えることができる名詞のことになります。不可算名詞は液体や粉末のようなそのもので数えることができない名詞のことです。

I have many books in my house. (私は家にたくさんの本がある。)
book(本)は1冊2冊と数える可算名詞

「many」は数の多さを表す言葉なので、後ろにくる名詞が必ず可算名詞になります。日本語訳が「たくさんの」になりますから、後ろの名詞は複数形です。

不可算名詞なら「much」

「much」は不可算名詞の前につく「たくさんの」の言葉になります。「much」は量の多さを表す言葉なので、数えられないものが大量にあるよという場合に使うのです。

I don’t drink much water.(私はそんなに水を飲んでいない。
water(水)は数えられない不可算名詞

その他にも「time(時間)」や「effort(努力)」といった形にできないものも不可算名詞になるので、「much」を使います。ただし、「many times」と複数形の「time」は時間ではなく、「回数」の意味なので可算名詞となり、「many」を使うのです。

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