今回のテーマは「ハイドロプレーニング現象」です。
化学や物理の教科書で取り上げられることはほとんどない現象ですが、自動車免許を持っていれば、この現象を聞いたことがあるはずです。実は、自動車免許を取得するとき、必ず覚える現象です。
実際にこの現象が起きると車は制御不能になり、重大な事故が起きる可能性もある。

今回はハイドロプレーニング現象とは、「どのような現象」で「なぜ起きるのか」物理に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

大学院を修了するまで、研究に明け暮れた理系ライター。目の前で起きた現象を深掘りすることが大好きで、化学や物理など幅広く勉強している。現在は化学メーカーで技術職として働きながら、化学や物理の楽しさを発信していく。

ハイドロプレーニング現象とは

Hydroplaning.svg
Victovoi - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

ハイドロプレーニング現象という言葉、聞いたことはありませんか。教科書にはほとんど載っていない現象ですが、免許を持っている人ならなんとなく、聞き覚えがあると思います。実は免許を取るとき必ず覚える現象なんです。

今回は「ハイドロプレーニング現象」とはどのような現象で、どのような原因で発生してしまうのか、そして発生してしまった時どう対処すればいいのか、解説していきます。

まず、ハイドロプレーニング現象とはどんな現象なのか。wikipediaで調べると、こう書いてありました。

ハイドロプレーニング現象(ハイドロプレーニングげんしょう、英: hydroplaning)、またはアクアプレーニング現象(英: aquaplaning)とは、自動車などが水の溜まった路面などを走行中に、タイヤと路面の間に水が入り込み、摩擦力が失われること。水膜現象ともいう。この状態では水が潤滑剤として作用しているため、タイヤと路面の間の水の量が減るまで、加速、操舵、制動(走る・曲がる・止まる)のすべてが制御できなくなる。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%8F%BE%E8%B1%A1

ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に水の膜ができ、車が制御不能になってしまう現象なんです。タイヤと地面の間に水の膜ができてしまうと、タイヤが地面から浮き上がってしまいます。そうなると、摩擦力が極端に低下してしまうんです。そのため、タイヤのグリップ性能がなくなり、車が制御不能になってしまいます。

「ハイドロプレーニング現象」と「タイヤの溝」の関係とは?

image by iStockphoto

そもそもタイヤには、縦方向と横方向の溝がありますが、この溝にどのような役割があるのか、知っていますか?

タイヤの溝の役割は様々ありますが、一番の目的は「ハイドロプレーニング現象を防ぐこと」なんです。タイヤに溝があることで、タイヤと路面の間に水が入り込んだとしても、溝が排水通路になり、水が外へ排出されていきます。水が排出されることで、タイヤが道路に接地することができ、ハイドロプレーニング現象を防ぐことができるんです。

タイヤの溝が浅くなるとハイドロプレーニング現象が起きやすい

image by iStockphoto

タイヤの溝は「ハイドロプレーニング現象を防ぐこと」が目的だと、先ほどご紹介しました。新品のタイヤにはもちろんしっかりと溝がありますが、タイヤは使用するほどすり減り、劣化していきます。

新品のタイヤの溝の深さは約8㎜ですが、使用するほど溝の深さは浅くなっていきますよね。溝が浅くなればなるほど、タイヤの排水機能は低下していきます。つまり、タイヤと地面の間に水が溜まりやすくなるということ。

タイヤと道路の間に水が入り込み、排水されないと、ハイドロプレーニング現象が発生しやすくなるんですね。一般的に、タイヤの溝が4㎜以下になるとハイドロプレーニング現象が起きやすくなるといわれています。

\次のページで「スリップサインをチェック」を解説!/

スリップサインをチェック

「スリップサイン」という言葉を聞いたとはありませんか?この言葉も自動車免許を持っている方なら知っていると思います。「スリップサイン」とは、「これ以上タイヤの溝が浅くなったら、危険!」という目安です。

タイヤを見ると、側面に三角マークがあります。この部分の溝がスリップサインです。スリップサイン部分の溝を触ったときに溝が途切れてしまうタイヤは「これ以上は使ってはダメ!」ということですね。

タイヤの溝には、水を排出する以外にも、地面と接地することで、ブレーキ性能や走行性能を向上させる役割もあります。スリップサインが出てきてしまったタイヤは、排水機能はもちろんブレーキ性能や走行性能も低下しているということです。

こういったタイヤは、事故が起きる危険が高まってしまうため、使用が禁止されています。つまり、スリップサインが出てきてしまったタイヤでは、車検を通すことはできません。

ハイドロプレーニング現象を防ぐには

image by iStockphoto

ここからは、ハイドロプレーニング現象が起きる原因について、さらに詳しく紹介していきますね。タイヤの溝の深さが大きな原因のひとつですが、ほかにもハイドロプレーニング現象が起きてしまう原因はあります。

それはスピードです。車のスピードが速くなるほど、ハイドロプレーニング現象は起きやすくなります。そのため、雨の日の高速道路は特に注意が必要です。車のスピードが速くなるほど、タイヤが水を排水する前に水が入り込み、タイヤの排水機能が追い付かない状態になります。

溝が浅くなっているタイヤほど排水機能は低下しているため、溝が浅い状態で高速走行することは特に危険ということです。タイヤの溝が1.6mmで80km/hで走行している場合、排水機能は追い付かず、タイヤはほとんど浮いてしまっています。

