今回は「黄道(こうどう・おうどう)」がテーマです。

黄道という言葉を初めて聞いた、という人もいるかもしれない。黄道とは地球から見た太陽が動く軌道のことで、この黄道と関連が深いのが毎朝ニュースで見かける星占いの「星座」です。生まれた時期によって、その星座は異なるな。この星座がどうやって決まっているのか。これは今回のテーマである黄道と深いつながりがある。

それでは黄道について仕事大好き、実験大好き、職場大好きな化学系科学館のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

趣味は実験とプラネタリウム鑑賞、仕事が生きがいの科学館職員。休みの日も職場でプラネタリウムを見ている。いつか師匠のように全国の舞台でサイエンスショーをしたいと修行中。

定義から見る黄道

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今回のテーマ、「黄道」。この言葉になじみのない人も多いと思います。そこでまず黄道がどんなものか、その定義から確認していきましょう。

天球上で太陽の年周運動の行路にあたる大円。赤道と約 23°27′傾き,春分点,秋分点の 2点でそれと交わる。太陽はこの上を西から東へ 1年に 1周する。
(出典:コトバンク「黄道」)

地球は地軸を中心に24時間かけて1回の自転しながら、太陽の周りを1年かけて回っています。これが公転でしたね。しかし地球にいると自分たちが回っていると感じることはありません。むしろ太陽が地球の周りを回っているように見えていますね。このような惑星(地球)から見た時の恒星(太陽)の動く経路のことを黄道と言います。

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春分点秋分点とは黄道と天の赤道との2つの交点のことで黄道が南から北へ交わる方の点が春分点、北から南へ交わる方の点が秋分点です。秋分の日、春分の日は昼と夜の時間がほぼ同じとなります。

公転やその発見の歴史はこちらの記事を見てくださいね。

太陽はどう動く?

太陽はどう動く?

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黄道が分かったところで、地球から見える太陽の動きを確認していきましょう。北半球にある日本から太陽は、東から登って南の空を通って西に沈みます。一方、オーストラリアがある南半球では東から登るのは一緒ですが、北の空を通って西の空に沈むのです。これは自転に由来する動きですね。

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地球は太陽の周りを1年かけてぐるっと移動しています。ところで、地球は地軸が傾いていますね。この傾きによって北半球と南半球にそれぞれ太陽の方を向く時期、向かない時期が発生するのです。

北半球にある日本は、6月に地軸が太陽の方向を向きます。すると北半球では南中高度が高くなるのです。この南中高度が高くなると昼の時間が長く、同じ面積で受ける光の量が多くなるので暑くなります。反対に12月は南半球側の地軸が太陽の方を向くのです。そのため北半球側の地軸は太陽と逆の方向に傾いて南中高度が低くなります。

\次のページで「星座と黄道」を解説!/

星座と黄道

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黄道とセットで聞く機会の多いのが星座です。星占いでおなじみの、誕生日によって決まる星座は「黄道12星座」と呼ばれています。ところでみなさんはこの黄道12星座がどのように割り振られてい決まったか知っていますか。実は、黄道と誕生日の星座には深い関わりがあるのです。

黄道星座と物語

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黄道12星座の名前とその星座になる時期を、その神話と一緒に確認していきましょう。

誕生日星座一覧
牡羊座(3/21~4/19)ゼウスが変身した羊
牡牛座(4/20~5/20)恋した女性に会うためにゼウスが変身した牡牛
双子座(5/21~6/21)ゼウスの息子の双子、兄・カストルと弟・ポルックス
蟹座(6/22~7/22)ヘラクレスに踏まれた蟹
獅子座(7/23~8/22)ヘラクレスが倒したライオン
乙女座(8/23~9/22)人々に正義の心を説き続けた女神アストライア
天秤座(9/23~10/23)女神アストライアが使った、善悪の心を量る天秤
蠍座(10/24~11/22)オリオンを殺した蠍
射手座(11/23~12/21)さそり座の心臓を狙う弓を持ったケンタウロス
山羊座(12/22~1/19)ヤギに変身するつもりが下半身は魚になってしまった慌て者の牧神パンの姿
水瓶座(1/20~2/18)ゼウスによってさらわれt少年ガニメデスの持つ水瓶
魚座(2/19~3/20)離れないようひもで結び付け、川に飛び込んだアフロディーテとエロスの親子

例えば8月下旬から9月上旬生まれの人の星座は、乙女座ですね。「じゃあ乙女座が見えるのは8月下旬から9月上旬か」、と思っている人もいるでしょう。実はこの誕生日の星座はその時に見える星座ではなく、太陽の方角にある星座のなのです。黄道星座とは生まれた時に太陽と共に上って沈む星座になります。

黄道星座の見える時期

黄道星座の見える時期

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太陽の方に星座がある、という事は星座が地球から見える位置にあるのは日中という事になります。しかし、昼間は太陽が明るく星座は見えません。誕生星座の見頃はその星座の時期よりも大体1~4か月前です。これを踏まえて先ほどの誕生月の表を確認すると次のようになります。

\次のページで「黄道12宮とは?」を解説!/

牡羊座(3/21~4/19):11~2月頃
牡牛座(4/20~5/20):12~3月頃
双子座(5/21~6/21):1~4月頃
蟹座 (6/22~7/22):2~5月頃
獅子座(7/23~8/22):3~6月頃
乙女座(8/23~9/22):4~7月頃
天秤座(9/23~10/23):5~8月頃
蠍座(10/24~11/22):6~9月頃
射手座(11/23~12/21):7~10月頃
山羊座(12/22~1/19):8~11月頃
水瓶座(1/20~2/18):9~12月頃
魚座(2/19~3/20):10~1月頃

黄道12宮とは?

