イットリウムの用途
ここまで、イットリウムの化学的な性質について一通り学んできました。以下では、イットリウムがどのような用途で利用されているのかを、具体的な事例を通して考えていきましょう。イットリウムの用途について知ることで、イットリウム自体についての理解も深まりますよ。
今回は、蛍光体・酸素イオン伝導体・添加剤・超伝導体という4つの事例をご紹介しますね。それぞれの用途が、イットリウムのどの性質を活かしたものであるのかを考えながら、記事を読み進めてみてください。
蛍光体:赤色を表現
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ユウロピウムイオンを添加した酸化イットリウム・硫化イットリウム・バナジン酸イットリウムなどの化合物は赤色蛍光体として知られています。過去、ブラウン管カラーテレビで赤色を表現するために、この赤色蛍光体は使われていました。
また、現在では赤色LEDを製造する際にイットリウム系の化合物が利用されていますよ。赤色は光の三原色であるため、イットリウムの蛍光体としての役割がいかに重要であるかがわかりますよね。
酸素イオン伝導体:燃料電池の電極
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酸化ジルコニウムに少量の酸化イットリウムを添加した『イットリア安定化ジルコニア』は、酸素イオン伝導体として知られています。電子が金属結晶中を流れるように、酸素イオン伝導体は酸素イオンを結晶中に流すことができるのです。
それゆえ、イットリア安定化ジルコニアは酸素センサーを製造するために用いられていますよ。また、酸素と水素を反応させて電気を作り出す燃料電池にも酸素イオン伝導体が使われています。家庭用燃料電池の主力であるSOFC(固体酸化物形燃料電池)の電極にはイットリア安定化ジルコニアが利用されているのです。
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添加剤:金属の強度・耐熱性・耐腐食性が向上
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他の金属結晶にイットリウムを少量添加すると、主体の金属結晶の強度・耐熱性・耐腐食性が向上することがあります。また、イットリウムと他の金属の合金は結晶粒度が小さくなる傾向があり、加工が簡単になるというメリットもあるのです。それゆえ、イットリウムは合金の添加剤として頻繁に利用されます。
イットリウムと添加することで、上記ような恩恵を受けることができる金属としては、クロム・モリブデン・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・マグネシムなどがありますよ。そして、イットリウムと鉄・コバルトの合金は永久磁石として利用されています。
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