
コープの法則は成り立つの?成り立たないの?
コープの法則を含む定向進化説には、自然選択説と少し異なる考え方があることで誕生しました。しかし、実際にこの説が提唱されたのは、何かしらの事例があったからです。ここでは、コープの法則が成立する場合と、成立しない場合の例をご紹介します。
コープの法則が成り立つ場合

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恐竜の化石の解析から、コープの法則が成り立つ事例がいくつか見つかっています。例えば、ブラキオサウルスなどの竜脚類(りゅうきゃくるい)は、これまで陸上で生活した生物の中で最大の体をもつ生物と言われているのです。
ブラキオサウルスは世代を重ねるごとに体が大きくなる方向へと進化したと考えられます。
しかし、恐竜の大腿骨の化石のサイズを解析したところ、必ずしもこのコープの法則が全ての恐竜に当てはまるとは限らないことが明らかになりました。
コープの法則が成り立たない場合

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生物の中には、巨大化するのではなく、逆に小型化するものも存在しました。天敵が少ない地帯で生息した生物の体は大型化するのではなく、逆に小さくなる傾向があるそうです。例として、過去に日本列島に生息していたアケボノゾウが挙げられます。アケボノゾウはゾウにしてはかなり小さい約2mという高さしかありません。このアケボノゾウは高さ4mもある大型のミエゾウが小型化したものだと考えられていますよ。
大型化することで天敵に襲われにくいなどの利点がありますが、特殊な体構造を取ることや、個体数が減少するなどの欠点もあるため、環境変動には対応しづらいのです。大型化するエネルギーを別のものに使ったと考えられますね。
現代の研究者たちはコープの法則を認めていない
このように、コープの法則は生物の進化において、必ず成り立つものではないと考えられるようになりました。
現代のほとんどの研究者は、コープの法則のような定向進化説を認めていません。しかし、化石に関する研究では、「定向進化のような傾向がある」と表現することもあるそうです。これは、わかりやすくするために使われているだけであり、実際に生物が自発的に一定方向の進化が推し進められているとは認識していません。
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