この記事では「財布の底をはたく」について解説する。
端的に言えば財布の底をはたくの意味は「有り金を使い果たす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「財布の底をはたく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「財布の底をはたく(さいふのそこをはたく)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「財布の底をはたく」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「財布の底をはたく」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「財布の底をはたく」の意味は?

「財布の底をはたく」というキーワードを精選国語辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.持っている金を全部使ってしまう。「―・いて手に入れた絵」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「財布の底をはたく」

「財布の底をはたく」は持っているお金をすべて使ってしまうことを意味している慣用句です。本当に財布の底をはたくのではなく、比喩表現となっている点に注意しましょう。また「財布の底をはたく」は、「財布をはたく」と略して表現される場合もあります。

「財布の底をはたく」は書籍・新聞等の文章中を中心に使われている言葉です。あまり使用される頻度は高くない言葉となっているため、こちらも確認しておきましょう。この機会に「財布の底をはたく」の意味・用法を覚えておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「財布の底をはたく」の語源は?

次に「財布の底をはたく」の語源を確認しておきましょう。「財布の底をはたく」は財布を逆さにして中のお金を全部吐き出し、すべて使い切ってしまう様子を指して生まれています。またあわせて「財布の底をはたく」がいつ頃から使われだしたのかという点についても確認しておきましょう。

1884年の怪談牡丹燈籠には「病中の入費(いりめ)薬礼や何やかやで全く財布の底を払(ハタ)き」として、この言葉が登場しています。こちらの点から、この言葉がかなり古くから現在と同様の意味で使われていることが分かりますね。こちらもしっかりと覚えておきましょう。

\次のページで「「財布の底をはたく」の使い方・例文」を解説!/

「財布の底をはたく」の使い方・例文

「財布の底をはたく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.恩人のため、財布の底をはたいて精一杯歓待する。
2.なけなしの財布の底をはたいて、ようやく薬が買えた。
3.財布の底をはたいて手に入れる。

「財布の底をはたく」は例文のように、持っているお金をすべて使い果たすことを意味している言葉です。所持金をすべて払って、精一杯のもてなしをする。有り金すべてを使い果たして、ようやく欲しいものを手に入れる。「財布の底をはたく」はこうした持っているお金をすべて使い果たすという場面で使われています。

大金を払うことを指すのではなく、持っているお金を全部使うという意味である点に注意しましょう。また古風な表現のため、現在はあまり日常的に使われていないという点にも注意が必要です。例文から実際の使用場面を具体的にイメージし、自身でも使用することができるようにしていきましょう。

「財布の底をはたく」の類義語は?違いは?

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続いて「財布の底をはたく」の類義語・違いについて確認していきましょう。「財布の底をはたく」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「財布の底をはたく」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「浪費(ろうひ)」:金銭等を無駄に使う

「浪費」は金銭・時間・精力などを無駄に使うことを意味する言葉です。こちらも金銭等を消費することを意味している言葉となっており、「財布の底をはたく」と少し似た意味をもった類義語となっています。こちらは時間・精力などの消費も表す点に注意しましょう。

\次のページで「その2「奮発(ふんぱつ)」:思い切りよく金品を出す」を解説!/

その2「奮発(ふんぱつ)」:思い切りよく金品を出す

「奮発」は気力を奮い起こすこと、または思い切りよく金品を出すことを意味する言葉です。こちらも金品を出すことを意味している言葉となっており、「財布の底をはたく」と少し似た意味をもった類義語となっています。こちらは他に気力を奮い起こすことを表す点に注意しましょう。

その3「身代を棒に振る(しんだいをぼうにふる)」:財産を無駄に使い果たす

「身代を棒に振る」は財産を無駄に使い果たすことを意味する言葉です。こちらも金銭・資産を使い果たしてしまうことを意味している言葉となっており、「財布の底をはたく」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは持っているお金ではなく、財産を使い果たすことを指す点に注意しましょう。

その4「身代畳む(しんだいたたむ)」:全財産をなくす

「身代畳む」は全財産をなくすこと、破産することを意味している言葉です。こちらも金銭・資産をすべて失ってしまうことを意味している言葉となっており、「財布の底をはたく」と似た意味をもった類義語となっています。持っているお金ではなく、全財産を失う様子を表す点に注意しましょう。

その5「財布の紐が緩む」:無駄遣いする

「財布の紐が緩む」は必要以上にお金を使う、無駄遣いをすることを意味している言葉です。こちらも金銭の出費に関する言葉となっており、「財布の底をはたく」と少し似た意味をもった類義語となっています。こちらは所持金をすべて使うことではなく、無駄遣いをするという意味のため注意しましょう。

「財布の底をはたく」の対義語は?

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つづいて「財布の底をはたく」の対義語についても確認していきましょう。「財布の底をはたく」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「財布の紐を締める」:倹約する

「財布の紐を締める」は無駄なお金を使わないようにすること、倹約することを意味する言葉です。「財布の底をはたく」が所持金をすべて使い果たしてしまうことを意味していたのに対し、こちらはそうした無駄な出費を控え、きっちりと財布の口を締めることを意味しています。対義語として覚えておきましょう。

「財布の底をはたく」を使いこなそう

この記事では「財布の底をはたく」の意味・使い方・類語などを説明しました。「財布の底をはたく」は持っているお金をすべて使い果たしてしまうことを意味する慣用句です。同様の意味で「財布をはたく」という表現が使われる場合もあるため、こちらもあわせて覚えておきましょう。

また類義語には「浪費」、「奮発」、「身代を棒に振る」、「身代畳む」、「財布の紐が緩む」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「財布の底をはたく」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「財布の底をはたく」について解説する。
端的に言えば財布の底をはたくの意味は「有り金を使い果たす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「財布の底をはたく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「財布の底をはたく(さいふのそこをはたく)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「財布の底をはたく」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「財布の底をはたく」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「財布の底をはたく」の意味は?

「財布の底をはたく」というキーワードを精選国語辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.持っている金を全部使ってしまう。「―・いて手に入れた絵」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「財布の底をはたく」

「財布の底をはたく」は持っているお金をすべて使ってしまうことを意味している慣用句です。本当に財布の底をはたくのではなく、比喩表現となっている点に注意しましょう。また「財布の底をはたく」は、「財布をはたく」と略して表現される場合もあります。

「財布の底をはたく」は書籍・新聞等の文章中を中心に使われている言葉です。あまり使用される頻度は高くない言葉となっているため、こちらも確認しておきましょう。この機会に「財布の底をはたく」の意味・用法を覚えておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「財布の底をはたく」の語源は?

次に「財布の底をはたく」の語源を確認しておきましょう。「財布の底をはたく」は財布を逆さにして中のお金を全部吐き出し、すべて使い切ってしまう様子を指して生まれています。またあわせて「財布の底をはたく」がいつ頃から使われだしたのかという点についても確認しておきましょう。

1884年の怪談牡丹燈籠には「病中の入費(いりめ)薬礼や何やかやで全く財布の底を払(ハタ)き」として、この言葉が登場しています。こちらの点から、この言葉がかなり古くから現在と同様の意味で使われていることが分かりますね。こちらもしっかりと覚えておきましょう。

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