今回は「電磁波」について解説していきます。

電磁波は、電波や光の正体であり、自分たちのまわりを常に飛び交っている。そして、携帯電話やテレビの存在が当たり前になった現代では、電磁波関連の技術は必要不可欠なものになっているぞ。しかしながら、電磁波の種類やメカニズムについてはあまり知られていないというのが事実でしょう。ぜひこの記事を読んで、電磁波についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

電磁波について詳しく学ぼう!

今回の記事のメインテーマは「電磁波」です。電磁波は直感的に現象のメカニズムを理解することはできません。そのため、電磁波という言葉を聞いたことはあるが、詳しい内容は全然知らないという方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、電磁波の正体について物理学の視点で詳しく説明することにしました。具体的には、メカニズム種類といった観点から電磁波について考察していきますよ。ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね。

電磁波とは?

電磁波とは?

image by Study-Z編集部

電磁波とは、電場と磁場の変化が空間中を伝搬する現象のことを指します。名前に波という字が含まれていることからもわかるように、電磁波は波動としての性質をもちますよ。

それゆえ、屈折反射回折干渉散乱などの波動特有の現象を観測することができます。このように聞くと電磁波という存在は身近でないように思われますが、実は光や携帯電話の電波も電磁波の一種です。

\次のページで「電磁波のメカニズム」を解説!/

電磁波のメカニズム

電場と磁場の変化が空間中を伝搬するという電磁波のメカニズムをもう少し詳しく考えてみましょう。電場がある場所には電流が存在し、電流の周りには磁場が発生しますよね。そして、磁場が発生すると、その周りには電磁誘導によって電流が流れ電場が発生します。

このように、電場と磁場が交互に発生し、この連鎖は空間上に拡散されていきますよ。実はこの現象こそが電磁波のメカニズムなのです。

電磁波の二面性

先ほどから、電磁波は「波動」であることを何度も述べてきました。ですが、電磁波は「粒子」としての性質も持ち合わせています。つまり、電磁波は小さな粒が飛んでくる現象としても解釈できるということです。

電磁波の粒のことを光子と呼ぶことがあります。電磁波が粒子であると解釈しない場合、コンプトン効果や光電効果などの物理現象の説明がどうしてもできないのです

電磁波の種類

ここまで、電磁波の正体とメカニズムについて深堀りしてきました。続いて、本チャプターでは電磁波の種類について考えていきます。電磁波は波長の長さによって分類することができるのです。

波長の長い順に電波赤外線可視光線紫外線X線ガンマ線となります。今回は、それぞれの種類の電磁波がどのようなものであるかを詳しく説明しますね。そして、それぞれの電磁波が人間社会の中でどのように活用されているのかという点についても考えてみましょう。

1.電波

image by iStockphoto

波長が最も長い電磁波は「電波」に分類されます。具体的には波長が1mmを超えるような電磁波は電波として扱いますよ。電波の中でも、電子レンジのマイクロ波や携帯電話の5G通信などは比較的波長が短く、テレビ放送やラジオ放送に用いられる電波は波長が長くなっていますよ。

また、宇宙や海底との通信に利用される電波は超長波と呼ばれ、波長は最大で10km程度に及びます。波長が長いほど、遠くまで電波を届かせることができるので、以上のような波長が選択されているのです

\次のページで「2.赤外線」を解説!/

2.赤外線

image by iStockphoto

赤外線」は1mmから1μm程度の電磁波のことを指します。赤外線は目には見えませんが、光の一種でもありますよ。人間社会では、赤外線は通信センサーと言った分野を中心に活躍しています。

赤外線が用いられている最も身近な技術はリモコンです。リモコンは家電製品に向けて赤外線の信号を発しています。この信号を家電製品が受信することで、遠隔操作が可能になっているのです。

3.可視光線

image by iStockphoto

可視光線」は1μmから100μm程度の電磁波のことを指します。可視光線とは人間の目に見える光のことですよ。可視光線は波長の長い順に赤色橙色黄色緑色青色藍色紫色の順に並んでいます。これはの配色順と同じですよ。