タイヤの空気圧もハイドロプレーニング現象の発生に関係しているという報告もあります。空気圧が減ったタイヤでは、地面と接地した際、水を押し出すために必要な圧力が少なくなってしまうんです。そのため、排水が遅くなり、水の膜ができやすくなってしまいます。

ハイドロプレーニング現象が起きてしまった時の対処法

ハイドロプレーニング現象が起きてしまった時の対処法

image by Study-Z編集部

車が制御不能になってしまうハイドロプレーニング現象ですが、実際に起きてしまった時はどうすればいいのでしょうか。ハイドロプレーニング現象が起きると、タイヤと道路の間に水の膜ができてしまい、タイヤが浮いてしまいます。

完全にこの状態になると、車の制御は全くできないため、運転手ができることはありません。タイヤが水の膜の上を滑っている状態なので、無理にブレーキをかけたり、ハンドルを切ってしまうとスリップの危険があるため非常に危険です。

ハイドロプレーニング現象が起きてしまった場合は、水が排出され、タイヤが道路と接地するのを待つしかありません。そのため、ハンドルを保持したままアクセルペダルからゆっくりと足をはなし、車が自然と減速するのを待ちます。

水の排水が追い付けばタイヤと道路が接地するため、ハイドロプレーニング現象は解消されるんです。

\次のページで「車を運転するなら絶対に覚えておいてほしい「ハイドロプレーニング現象」」を解説!/

車を運転するなら絶対に覚えておいてほしい「ハイドロプレーニング現象」

今回は「ハイドロプレーニング現象」とはどのような現象なのか、そしてハイドロプレーニング現象はなぜ起こるのかを解説しました。ハイドロプレーニング現象は、タイヤと道路の間に水の膜ができてしまい、車が制御不能になってしまう現象です。

実際にこの現象が起きてしまっても、車が自然に減速し、タイヤの排水が追い付けば解消するため、まずは焦らないことが重要。教科書で紹介されることは少ないハイドロプレーニング現象ですが、大きな事故につながる危険があるので、車を運転する方には絶対に覚えておいてほしいです。ぜひチェックしておいてください!

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ハイドロプレーニング現象とは?原因と対処法を理系ライターが詳しくわかりやすく解説!

スリップサインをチェック

「スリップサイン」という言葉を聞いたとはありませんか?この言葉も自動車免許を持っている方なら知っていると思います。「スリップサイン」とは、「これ以上タイヤの溝が浅くなったら、危険!」という目安です。

タイヤを見ると、側面に三角マークがあります。この部分の溝がスリップサインです。スリップサイン部分の溝を触ったときに溝が途切れてしまうタイヤは「これ以上は使ってはダメ!」ということですね。

タイヤの溝には、水を排出する以外にも、地面と接地することで、ブレーキ性能や走行性能を向上させる役割もあります。スリップサインが出てきてしまったタイヤは、排水機能はもちろんブレーキ性能や走行性能も低下しているということです。

こういったタイヤは、事故が起きる危険が高まってしまうため、使用が禁止されています。つまり、スリップサインが出てきてしまったタイヤでは、車検を通すことはできません。

ハイドロプレーニング現象を防ぐには

image by iStockphoto

ここからは、ハイドロプレーニング現象が起きる原因について、さらに詳しく紹介していきますね。タイヤの溝の深さが大きな原因のひとつですが、ほかにもハイドロプレーニング現象が起きてしまう原因はあります。

それはスピードです。車のスピードが速くなるほど、ハイドロプレーニング現象は起きやすくなります。そのため、雨の日の高速道路は特に注意が必要です。車のスピードが速くなるほど、タイヤが水を排水する前に水が入り込み、タイヤの排水機能が追い付かない状態になります。

溝が浅くなっているタイヤほど排水機能は低下しているため、溝が浅い状態で高速走行することは特に危険ということです。タイヤの溝が1.6mmで80km/hで走行している場合、排水機能は追い付かず、タイヤはほとんど浮いてしまっています。

タイヤの空気圧もハイドロプレーニング現象の発生に関係しているという報告もあります。空気圧が減ったタイヤでは、地面と接地した際、水を押し出すために必要な圧力が少なくなってしまうんです。そのため、排水が遅くなり、水の膜ができやすくなってしまいます。

ハイドロプレーニング現象が起きてしまった時の対処法

ハイドロプレーニング現象が起きてしまった時の対処法

image by Study-Z編集部

車が制御不能になってしまうハイドロプレーニング現象ですが、実際に起きてしまった時はどうすればいいのでしょうか。ハイドロプレーニング現象が起きると、タイヤと道路の間に水の膜ができてしまい、タイヤが浮いてしまいます。

完全にこの状態になると、車の制御は全くできないため、運転手ができることはありません。タイヤが水の膜の上を滑っている状態なので、無理にブレーキをかけたり、ハンドルを切ってしまうとスリップの危険があるため非常に危険です。

ハイドロプレーニング現象が起きてしまった場合は、水が排出され、タイヤが道路と接地するのを待つしかありません。そのため、ハンドルを保持したままアクセルペダルからゆっくりと足をはなし、車が自然と減速するのを待ちます。

水の排水が追い付けばタイヤと道路が接地するため、ハイドロプレーニング現象は解消されるんです。

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