この記事では「抜く手も見せず」について解説する。
端的に言えば抜く手も見せずの意味は「手元の動きが見えないほど素早い動作」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「抜く手も見せず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「抜く手も見せず」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「抜く手も見せず」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「抜く手も見せず」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「抜く手も見せず」の意味は?

「抜く手も見せず」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.手元の動きが見えないほど早く刀を抜く。「抜く手も見せず斬りかかる」
2.すばやく物事を行う。「抜く手も見せず人事を刷新する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「抜く手も見せず」

「抜く手も見せず」は手元の動きが見えないほど素早く刀を抜くこと、また素早く物事を行うことを意味する慣用句です。2種類の意味をもった言葉となっているため、どちらの意味で使われているのか注意しましょう。基本的な意味は、どちらも動きが見えないほど素早い動きを表しています。

「抜く手も見せず」は書籍・新聞等の文章中を中心として使われています。口語では基本的に使用されていないため、注意しましょう。元は刀を抜く動作を表す、古風な表現となっています。この機会に「抜く手も見せず」の意味・用法を確認しておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「抜く手も見せず」の語源は?

次に「抜く手も見せず」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「抜く手も見せず」の語源は現在はっきりとはしていません。「抜く手も見せず」の語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。「抜く手も見せず」は元々、刀を抜く手元の動きが見えないほど、という意味の表現です。

ここから転じて、刀を抜く以外の他の動作についても、素早く行うことを指して使われるようになりました。この言葉は刀が用いられていた日本の中世等を舞台にした小説などに、よく登場します。こちらの点についても、あわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「抜く手も見せず」の使い方・例文」を解説!/

「抜く手も見せず」の使い方・例文

「抜く手も見せず」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.出会い頭、刀を抜く手も見せず斬りかかる。
2.抜く手も見せず喉元を切り捨てる。
3.抜く手も見せず仕事をこなす。

「抜く手も見せず」は例文のように、手元の動きを視認できないほど素早く刀を抜くこと、またはそうした動きが見えないほどの素早い動作を指して使われている言葉です。刀が用いられる頃の古い書籍や時代小説では、刀を抜く動作の意味でよく使われています。

また現代では動きが見えないほどの素早い動作の意で使われることが多い言葉です。どちらの意味で使われているのか、読み取る際は前後の文脈に注意しながら読み取っていきましょう。この言葉は日常的には使用されていないため、こちらの点についても覚えおくことが大切です。

「抜く手も見せず」の類義語は?違いは?

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続いて「抜く手も見せず」の類義語・違いについて確認していきましょう。「抜く手も見せず」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「抜く手も見せず」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「つっと」:素早く突然にする

「つっと」はある動作を素早く、または突然にするさまを表す言葉です。こちらも素早い動作を表現する言葉となっており、「抜く手も見せず」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは他に空間・時間が隔たっている様、程度の甚だしい様も表す点に注意しましょう。

\次のページで「その2「つっつと」:滑るように速やかに進む」を解説!/

その2「つっつと」:滑るように速やかに進む

「つっつと」は滑るように速やかに進む様を表す言葉です。こちらも速やかな動作を表す言葉となっており、「抜く手も見せず」と少し似た意味をもった類義語となっています。字面のよく似ている「つっと」とは意味が異なるため、注意して使い分けていきましょう。

その3「瞬時(しゅんじ)」:きわめてわずかな時間

「瞬時」は瞬きするほどの間、きわめてわずかな時間という意味を表す言葉です。こちらも非常に短い時間に行われる動作を表す言葉となっており、「抜く手も見せず」と少し似た意味をもった類義語となっています。こちらは時間を表す言葉となっている点に注意しましょう。

その4「刹那(せつな)」:きわめて短い時間

「刹那」はきわめて短い時間を表す言葉です。こちらも非常に短い時間を表す言葉となっており、「抜く手も見せず」と少し似た意味をもった類義語となっています。こちらは仏教における最小の時間単位を表す言葉となっており、細かい意味・用法に違いがあるため注意して使い分けていきましょう。

その5「瞬間(しゅんかん)」:まばたきするほどの短い時間

「瞬間」はまぶたを動かす時間、まばたきをするほどのごく短い時間を表す言葉です。こちらも非常に短い時間を表す言葉となっており、「抜く手も見せず」と少し似た意味をもった類義語となっています。「一瞬」とほぼ同様の意味となっており、あわせて覚えておきましょう。

「抜く手も見せず」の対義語は?

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つづいて「抜く手も見せず」の対義語についても確認していきましょう。「抜く手も見せず」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「遅遅(ちち)」:物事の進み方が遅い

「遅遅」は物事の進み方が遅く、ゆったりしている様を表す言葉です。「抜く手も見せず」が手元の動きを視認できないほど素早く刀を抜く、またはそうした素早い動作を表していたのに対し、こちらはそうした動作・物事の進み方がゆったりと遅い様子を表しています。対義語としてこちらも覚えておきましょう。

\次のページで「「抜く手も見せず」を使いこなそう」を解説!/

「抜く手も見せず」を使いこなそう

この記事では「抜く手も見せず」の意味・使い方・類語などを説明しました。「抜く手も見せず」は手元の動きが見えないほど素早く刀を抜く、または素早く物事を行うことを表している慣用句です。古風な表現となっており、現在は時代小説などで使われている言葉となっているため注意しましょう。

また類義語には「つっと」、「つっつと」、「瞬時」、「刹那」、「瞬間」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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【慣用句】「抜く手も見せず」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「抜く手も見せず」について解説する。
端的に言えば抜く手も見せずの意味は「手元の動きが見えないほど素早い動作」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「抜く手も見せず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「抜く手も見せず」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「抜く手も見せず」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「抜く手も見せず」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「抜く手も見せず」の意味は?

「抜く手も見せず」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.手元の動きが見えないほど早く刀を抜く。「抜く手も見せず斬りかかる」
2.すばやく物事を行う。「抜く手も見せず人事を刷新する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「抜く手も見せず」

「抜く手も見せず」は手元の動きが見えないほど素早く刀を抜くこと、また素早く物事を行うことを意味する慣用句です。2種類の意味をもった言葉となっているため、どちらの意味で使われているのか注意しましょう。基本的な意味は、どちらも動きが見えないほど素早い動きを表しています。

「抜く手も見せず」は書籍・新聞等の文章中を中心として使われています。口語では基本的に使用されていないため、注意しましょう。元は刀を抜く動作を表す、古風な表現となっています。この機会に「抜く手も見せず」の意味・用法を確認しておき、自身の語彙力を高めていきましょう。

「抜く手も見せず」の語源は?

次に「抜く手も見せず」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「抜く手も見せず」の語源は現在はっきりとはしていません。「抜く手も見せず」の語源ははっきりとはしていないと覚えておきましょう。「抜く手も見せず」は元々、刀を抜く手元の動きが見えないほど、という意味の表現です。

ここから転じて、刀を抜く以外の他の動作についても、素早く行うことを指して使われるようになりました。この言葉は刀が用いられていた日本の中世等を舞台にした小説などに、よく登場します。こちらの点についても、あわせて覚えておきましょう。

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