今回は、「アメデオ・アボガドロの功績」について解説していきます。

アメデオ・アボガドロは気体分子に関する理論を発表した人物です。この理論は、彼の死後に高く評価され、結果的に気体分子の研究を盛り上げることになったぞ。このような背景もあり、アボガドロの名前は化学分野における『アボガドロ定数』として語り継がれている。ぜひ、この機会に「アメデオ・アボガドロの功績」についての理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

アボガドロという学者について学ぼう!

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アボガドロという学者のことを皆さんはご存じでしょうか?本名はアメデオ・アボガドロであり、彼の名前は化学分野で用いられるmol(モル)という単位の定義でもあるアボガドロ定数の由来にもなっていますよ。アボガドロ定数は高校の化学の授業で取り上げられる内容なので、言葉の響きに覚えのある方も少なくないでしょう。

この記事では、アボガドロがどのような人生を送り、その中でどのような実績を残したのかを深堀していきます。そして、彼の発見が後世の科学にどのような影響を与えたのかという点も考察しますよ。それでは早速、アボガドロについて解説をはじめます。

アボガドロの生涯

アボガドロは18世紀から19世紀にかけて活躍した化学者・物理学者です。1776年に現在のイタリアにあたるサルデーニャ王国でアボガドロは生まれました。父が法律家であったことから、アボガドロは大学で法学と哲学を専攻し、若いころは弁護士として働いていました。

その後、あるきっかけで数学と物理学を学び、その道で生きていくことになります。ですが、政治的な理由により学者としての活動が困難な時期もあり、そのときには弁護士として返り咲くこともあったようです。このように、アボガドロは一風変わったプロフィールをもつ学者なのですね。

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アボガドロと学問の出会い

アボガドロは1800年ころに、数学や物理学に深い興味をもつようになり、それらの学問への理解を深めていきました。そして、1803年には自身初となる論文をイタリアの学会に提出しています

このような成果を積み重ねて、ヴェルチェッリ王立大学やトリノ大学でアボガドロは教鞭をとるようになったのです。アボガドロは大学教授をつとめる間に、電磁気学・物理化学・統計学・気象学・熱力学といった幅広い分野について学び、研究活動に取り組んだようですよ。

アボガドロが残した実績

アボガドロが残した実績の中で最も大きかったものは、『アボガドロの法則』でしょう。この法則は物理化学の理論を支える重要な知見であり、現代の科学にも深いつながりをもっていますよ。この法則については、次のチャプチャーで詳しく説明しますね。

しかしながら、アボガドロが無名であったこともあり、発表当時はアボガドロの法則に注目は集まりませんでした。彼が化学の世界で評価されたのは、1860年ごろにスタニズラオ・カニッツァーロという学者が分子についての議論でアボガドロの論文を引用したときだったのです。このとき、アボガドロが亡くなってから5年ほど経っていました。

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アボガドロの法則について理解を深めよう!

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ここまで、アボガドロがどのような人物であったかを、一通り解説してきました。本チャプターでは、彼の残した最大の功績であるアボガドロの法則について、物理化学の視点で詳しく解説していきますね

アボガドロの法則の内容はどのようなものであるのかその法則は他の学者にどのような影響を与えたのかといった点に注目して記事を読み進めてみてください。解説の中では難しい用語や言葉がいくつか登場しますが、それぞれの意味をひとつひとつ理解することが大切ですよ。

アボガドロの法則とは?

アボガドロの法則とは?

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アボガドロの法則は、同温同圧条件下において同じ体積中に含まれる分子数は気体の種類のよらず一定であることを表しています。この法則によって、ジョン・ドルトンが提唱した原子論では説明できなかった気体同士の化学反応における体積変化を説明できるようになったのです。

また、現在の高校化学では、標準状態(0℃で一気圧の条件下)における気体の体積は1molあたり22.4Lになることを学びます。この概念は、まさにアボガドロの法則を根拠に説明ができますよね。

