この記事ではAO入試と推薦入試の違いについてみていきます。どちらの入試形態も一般入試とは少し異なるけど、どういう仕組みなのか、両者の違いは何なのかがわからないという人も少なくないでしょう。
今回はそんなAO入試と推薦入試の違いを、それぞれの特徴から確認しつつ、推薦入試で大学を合格した現役大学院生ライターききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

植物について研究している現役大学院生。生物や植物だけでなく、言語や旅行、文化などあらゆるジャンルにも興味がある。誰もが面白い・分かりやすいと思ってくれるようなライターを目指している。

AO入試と推薦入試の特徴とは?

大学入試には、主に一般入試、推薦入試そしてAO入試(総合型選抜)の3種類の入試方式があります。これまで一般入試が主流だったのですが、現在は推薦入試とAO入試だけで、全体のおよそ45%、私立大学の場合、55%以上を占めているのです。さらに、国立大学や公立大学でも徐々に推薦入試とAO入試を取り入れている学校が増えており、これらの入試方式も特別なものではなくなってきていると言えます。

ここでは、はじめにAO入試と推薦入試の最大の特徴について解説していきますね。

AO入試:学力よりも人物評価

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そもそもAO入試のAOとはAdmission Officeの頭文字を取った略称で、アメリカで誕生した試験方式です。Admission Officeとは、「入学事務局」の意味。アメリカでは日本のように、受験者が一斉に受験する試験というものがありません。その代わり、このオフィス宛てに送る書類で審査が行われます。この試験方式が日本でも取り入れられ、それがAO入試と呼ばれているのです。

AO入試では、一般入試と異なり、学力による評価があまり重視されていません。志望理由書や小論文、面接、ディスカッションなどを通して、受験者がどういった人物像で、大学が求めている人材なのかどうかを判断します。

推薦入試:学力重視

推薦入試はその名の通り、高校の校長からの推薦を必要とする方法です。高校での成績や生活態度、部活動の参加など、高校での行いが評価されます。推薦入試には「公募制推薦」と「指定校推薦」、そして「自己推薦」の3種類があるのです。

どの推薦方式も、学力を中心に評価されることが共通しています。

\次のページで「AO入試と推薦入試の大きな違いとは?」を解説!/

AO入試と推薦入試の大きな違いとは?

AO入試と推薦入試の特徴をざっくりと解説しました。ここからは、両者の3つの大きな違いについてご紹介します。

1. 高校からの推薦の有り無し

1つ目の違いは、「高校からの推薦の有無」です。推薦入試は、その名の通り高校の校長から推薦される必要があります。一方で、AO入試は推薦者を必要としないことが特徴。そのため、自分が行きたい大学に申し込むことが可能です。

2. 長期戦か短期戦か

2つ目の違いは「実施期間の長さ」です。AO入試の出願は6月~7月のところが多く、そこから短いところで2か月、長いところでは半年近くかかってしまうところも。AO入試は面接の回数が多いところも特徴なので、辛抱強く受け続けなければなりません。

一方で推薦入試の出願期間は10月~11月頃で、そこから約3か月で結果が公表されます。AO入試よりも実施期間が短く、面接の回数も圧倒的に少ないです。国立大学の中には、面接試験なしでサクッと終わらせてしまうところもありますよ(ただし、入学共通試験の成績などが必要)。

3. 実施される日程

3つ目の違いは「試験が実施される日程」です。AO入試は推薦入試や一般入試よりも早い時期に実施されます。私立大学や専門学校のAO入試は6月~12月頃に、国公立大学は9月~2月頃に行われるのです。推薦入試では、私立大学は9月~11月頃、国公立大学は12月~2月頃になっています。

このように、両者の入試が実施される時期が異なることに注意しましょう。

AO入試の種類とは?

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AO入試は、受験生は大学が求めている人物像なのかどうかが見られる試験方式でしたね。そのため、「この大学で学びたい!」という強い思いや「大学で○○を学んで将来は○○になりたい」といった将来のビジョンが明確にアピールする必要があるのです。AO入試の合格に少しでも近づくためには、大学が求める人材について記されている「アドミッション・ポリシー」を読んでおくと良いでしょう。

ここでは、そんなAO入試の種類についてご紹介します。

1. 対話を重視するタイプ

1つ目にご紹介するのは「対話を重視するタイプ」のAO入試。エントリーや出願後、何か月にも渡って大学側と受験生は面接を重ねていきます。大学側は受験生に様々な質問をして、本当にこの受験生はこの大学に相応しいのかをじっくりと見極めるのです。

\次のページで「2. 書類や小論文を重視するタイプ」を解説!/

2. 書類や小論文を重視するタイプ

2つ目にご紹介するのは「書類や小論文を重視するタイプ」のAO入試。はじめに、志望理由書や調査書、小論文で書類選考を行います。そして、この書類選考を見事、通過した人のみ面接を受けるという仕組みです。書類選考があるので、先ほどご紹介した「対話を重視するタイプ」のAO入試よりも面接の回数が少ないですよ。

推薦入試の種類とは?

