1. 彼女は魅力的なプレゼンを行って、会議の出席者をみんな掌にしていたよ。もうこのプロジェクトは問題無いだろう。
2. コトバンクに載せるものを考えている時に、素晴らしい提案が部下からあったんだ。つい掌にされそうになってしまったよ。
3. あの犬はつい最近飼い始めたのだけれど、まだ環境に慣れていないみたいで、よく吠えるんだ。掌にする方策を少し考えないといけないな。
このようにどの例文においても「掌にする」は「何かの物事や他者」を意のままにする、またはそのようにしようとしている際に使用されていることがわかりますね。いずれにおいても「手に握る」に置き換えることが可能です。
「掌の中」:物事が思いのままになること
今回最初にご紹介する類義語が「掌の中」(たなごころのなか)です。あまり使わない慣用句ですから、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。
手の中にあるように物事が思いのままになること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「掌の中」
このように「掌の中」は「掌にする」とほとんど同じ意味を有していることがわかりますね。ただし比較すると、「掌の中」はどちらかというと「物事」に対して使用する言葉と言えるでしょう。
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「牛耳る」:組織などを思いのままに動かすこと
次にご紹介する類義語が「牛耳る」(ぎゅうじる)です。こちらも意味を確認しておきましょう。
団体や組織を支配し、思いのままに動かす。牛耳を執る。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「牛耳る」
「牛耳る」は「思いのままに動かす」という意味で「掌にする」と近い意味を有していますが、違いとしては支配する対象が「団体や組織」というところでしょう。その意味で「掌にする」よりも限定的な意味となっていると言えます。
「統べる」:全体を支配すること
今回最後にご紹介する類義語が「統べる」(すべる)です。こちらも意味を確認しておきます。
1. 全体をまとめて支配する。統轄する。
2. 多くの物を1つにまとめる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「統べる」
「掌にする」の類義語としては1の意味ですね。「支配」という意味では同じような意味ですが、比較すると「統べる」は対象が広いまたは複数で、それらを「まとめる」といったニュアンスが強い言葉です。逆に言えば「掌にする」は狭いまたは単一の対象に使用することが適した慣用句と言えるでしょう。
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