黄道12宮とは?

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黄道を挟んで南北に8度ずつ、16度分の幅を持った帯を黄道帯(こうどうたい)と言います。地球をぐるっと囲んだこの黄道帯の範囲を太陽・月・主な惑星が動いて見えるのです。この黄道帯を12分割、つまり30度ずつに分けたものを黄道12宮と言います。

牡羊座:白羊宮
牡牛座:金牛宮
双子座:双児宮
蟹座:巨蟹宮
獅子座:獅子宮
乙女座:処女宮
天秤座:天秤宮
蠍座:天蝎宮
射手座:人馬宮
山羊座:磨羯宮
水瓶座:宝瓶宮
魚座:双魚宮

黄道12宮は太陽や惑星の動きを示す座標であり、太陽がこの宮を順々に移動していくのです。先ほどはわかりやすいように誕生付きの星座は太陽の方にある星座、と表現しました。これは正確に表現すると「太陽 が位置する黄道十二宮の星座」が誕生月の星座となります。

だからその誕生月の星座の時、星座は太陽の方角にあるためみることができないのですね。

黄道は太陽の通り道

黄道とは地球から見た太陽の動く経路のことです。実際には太陽が地球の周りを回っていますが、地球にいると太陽が動いて見えますね。その軌道が黄道なのです。

実は誕生日に見る事ができない星座。それは星座が太陽の方角にあるときがその星座の時期と決められているからです。

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地学理科

「黄道」って何?誕生日に星座が見えない理由を科学館職員がわかりやすく解説

今回は「黄道(こうどう・おうどう)」がテーマです。

黄道という言葉を初めて聞いた、という人もいるかもしれない。黄道とは地球から見た太陽が動く軌道のことで、この黄道と関連が深いのが毎朝ニュースで見かける星占いの「星座」です。生まれた時期によって、その星座は異なるな。この星座がどうやって決まっているのか。これは今回のテーマである黄道と深いつながりがある。

それでは黄道について仕事大好き、実験大好き、職場大好きな化学系科学館のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

趣味は実験とプラネタリウム鑑賞、仕事が生きがいの科学館職員。休みの日も職場でプラネタリウムを見ている。いつか師匠のように全国の舞台でサイエンスショーをしたいと修行中。

定義から見る黄道

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今回のテーマ、「黄道」。この言葉になじみのない人も多いと思います。そこでまず黄道がどんなものか、その定義から確認していきましょう。

天球上で太陽の年周運動の行路にあたる大円。赤道と約 23°27′傾き,春分点,秋分点の 2点でそれと交わる。太陽はこの上を西から東へ 1年に 1周する。
(出典:コトバンク「黄道」)

地球は地軸を中心に24時間かけて1回の自転しながら、太陽の周りを1年かけて回っています。これが公転でしたね。しかし地球にいると自分たちが回っていると感じることはありません。むしろ太陽が地球の周りを回っているように見えていますね。このような惑星(地球)から見た時の恒星(太陽)の動く経路のことを黄道と言います。

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春分点秋分点とは黄道と天の赤道との2つの交点のことで黄道が南から北へ交わる方の点が春分点、北から南へ交わる方の点が秋分点です。秋分の日、春分の日は昼と夜の時間がほぼ同じとなります。

公転やその発見の歴史はこちらの記事を見てくださいね。

太陽はどう動く?

太陽はどう動く?

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黄道が分かったところで、地球から見える太陽の動きを確認していきましょう。北半球にある日本から太陽は、東から登って南の空を通って西に沈みます。一方、オーストラリアがある南半球では東から登るのは一緒ですが、北の空を通って西の空に沈むのです。これは自転に由来する動きですね。

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地球は太陽の周りを1年かけてぐるっと移動しています。ところで、地球は地軸が傾いていますね。この傾きによって北半球と南半球にそれぞれ太陽の方を向く時期、向かない時期が発生するのです。

北半球にある日本は、6月に地軸が太陽の方向を向きます。すると北半球では南中高度が高くなるのです。この南中高度が高くなると昼の時間が長く、同じ面積で受ける光の量が多くなるので暑くなります。反対に12月は南半球側の地軸が太陽の方を向くのです。そのため北半球側の地軸は太陽と逆の方向に傾いて南中高度が低くなります。

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