推薦入試は、高校の成績などの学力を中心に評価する入試方式でした。そして、必ず高校からの推薦が必要であることもAO入試との大きな違いでしたね。推薦入試で合格を目指すならば、高校で定期試験や大会などで高い成績を収めて、良い生活態度で過ごす必要があるのです。

そんな推薦入試の種類について解説します。

1. 公募制推薦:誰でもOK

公募制推薦は誰でも受験することができます。ただし、出願条件を満たしており、事前に在籍中の高校の校長からの推薦書を用意しておく必要があるのです。また、ほとんどの公募制推薦は、合格したら必ず入学することが条件になっています。この公募制推薦は、さらに「一般推薦」と「特別推薦」の2種類に分けられますよ。以下にこの2種類についてまとめました。

一般推薦:高校の評定平均値の提出が求められる。
国公立大学は大学入学共通試験(旧センター試験)の成績も評価対象。
特別推薦:スポーツや文化活動などの取り組みを評価する。
「スポーツ推薦」や「社会活動推薦」、「取得資格推薦」などがある。

2. 指定校推薦:大学が指定した高校の生徒のみ

指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒にのみ出願資格が与えられる方式です。評定平均や生活態度、部活動などを元に、校内で選考が行われます。1枠につき、1~2名と他の推薦よりも倍率が高いのですが、校内選考を勝ち取れば、必ず入学することができますよ。ただし、指定校推薦もほとんどは専願なので注意しましょう。

\次のページで「3. 自己推薦:自分で自分を推薦」を解説!/

3. 自己推薦:自分で自分を推薦

自己推薦はその名の通り、自分で自分を推薦するという方法。この場合、公募制推薦や指定校推薦とは異なり、高校からの推薦が必要ではありません。募集要項を確認して高校の成績や卒業年度などの条件を満たしていれば応募してみて良いかもしれません。また、私立大学の自己推薦は併願できることがあるので、出願前に確認しておきましょう。

結局AO入試と推薦入試のどっちがいいの?

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ここまでAO入試と推薦入試の違いや特徴について解説してきました。一般入試のように大学の個別試験を受ける必要がないことは共通していますが、それぞれの性質はかなり異なりますよね。そんなAO入試と推薦入試のどちらを受験するべきなのでしょうか?

自分に合う試験を受けよう!

「プレゼンテーションが得意!」、「将来のビジョンがハッキリとしている」などであれば、AO入試が有利かもしれませんね。一方で、「高校で良い成績を取るように頑張った!」、「スポーツ大会で全国1位を取った!」など、高校で何かしらの活動で良い成績を収めたのであれば、推薦入試が良いでしょう。

いずれにしても、自分の現状の成績や性格、適性などを見極めて、自分に合う入試方式を選ぶようにしましょう!

AO入試と推薦入試は評価する対象が違う!

AO入試と推薦入試では評価する対象が異なるのでした。AO入試は人物や意欲などの評価を重視する一方で、推薦入試では高校での成績などの学力の評価を中心に行います。このほかにも、実施される時期や実施期間が違うなど、両者の性質は全く異なるのです。自身の特性に合った入試形態を選び、志望校合格を目指しましょう!

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AO入試と推薦入試の違いは?どっちがいい?推薦入試を合格した現役大学院生がわかりやすく解説

この記事ではAO入試と推薦入試の違いについてみていきます。どちらの入試形態も一般入試とは少し異なるけど、どういう仕組みなのか、両者の違いは何なのかがわからないという人も少なくないでしょう。
今回はそんなAO入試と推薦入試の違いを、それぞれの特徴から確認しつつ、推薦入試で大学を合格した現役大学院生ライターききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

植物について研究している現役大学院生。生物や植物だけでなく、言語や旅行、文化などあらゆるジャンルにも興味がある。誰もが面白い・分かりやすいと思ってくれるようなライターを目指している。

AO入試と推薦入試の特徴とは?

大学入試には、主に一般入試、推薦入試そしてAO入試(総合型選抜)の3種類の入試方式があります。これまで一般入試が主流だったのですが、現在は推薦入試とAO入試だけで、全体のおよそ45%、私立大学の場合、55%以上を占めているのです。さらに、国立大学や公立大学でも徐々に推薦入試とAO入試を取り入れている学校が増えており、これらの入試方式も特別なものではなくなってきていると言えます。

ここでは、はじめにAO入試と推薦入試の最大の特徴について解説していきますね。

AO入試:学力よりも人物評価

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そもそもAO入試のAOとはAdmission Officeの頭文字を取った略称で、アメリカで誕生した試験方式です。Admission Officeとは、「入学事務局」の意味。アメリカでは日本のように、受験者が一斉に受験する試験というものがありません。その代わり、このオフィス宛てに送る書類で審査が行われます。この試験方式が日本でも取り入れられ、それがAO入試と呼ばれているのです。

AO入試では、一般入試と異なり、学力による評価があまり重視されていません。志望理由書や小論文、面接、ディスカッションなどを通して、受験者がどういった人物像で、大学が求めている人材なのかどうかを判断します。

推薦入試:学力重視

推薦入試はその名の通り、高校の校長からの推薦を必要とする方法です。高校での成績や生活態度、部活動の参加など、高校での行いが評価されます。推薦入試には「公募制推薦」と「指定校推薦」、そして「自己推薦」の3種類があるのです。

どの推薦方式も、学力を中心に評価されることが共通しています。

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