端的に言えば「片手落ち」の意味は「配慮が一方にだけ偏っていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「片手落ち」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/やぎしち
雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。
「片手落ち」の意味は?
「片手落ち」には、次のような意味があります。
[名・形動]配慮や注意が一方にだけかたより、判断などの不公平なこと。また、そのさま。偏頗へんぱ。「片手落ちな(の)処置」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「片手落ち」
この言葉は、「配慮や注意が偏ること、その不公平なありさま」を意味する慣用表現です。気配りが特定の何かに偏っていることから、他のものに対して「配慮が足りない」というニュアンスになることも。
「不公平」と「配慮不足」では意味合いが異なりますので、どちらで使われているかには注意が必要です。
用法は広く、人以外に対して使うことも出来、二つ以上必要なもののうち一つしか用意していない場合などでも「片手落ち」になります。詳しくは例文の項も確認してみてくださいね。また、古い言い方では「かたてうち」とも。余裕があれば、一緒に覚えておきましょう。
「片手落ち」の語源は?
次に「片手落ち」の語源を確認しておきましょう。
語源は諸説あり、まず「整わないこと、不完全なこと」を意味する「片(かた)」に、「手落ち=不備や欠点があること」という単語が合わさってできたという説があります。外国の人が上手にしゃべれないことを「片言(かたこと)」と言うのを聞いたこともあるでしょう。
他には、「片落ち」に「手」が付いて、より「片方の手」という意味が強調されるようになった説。「片落ち」は現在の「片手落ち」とほぼ同じですが、金融用語で、貸出日か支払日の片方にしか利息を付けないことも意味します。
いずれにしても、両方ではなく片方というニュアンスがわかるはず。何かが不足しているイメージで読み解くようにしてくださいね。
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