アボガドロの法則が他の学者に与えた影響

アボガドロの法則が他の学者に与えた影響

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続いて、アボガドロの法則が発見されたことで、他の学者にどのような影響が及んだのかを考えていきましょう。アボガドロの法則を皮切りに気体分子に関する研究は活発化し、それは後に気体分子運動論気体の状態方程式ブラウン運動などの概念が登場するきっかけにもなりました。

そして、アボガドロの法則を含むこれらの法則の発見は化学を前進させるだけでなく、気象学の発達にも大きく貢献することになったのです。それゆえ、間接的な効果を含めると、アボガドロの発見は世の中に多大なインパクトを与えたと言えますよ。

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後世にも残るアボガドロの名前

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アボガドロの名前は、化学分野で頻繁に用いられる単位であるmolを定義する定数として、現在でも使われています。最後のチャプターでは、アボガドロの名前を冠した定数が一体何を表すものであり、それになぜアボガドロの名前が採用されたのかという点を考察してみましょう

このような背景を知ることで、アボガドロが気体分子の研究において、いかに大きな貢献をしたかということも改めて理解できることでしょう。ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね。

アボガドロ定数

アボガドロ定数NAは、物質量1molに含まれる原子・分子などの粒子数を表す定数であり、その値は6.022×1023[個/mol]となっています。実際には、アボガドロ定数の値はアボガドロ自身ではなく、ドイツ人科学者のヨハン・ロシュミットやフランス人科学者のジャン・ペランなどによって算出されました。

ペランはこの実績でノーベル賞を受賞していますよ。そして、ペランは気体分子に関する研究を盛り上げたアボガドロに尊敬の念をもっており、彼の提案によりアボガドロの名前をつけた定数とすることになったのです

アボガドロについて学ぶ意義

今回の記事では、アボガドロがどのような生涯を送り、その中でどのような発見をしたのかという点を詳しく解説しましたよね。アボガドロの発見はどちらかと言えば地味なものであり、発表当時はほとんど注目されることはありませんでした。

しかしながら、アボガドロの発見を皮切りに気体分子に関する理論は急速に発展します。ゆえに、アボガドロの発見は近代科学における縁の下の力持ちのような立ち位置であると表現できるでしょう。ぜひこの機会にアボガドロという人物について知ってみてくださいね。

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化学原子・元素物質の状態・構成・変化理科

3分で簡単アメデオ・アボガドロの功績!アボガドロ定数の由来になった人物について理系学生ライターが徹底わかりやすく解説

今回は、「アメデオ・アボガドロの功績」について解説していきます。

アメデオ・アボガドロは気体分子に関する理論を発表した人物です。この理論は、彼の死後に高く評価され、結果的に気体分子の研究を盛り上げることになったぞ。このような背景もあり、アボガドロの名前は化学分野における『アボガドロ定数』として語り継がれている。ぜひ、この機会に「アメデオ・アボガドロの功績」についての理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

アボガドロという学者について学ぼう!

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アボガドロという学者のことを皆さんはご存じでしょうか?本名はアメデオ・アボガドロであり、彼の名前は化学分野で用いられるmol(モル)という単位の定義でもあるアボガドロ定数の由来にもなっていますよ。アボガドロ定数は高校の化学の授業で取り上げられる内容なので、言葉の響きに覚えのある方も少なくないでしょう。

この記事では、アボガドロがどのような人生を送り、その中でどのような実績を残したのかを深堀していきます。そして、彼の発見が後世の科学にどのような影響を与えたのかという点も考察しますよ。それでは早速、アボガドロについて解説をはじめます。

アボガドロの生涯

アボガドロは18世紀から19世紀にかけて活躍した化学者・物理学者です。1776年に現在のイタリアにあたるサルデーニャ王国でアボガドロは生まれました。父が法律家であったことから、アボガドロは大学で法学と哲学を専攻し、若いころは弁護士として働いていました。

その後、あるきっかけで数学と物理学を学び、その道で生きていくことになります。ですが、政治的な理由により学者としての活動が困難な時期もあり、そのときには弁護士として返り咲くこともあったようです。このように、アボガドロは一風変わったプロフィールをもつ学者なのですね。

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