可視光線は、スマートフォンのディスプレイから照明に至るまで人間が光っていると認識できるものすべてに関係があります。電磁波の中でも、可視光線は最も身近なものであると言えますね

4.紫外線

image by iStockphoto

波長が100μm程度より小さくなると、人間の目は光を認識できなくなります。この帯域に存在する電磁波が「紫外線」です。紫外線は太陽光線に含まれており、日焼けの原因になることが知られていますよね。日焼け止めの宣伝文句にUVカットというフレーズがありますが、UVは紫外線のことを表していますよ。

ですが、紫外線は人間にとって役に立つ存在でもあります。紫外線には殺菌作用があるからです。実際、大型ショッピングモールや病院などの換気設備には、紫外線ライトによる殺菌装置が含まれていますよ。

5.X線

image by iStockphoto

波長の長さが1nmから0,01nm程度までの領域にある電磁波のことを「X線」と呼びます。X線は放射線の一種でもあり、物体を透過するという性質を持っているのです。この性質を活かして、X線はレントゲン撮影非破壊検査などの技術に用いられていますよ。

ですが、X線にはデメリットも存在します。それは、X線自体が非常に強いエネルギーをもつため、人体に悪影響を及ぼす可能性があることです。それゆえ、X線の使用には厳しい法規制が存在していますよ。

\次のページで「6.ガンマ線」を解説!/

6.ガンマ線

image by iStockphoto

電磁波の波長が0,01nm程度を下回ると、それは「ガンマ線」と呼ばれるようになります。ガンマ線はエネルギー密度の高い放射線です。X線同様、ガンマ線を過剰に浴びると人体に悪い影響を及ぼします。

このような理由で、ガンマ線は長い間厄介者扱いされてきましたよ。ですが、近年では、ガンマ線がもつ強いエネルギーを活かして、がん治療や食品の滅菌などの目的でガンマ線が活用されるようになりました

電磁波について学ぶ意義

この記事では、電磁波が伝搬するメカニズムや電磁波の種類についての解説に焦点をあててきました。なぜなら、これらの概念は私たちの生活を支える技術と密接な関係があるからです。記事の中でも、身近な技術がいくつも登場しましたよね。

このような背景をもつ電磁波ですから、その理論を雑学として身につけておいて損をすることはないでしょう。もちろん、電磁気学の入門として学ぶということもおすすめです。ぜひこの機会に電磁波について詳しく学んでみてくださいね。

" /> 簡単でわかりやすい!電波や光の正体である電磁波とは?種類やメカニズムについて理系学生ライターが3分で詳しく解説 – Study-Z
物理理科電磁気学・光学・天文学

簡単でわかりやすい!電波や光の正体である電磁波とは?種類やメカニズムについて理系学生ライターが3分で詳しく解説

今回は「電磁波」について解説していきます。

電磁波は、電波や光の正体であり、自分たちのまわりを常に飛び交っている。そして、携帯電話やテレビの存在が当たり前になった現代では、電磁波関連の技術は必要不可欠なものになっているぞ。しかしながら、電磁波の種類やメカニズムについてはあまり知られていないというのが事実でしょう。ぜひこの記事を読んで、電磁波についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

電磁波について詳しく学ぼう!

今回の記事のメインテーマは「電磁波」です。電磁波は直感的に現象のメカニズムを理解することはできません。そのため、電磁波という言葉を聞いたことはあるが、詳しい内容は全然知らないという方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、電磁波の正体について物理学の視点で詳しく説明することにしました。具体的には、メカニズム種類といった観点から電磁波について考察していきますよ。ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね。

電磁波とは?

電磁波とは?

image by Study-Z編集部

電磁波とは、電場と磁場の変化が空間中を伝搬する現象のことを指します。名前に波という字が含まれていることからもわかるように、電磁波は波動としての性質をもちますよ。

それゆえ、屈折反射回折干渉散乱などの波動特有の現象を観測することができます。このように聞くと電磁波という存在は身近でないように思われますが、実は光や携帯電話の電波も電磁波の一種です。

\次のページで「電磁波のメカニズム」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: