この記事では「窮余の一策」について解説する。

端的に言えば窮余の一策の意味は「追いつめられた際にとっさに浮かんだ計画のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「窮余の一策」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「窮余の一策」の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「窮余の一策」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「窮余の一策」(きゅうよのいっさく)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「窮余の一策」の意味は?

まずは、「窮余の一策」の国語辞典の意味を見ていきましょう。併せて「窮余」(きゅうよ)の意味もご紹介しましょう。

【窮余の一策】
1. 苦しまぎれに思いついた、一つの手段。
出典:日本国語大辞典(精選版)「窮余の一策」

【窮余】
1.追い詰められて、困ったあげく。苦しまぎれ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「窮余」

「窮余の一策」(きゅうよのいっさく)の「窮余」(きゅうよ)とは、「追い詰められた苦しまぎれの状況」のことで、「一策」(いっさく)とは、「ひとつのはかりごと、策略、考え、手段」のことです。「窮余の一策」は、辞書で説明されているとおり、「追い詰められた状況の中で思いついてとった手段」のことになります。

「窮余の一策」の語源は?

次に「窮余の一策」の語源を確認しておきましょう。「窮余の一策」がいつから使われるようになったのかははっきりしませんが、「窮する」(きゅうする)の「窮」の字は古くからあり、日本の書物でも15世紀には既に使われています。追いつめられて、困った状況の中で、その場で思いついた手段を取るのは人間の本能のひとつかもしれないですね。

\次のページで「「窮余の一策」の使い方・例文」を解説!/

「窮余の一策」の使い方・例文

「窮余の一策」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. コーナーに追いつめられたときは、ガードを取り続けることが基本なのかもしれないが、窮余の一策というか、そのとき瞬間的に左のパンチを打ったんだ。そうしたら、たまたま相手のあごにクリアーにあたり奇跡的に逆転できたんだ。

2. 深入りして攻め過ぎることは勢いがあるからといって得策ではないのかもしれない。何年か前の戦(いくさ)の時のことだ。相手も追いつめられて後がないと思ったのだろう。窮余の一策というか全軍で我が陣の本体に突進してきたんだ。我が軍も相手方の必死の攻勢にさすがにひるんでしまい、流れが変わってしまったんだ。

人は追いつめられたとき、本能的にあるいは反射的に自己を守る行動を取るものです。そういうDNAを持ち合わせて生まれてきているのでしょう。そんな瞬間、あるいは危機に陥ったときの人のとる行為を例文にしてみました。

「窮余の一策」の類義語は?違いは?

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それでは、「窮余の一策」の類義語を見ていきましょう。

「苦肉の策(くにくのさく)」:追いつめられ敵をあざむくために自分の体を痛める策

「窮余の一策」は、追いつめられた状況の中、苦しまぎれにとった手段のことですが、同様な意味を持つ類義語のひとつに「苦肉の策(くにくのさく)」があります。敵をあざむく目的で自分の肉体を痛めつけるようなことまでする謀りごと(はかりごと)のことでです。「窮余の一策」と同様に苦しまぎれに考え出された方策の意味として使われるようになりました。

この「苦肉の策」は、「三国志」(さんごくし)の中に出てくる話が起源です。敵の目をあざむくために自軍の老将軍に寝返りの計画があるという嘘のウワサを流し、人前で総大将が老将軍を自ら棒打ちの刑に処した話から来ています。味方の将軍まで裏切者として刑に処するという謀りごとまでしないと勝利が見えない苦境の中で考え出された秘策だったのです。

\次のページで「「窮余の一策」の対義語は?」を解説!/

「窮余の一策」の対義語は?

次に「窮余の一策」の対義語を見ていきましょう。

「用意周到(よういしゅうとう)」:十分に用意できて手抜かりのないこと

「窮余の一策」は、追いつめられて苦しまぎれに取った計画のことでしたから、反対語は十分に対応の準備ができていて抜けのない手段を取るという意味を持つ言葉が適切ですね。

そんな意味を含む慣用句に用意周到(よういしゅうとう)があります。「用意」(ようい)とは、皆さんご存じのとおり、ことを行うにあたり前もって備えておくこと、準備することですよね。「周到」(しゅうとう)とは、すみずみまで行き届いておちがないことですから、用意周到は、全体で、おちがなく、すみずみまで行き届いた準備ができているという意味になりますね。

「用意周到」は事前に予測できて対応できる時間的な余裕があるのに対して、「窮余の一策」とは、そもそもよく考えて冷静な判断を下せる時間的な余裕がないわけですから、状況の切迫感も違いますよね。

「窮余の一策」の英訳は?

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次に「窮余の一策」の英訳を見ていきましょう。

「desperate measure」:捨てばちで自暴自棄な手段

「窮余の一策」は、苦しまぎれにとった手段のことでしたから英語にするとピッタリとくる表現のひとつに「desperate measure」があります。

「desperate measure」の 「desperate」(désp(ə)rət)とは、「窮余の」という意味の他、「自暴自棄の」、「絶望的な」、「捨てばちの」などの意味を持ち使える範囲の広い形容詞です。「measure」(méʒɚ)は、この場合は「手段」という名詞で使ってはいかがでしょうか?「desperate measure」は、追い詰められた状況で思いついた捨てばちな手段となりますね。

\次のページで「「窮余の一策」を使いこなそう」を解説!/

「窮余の一策」を使いこなそう

この記事では、「窮余の一策」の意味や使い方について見てきました。「窮余の一策」は、追いつめられた中で苦しまぎれに取った計画の意味でした。長い人生、誰もが窮地に陥ることは何度か経験するものです。だからと言って、今後、訪れるであろうピンチに対して過度に心配する必要もないと思います。それは未来の自分が対応することであり、現在の自分にとってできることは現在を精一杯に頑張ることしかないからです。

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【慣用句】「窮余の一策」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「窮余の一策」について解説する。

端的に言えば窮余の一策の意味は「追いつめられた際にとっさに浮かんだ計画のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「窮余の一策」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「窮余の一策」の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「窮余の一策」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「窮余の一策」(きゅうよのいっさく)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「窮余の一策」の意味は?

まずは、「窮余の一策」の国語辞典の意味を見ていきましょう。併せて「窮余」(きゅうよ)の意味もご紹介しましょう。

【窮余の一策】
1. 苦しまぎれに思いついた、一つの手段。
出典:日本国語大辞典(精選版)「窮余の一策」

【窮余】
1.追い詰められて、困ったあげく。苦しまぎれ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「窮余」

「窮余の一策」(きゅうよのいっさく)の「窮余」(きゅうよ)とは、「追い詰められた苦しまぎれの状況」のことで、「一策」(いっさく)とは、「ひとつのはかりごと、策略、考え、手段」のことです。「窮余の一策」は、辞書で説明されているとおり、「追い詰められた状況の中で思いついてとった手段」のことになります。

「窮余の一策」の語源は?

次に「窮余の一策」の語源を確認しておきましょう。「窮余の一策」がいつから使われるようになったのかははっきりしませんが、「窮する」(きゅうする)の「窮」の字は古くからあり、日本の書物でも15世紀には既に使われています。追いつめられて、困った状況の中で、その場で思いついた手段を取るのは人間の本能のひとつかもしれないですね。

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