この記事では「虚を衝く」について解説する。
端的に言えば「虚を衝く」の意味は「相手の弱点につけこんで攻撃する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「虚を衝く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「虚を衝く」の意味をわかりやすく伝える。

「虚を衝く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虚を衝く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虚を衝く」の意味は?

「虚を衝く」には、次のような意味があります。

相手の弱点や無防備につけ込んで攻撃する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「虚を衝く

「虚を衝く」は「きょをつく」と読み、何かの物事や他者の弱点や無防備な状態を狙って攻撃する際に使用する言葉です。口語では「虚をつく」とひらがな書きすることも多いですが、「衝く」はなかなか見慣れない漢字ですから、しっかり読み書きできるようにしておきましょうね。

「虚を衝く」の語源は?

次に「虚を衝く」の語源を確認しておきましょう。「虚を衝く」の語源は明確ではありませんが、2つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認しておきます。

まず「虚」はここでは「備えのないこと。油断。すき。」の意味ですね。次に「衝く」は「弱い所、予想しない所、急所などを選んで鋭く指摘したり攻めたりする。」ことです。そのため「虚を衝く」は丁寧に言い回すと「備えのないことや弱いところを鋭く指摘したり攻めたりすること」となることがわかりますね。

「虚を衝く」の使い方・例文

「虚を衝く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 虚を衝いたつもりかもしれないけれど、そのヒントやキーワードは既に検索して知っていたし、通用しないよ。
2. 彼らのチームは強敵だから、何かしらの方法で虚を衝かないと、なかなか勝てないぞ。メンバーが一覧になっているリストを、とりあえず作ってくれないか?
3. 弱点だと思っていた用語が、彼女の弱点では無かったんだ。虚を衝くことだけを考えていた僕は卑怯者だったんだよ。

このように「虚を衝く」は他者の弱点などを攻める・攻めた際に使用されていることがわかりますね。その意味から「卑怯」といったイメージがある用語ですが、決してそんなことはなく、例文の2のようにフラットな意味で使用することが可能ですよ。

「虚を衝く」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「虚を衝く」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「不意を突く」:予期していない時に仕掛ける

今回最初にご紹介する類義語が「不意を突く」(ふいをつく)です。口語でもよく用いられる慣用句ですが、念のため国語辞書で確認しておきましょう。

\次のページで「「痛い所を衝く」:弱点を攻めたてる」を解説!/

相手が予期していないときをねらってしかける。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不意を突く

「不意を突く」は「虚を衝く」と同じような意味を有していますが、比較すると「虚を衝く」は「他者の弱点」といったウィークポイントに着目しているのに対し、「不意を突く」は「他者の予測」というタイミングに着目した慣用句であると言えます。似たような慣用句ですが、「衝く」「突く」の漢字を間違えないようにしましょうね。

「痛い所を衝く」:弱点を攻めたてる

次にご紹介する類義語が「痛い所を衝く」(いたいところをつく)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

弱点を指摘して攻めたてる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「痛い所を衝く

「痛い所を衝く」は「虚を衝く」とほとんど同じ意味を有していることがわかりますね。ただ「痛い所を衝く」は上記したように「指摘」というニュアンスが強く、つまり口論や打ち合わせなどのシチュエーションで用いられることが多い慣用句です。なお「痛い所をつつく」もしばしば用いられますが、正確には「痛い所を衝く」ですから注意しておきましょう。

「騙し討ち」:油断させておいてひどい仕打ちをすること

今回最後にご紹介する類義語が「騙し討ち」(だましうち)です。こちらも意味を確認しておきます。

だましておいて、不意に討ち取ること。油断させておいて、いきなりひどい仕打ちをすること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「騙し討ち

「騙し討ち」は「虚を衝く」と類似した意味を有していますが、比較すると「騙す」という行為がセットになっている点が違いです。その点では「不意を突く」と同じように、タイミングや時間を活用・操作して、隙や油断を作り出す際に使用する慣用句と言えるでしょう。

\次のページで「「虚を衝く」の対義語は?」を解説!/

「虚を衝く」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「耳が痛い」:他人の言葉が自分の弱点をついてくること

「虚を衝く」の対義語としては「耳が痛い」(みみがいたい)が挙げられるでしょう。「他人の言葉が自分の弱点をついていて、聞くのがつらい。」という意味ですから、言葉に限定されますが対義関係にあることがわかります。

「虚を衝く」の英訳は?

