今回は地球から見た星の動きがテーマです。

地球に1日と1年があるのは地球が自転し、太陽の周りを公転しているからです。しかし、地球にいても地球が回っていると感じることはないな。そのかわり、地球から空を見上げると星が地球の周りを動いているように見える。この天体の見かけの運動を日周運動・年周運動と呼ぶ。

それでは天体の運動について学ぶ。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学科のリケジョ。理科教育に関わりたくて理系に進んだため、実験ショーや実験教室を行う科学館の仕事が大好き。よく職場のプラネタリウムに入り浸っている。

定義から見る日周運動・年周運動

image by PIXTA / 43690752

朝登った太陽は夕方に沈み、見える星座は時期によって異なります。これは地球が自転・公転をし、天体が動いて見えるからです。この天体の見せかけの運動を日周運動年周運動といいます。

それでは早速、コトバンクで日周運動と年周運動の定義を調べてみましょう。

日周運動の定義

まずは日周運動の定義です。

地球が西から東へ自転しているため、その地球に乗っている観測者から見ると、すべての星は地上に対して東から西へ動いているように見える。この動きを日周運動という。
(出典:コトバンク「日周運動」)

地球が地軸(北極と南極を結んだ軸)を軸に1回転するのに約23時間56分4秒かかります。しかし地球にいても地球が回転していることを感じることはありませんね。そのかわり、空を観察すると東から太陽が昇って西に沈み、夜になれば星が見えるようになります。このように自転によって地球の周りを天体が動いているように見える見せかけの運動を、日周運動というのです。

動いているのは地球のなのか天体なのか?と言う地動説・天動説についてはこちらの記事を参考にしてください。

\次のページで「年周運動の定義」を解説!/

年周運動の定義

image by PIXTA / 62705808

続いて年周運動の定義です。

太陽の周りを公転運動している地球から太陽方向を眺めると、地上からは昼間の空が明るくて確認できないが、背景の星々が太陽に対して東から西にゆっくり移動し、1年かけてふたたび元の位置に戻ってくる。星々を基準にして考えれば、太陽が1年かけて天球上を一周しているともいえる。これを年周運動といい、天球上の太陽の通り道を黄道という。
(出典:コトバンク「年周運動」)

また、地球は太陽の周りを365日かけて1回転しています。これが公転ですね。星空を見ても1日2日ではあまり違いを感じることができません。しかし、1か月や季節ごとに星空を比べると見える星座は少しずつ位置が変化しているのです。

例えば冬の星座の代表、オリオン座。10月頃は午後11時くらいに東の空に見る事ができます。しかし、12月頃は午後7時には東の空に現れるのです。このように星空は1年というスパンでゆっくりと変化し、元の位置に戻ってきます。この1年をかけた天体の動きを年周運動というのです。

おさらい!自転と公転

おさらい!自転と公転

image by Study-Z編集部

ここで、先ほどから何度も登場してきている惑星の動き「自転」と「公転」をおさらいしましょう。

太陽系の惑星の自転

惑星が地軸を中心にコマのように回転することを自転といいます。地球は約24時間をかけて自転していますね。惑星によって自転の速度は異なります。

金星/243日(自転の向きは地球と反対)
水星/58.6日15時間30分30秒
冥王星/6日9時間17分32秒(自転の向きは地球と反対)
火星/24時間37分22秒
地球/23時間56分4秒
天王星/17時間14分24秒(自転の向きは地球と反対)
土星/約10時間14分(場所によって異なる)
海王星/16時間6分36秒
木星/約9時間50分(場所によって異なる)

最も自転周期の長い金星は、8か月でやっと1回自転します。ちなみに天体は東から登って西に沈むように見えますが、それは地球が西から東(北半球から見たら反時計回り)という向きで自転しているからです。ちょっとややこしいですが、覚えておいてください。

太陽系の惑星の公転

公転は他の天体の周りを回転する運動のことです。地球は太陽の周りを公転し、月は地球の周りを公転しています。

水星/約88日
金星/約225日
地球/365日
火星/約687日
木星/約12年
土星/約30年
天王星/約84年
海王星/約165年

天体の動き

image by PIXTA / 25861247

より詳しく天体の動きを確認していきましょう。

日周運動による星の動き

日周運動による星の動き

image by Study-Z編集部

日本がある北半球。北半球で星は東から登った星が南の空を通って西に沈みます。そして北の空を見ると星は北極星の周りを半時計回りに回っているのです。では南半球からはどう見えるのでしょうか。南半球で星は東から登って北の空を通って西に沈みます。そして南の空を時計回りしているのです。

\次のページで「年周運動による星の動きによる星の動き」を解説!/

東の空:地平線から斜めに登る
南の空:東から西へ弧を描くように移動
西の空:地平線に斜めに沈む
北の空:北極星を中心に反時計回りに移動

地球は約24時間で1回自転をしています。1回転は360°、つまり360÷24=15で1時間で15°、天体は移動するのです。

年周運動による星の動きによる星の動き

年周運動による星の動きによる星の動き

image by Study-Z編集部

1年をかけて行われる、天体の移動が年周運動です。例えば太陽は夏至の時に南中高度が最も高く、夏至は最も低くなります。その中間となるのが春分の日・秋分の日です。夏至の日は1年で最も日が長く、冬至は最も日が短い日ですね。これが毎年繰り返されるのは、地球が太陽の周りを公転しているからなのです。

