なぜ「自民党」には派閥がある?派閥の歴史や問題点などを行政書士試験合格ライターが分かりやすくわかりやすく解説
最後は数の論理
かつての総選挙は中選挙区制だったため、選挙ごとに派閥間の争いが絶えませんでした。しかし、現在は小選挙区制のため、総選挙で派閥同士が直接争うことはありません。代わって現在では、自民党総裁選挙で派閥の力が試されるような状況になっています。派閥に所属する議員の数が、総裁選挙の結果に直結しているのは言うまでもありません。
そもそも日本の議会では、ほとんどの場面で多数決が採用されています。とても民主的な方法といえますが、それは「選挙にさえ勝てば政権を動かせる」とも解釈され、議会での討論などが軽視されるのを危惧しなければなりません。派閥にもそれが当てはまり、「数の論理」がまかり通っているのが実情です。
五大派閥の流れをくむ現在の派閥
2022年6月現在、自民党にはいくつかの派閥やグループがあります。岸田首相を支えているとされるのが、茂木派・麻生派・岸田派の3派。それ以外に安倍派や二階派などがあり、ここに挙げた5派で自民党所属議員の大半を占める状況です。他にも森山派や菅グループなどがあるとされます。
現在主流とみなされる5派は、いずれも結党当時の五大派閥を源流としている派閥です。祖父・岸信介の十日会を安倍晋三の安倍派が引き継いでいるのをはじめ、二階派をたどれば春秋会となります。木曜研究会は茂木派、政策研究会は麻生派に。宏池会は、岸田派がそのまま宏池会を現代でも名乗っています。
収入の大半は政治資金パーティー
1970〜80年代の日本では、金権政治が問題となっていました。特に1974(昭和49)年の参院選で、選挙買収などにより多くの逮捕者が出ています。1993(平成5)年に成立した非自民連立政権である細川護熙内閣は、政治資金規正法の改正に着手。企業や団体からの寄附の対象を、政党と資金管理団体に限定しました。
現在の自民党の派閥は、企業などから政治献金を受け取れません。その代わりに政治資金パーティーが行われています。各派閥の収入のうち、政治資金パーティーが6〜8割ほどです。ただし、パーティー券の購入額が20万円以下の場合は収支報告書に記載不要など、政治資金パーティーに問題がないわけではありません。
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