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最後に、「虚を衝く」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「hit where it hurts」:痛い所を衝く

「虚を衝く」を英語で言い回す場合には「hit where it hurts」が挙げられるでしょう。「痛い所を衝く」という意味合いで使用することが可能です。同じように「hit a sore spot」も使用できますから、合わせて覚えておきましょう。以下に例文を見てみます。

・I can't believe that that delicious bakery is closing. I'm feeling like I've been hit where it hurts, because I'm starving right now.
あの美味しいパン屋さんが閉店だなんて。いまお腹が減っているから、虚を衝かれたような気分だよ。

・To succeed in this interview and get into that company, you need to hit the interviewer where it hurts. You'll always get a chance to ask questions at the end, so think of a killer line.
この面接で成功してあの企業に入社するには、面接官の虚を衝くことが必要だ。最後に必ず質問するチャンスが来るから、殺し文句を考えておけよ。

・You may think you've hit a sore spot and it worked, but your teacher knows what you're doing. You have a test today, so sit down and get ready.
虚を衝いてうまくいったと思っているのかもしれないけれど、先生にはお見通しですからね。今日はテストなんだから、早く座って準備しなさい。

「虚を衝く」を使いこなそう

この記事では「虚を衝く」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「虚を衝く」は何かの物事や他者の弱点や無防備な状態を狙って攻撃する際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、本当に大事な場面では「虚を衝く」ことも重要ですが、あまりやり過ぎてしまうと禍根を残してしまいますから、ほどほどにしておきましょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「虚を衝く」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「虚を衝く」について解説する。
端的に言えば「虚を衝く」の意味は「相手の弱点につけこんで攻撃する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「虚を衝く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「虚を衝く」の意味をわかりやすく伝える。

「虚を衝く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虚を衝く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虚を衝く」の意味は?

「虚を衝く」には、次のような意味があります。

相手の弱点や無防備につけ込んで攻撃する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「虚を衝く

「虚を衝く」は「きょをつく」と読み、何かの物事や他者の弱点や無防備な状態を狙って攻撃する際に使用する言葉です。口語では「虚をつく」とひらがな書きすることも多いですが、「衝く」はなかなか見慣れない漢字ですから、しっかり読み書きできるようにしておきましょうね。

「虚を衝く」の語源は?

次に「虚を衝く」の語源を確認しておきましょう。「虚を衝く」の語源は明確ではありませんが、2つの単語がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認しておきます。

まず「虚」はここでは「備えのないこと。油断。すき。」の意味ですね。次に「衝く」は「弱い所、予想しない所、急所などを選んで鋭く指摘したり攻めたりする。」ことです。そのため「虚を衝く」は丁寧に言い回すと「備えのないことや弱いところを鋭く指摘したり攻めたりすること」となることがわかりますね。

「虚を衝く」の使い方・例文

「虚を衝く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 虚を衝いたつもりかもしれないけれど、そのヒントやキーワードは既に検索して知っていたし、通用しないよ。
2. 彼らのチームは強敵だから、何かしらの方法で虚を衝かないと、なかなか勝てないぞ。メンバーが一覧になっているリストを、とりあえず作ってくれないか?
3. 弱点だと思っていた用語が、彼女の弱点では無かったんだ。虚を衝くことだけを考えていた僕は卑怯者だったんだよ。

このように「虚を衝く」は他者の弱点などを攻める・攻めた際に使用されていることがわかりますね。その意味から「卑怯」といったイメージがある用語ですが、決してそんなことはなく、例文の2のようにフラットな意味で使用することが可能ですよ。

「虚を衝く」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「虚を衝く」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

「不意を突く」:予期していない時に仕掛ける

今回最初にご紹介する類義語が「不意を突く」(ふいをつく)です。口語でもよく用いられる慣用句ですが、念のため国語辞書で確認しておきましょう。

\次のページで「「痛い所を衝く」:弱点を攻めたてる」を解説!/

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