南中:天体が真南に来る瞬間のこと
南中高度:南中したときの角度

地球は365日で1回転します。つまり同じ時刻で比較すると360÷365で1日約1°移動することになるのです。そして、1か月では30°移動し、2時間分星が速く見えるようになります。

動かない星、北極星

image by PIXTA / 47434099

星座の位置の変化の話をしてきましたが、位置がほとんど変わらない天体もあります。それが北極星です。北極星をコトバンクで調べると「天の北極近くに輝き、北の方角の目印になる。北辰(ほくしん)。」と書かれています。

北極星は地軸をまっすぐと伸ばした先のあたりに位置する星です。そのため、地球の自転や公転に関係なくその見かけの位置はほとんど変わりません。

星座と年周運動

朝のニュースでほぼ必ず見かける星座占い。例えば9月の上旬生まれの人はおとめ座となります。じゃあおとめ座が見えるのは9月なの?といえばそうではありません。

誕生日の星座は「生まれた時に太陽が位置していた星座」、つまりその時期に太陽のそばにある星座になります。そのため太陽が昇ったら同じ方向の空に星座が現れますが、当然日中にその星を見ることはできません。自分の誕生日の星座が見たければ、誕生月の3、4か月前に夜空を見上げてください。

日周運動と年周運動

毎日太陽が昇って沈み、夜には星を見る事ができます。太陽が沈まない日はありません。また季節によってみられる星座が異なっています。このように天体が1日、1年というスパンで地球の周りを移動してい(るように見え)るのが日周運動、年周運動です。

天体は1時間で15°移動します。また同じ時間に空を見上げると、2か月で約30度動いているのです。これを踏まえて星を見ると、より空の物語が楽しめそうですね。

" /> 日周運動?年周運動?自転と公転による星の動きを科学館職員がわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
地学理科

日周運動?年周運動?自転と公転による星の動きを科学館職員がわかりやすく解説!

年周運動の定義

image by PIXTA / 62705808

続いて年周運動の定義です。

太陽の周りを公転運動している地球から太陽方向を眺めると、地上からは昼間の空が明るくて確認できないが、背景の星々が太陽に対して東から西にゆっくり移動し、1年かけてふたたび元の位置に戻ってくる。星々を基準にして考えれば、太陽が1年かけて天球上を一周しているともいえる。これを年周運動といい、天球上の太陽の通り道を黄道という。
(出典:コトバンク「年周運動」)

また、地球は太陽の周りを365日かけて1回転しています。これが公転ですね。星空を見ても1日2日ではあまり違いを感じることができません。しかし、1か月や季節ごとに星空を比べると見える星座は少しずつ位置が変化しているのです。

例えば冬の星座の代表、オリオン座。10月頃は午後11時くらいに東の空に見る事ができます。しかし、12月頃は午後7時には東の空に現れるのです。このように星空は1年というスパンでゆっくりと変化し、元の位置に戻ってきます。この1年をかけた天体の動きを年周運動というのです。

おさらい!自転と公転

おさらい!自転と公転

image by Study-Z編集部

ここで、先ほどから何度も登場してきている惑星の動き「自転」と「公転」をおさらいしましょう。

太陽系の惑星の自転

惑星が地軸を中心にコマのように回転することを自転といいます。地球は約24時間をかけて自転していますね。惑星によって自転の速度は異なります。

金星/243日(自転の向きは地球と反対)
水星/58.6日15時間30分30秒
冥王星/6日9時間17分32秒(自転の向きは地球と反対)
火星/24時間37分22秒
地球/23時間56分4秒
天王星/17時間14分24秒(自転の向きは地球と反対)
土星/約10時間14分(場所によって異なる)
海王星/16時間6分36秒
木星/約9時間50分(場所によって異なる)

最も自転周期の長い金星は、8か月でやっと1回自転します。ちなみに天体は東から登って西に沈むように見えますが、それは地球が西から東(北半球から見たら反時計回り)という向きで自転しているからです。ちょっとややこしいですが、覚えておいてください。

太陽系の惑星の公転

公転は他の天体の周りを回転する運動のことです。地球は太陽の周りを公転し、月は地球の周りを公転しています。

水星/約88日
金星/約225日
地球/365日
火星/約687日
木星/約12年
土星/約30年
天王星/約84年
海王星/約165年

天体の動き

image by PIXTA / 25861247

より詳しく天体の動きを確認していきましょう。

日周運動による星の動き

日周運動による星の動き

image by Study-Z編集部

日本がある北半球。北半球で星は東から登った星が南の空を通って西に沈みます。そして北の空を見ると星は北極星の周りを半時計回りに回っているのです。では南半球からはどう見えるのでしょうか。南半球で星は東から登って北の空を通って西に沈みます。そして南の空を時計回りしているのです。

\次のページで「年周運動による星の動きによる星の動き」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: