みんな中学や高校の生物の遺伝の範囲で学ぶ「独立の法則」について知っているか?この法則は、メンデルが発見した遺伝法則の1つで、他にも「優性の法則」と「分離の法則」も明らかにしたぞ。これら3つの法則の違いはわかるでしょうか。また、独立の法則が成り立たないこともあるのですが、それはどういった状況の時でしょうか。今回は独立の法則を中心に、生物に詳しいライターききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

大学生の頃は農学部に所属し植物のことを勉強した。現在は大学院に進学し植物のことを研究中。生物や植物の面白さを伝えられるライターを目指している。

独立の法則って何?

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独立の法則は、複数の対立遺伝子は、それぞれ他の対立遺伝子と関係なく独立して行動することです。これだけでは少し難しいので、本題に入る前に、独立の法則をはじめとしたメンデルの法則を学ぶ上で重要なキーワードについて学習していきましょう。

形質とは?

形質とは、生物が持っている性質や体の特徴などのことで、親から子へと遺伝します。

メンデルが行なったエンドウの実験での形質には、エンドウの種子の形で「丸い種子」と「しわの種子」、エンドウの背丈で「高いエンドウ」と「低いエンドウ」などがありますね。これらの形質は生物体にどちらか一方しか現れません。このような形質のことを「対立形質」というのです。そして、それらを支配する遺伝子のことを「対立遺伝子」と呼びます。

また、ほとんどの場合、対立形質のどちらか一方の形質が他方の形質よりも子供に現れやすいのです。現れやすい形質を「優性形質」と呼び、現れにくい形質を「劣性形質」と呼びます。

遺伝子と染色体について

遺伝子と染色体について

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ある生物を構成する全ての遺伝子は、それぞれDNAの特定の位置に存在します。そして、DNAが折り畳まれると染色体を構成することになりますね。そのため、遺伝子は染色体上の特定の位置に存在することにもなると言えます。

上記の図のように、父由来の染色体と母由来の染色体が1本ずつあるセットのこと「相同染色体」と呼ぶのです。そして、遺伝子Aと遺伝子aのように、相同染色体上の特定の場所で異なる遺伝子が対になっている状態「ヘテロ接合」、遺伝子Bと遺伝子Bのように、相同染色体上の特定の場所で同じ遺伝子が対になっている状態「ホモ接合」と言います。

メンデルの法則とは?

オーストリア出身の修道士であるメンデルは、およそ8年間かけて7組の形質 (種子の形や色、背丈など) に着目したエンドウの交雑実験を行い、遺伝の規則性を明らかにしました。この実験から、メンデルは「優性の法則」、「分離の法則」、そして今回の本題である「独立の法則」を発見しました。この3つの法則はどういった意味を持つのでしょうか。

ここでは、優性形質を「色 (RR) の花」「大きい (LL) 花」、劣性形質を「白色 (rr) の花」「小さい (ll) 花」として解説していきますね。

1. 優性の法則:F1に優勢な形質が現れる

1.  優性の法則:F1に優勢な形質が現れる

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「優性の法則」とは、優性な形質を持つ親と劣性な形質を持つ親を交雑すると、その間に生まれた雑種第一世代 (F1)である子供には、優性な形質が現れる法則のことです。

上記の図のように、花の色に着目した場合、優性形質である赤色の花と劣性形質である白色の花を交雑すると、その子供の遺伝子型はRrになり、赤色の花になります。このように、子供に優性形質が現れることを優性の法則と言うのです。

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2. 分離の法則:2種類の配偶子ができる

2.  分離の法則:2種類の配偶子ができる

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「分離の法則」とは、F1が配偶子を形成する時に、対になっている遺伝子が分離して、2種類の配偶子ができることです。この2種類の配偶子を持つF1同士を交雑すると、配偶子の組み合わせにより、雑種第二世代 (F2)は、3種類の遺伝子型、2種類の表現型になります。

上記の図のように花の色に注目すると、F1の遺伝型はRrで、配偶子はRとrになりますね。この配偶子を使って交雑して生まれたF2では、3種類の遺伝子型RR、Rr、rrができ、その比率は1:2:1になります。また表現型に着目すると、赤色の遺伝子型はRRとRr、白色の遺伝子型はrrであることから、赤色と白色の比率が3:1になるのです。

このように、分離の法則は配偶子が形成される時に、対立する遺伝子がそれぞれ別の配偶子に入ることを言います。

3. 独立の法則:複数の対立遺伝子が独立で行動する

3.  独立の法則:複数の対立遺伝子が独立で行動する

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「独立の法則」では、2組以上の対立遺伝子に着目する必要があります。ここでは花の色と、その大きさに着目しますね。

上記の図のように、F1が配偶子を形成する時、2組の対立遺伝子はそれぞれ、互いに影響を与えることなく独立で行動し、自由に組み合わさり、4種類の配偶子ができるのです。そして、この配偶子の遺伝子型はRL、Rl、rL、rlであり、その比率は1:1:1:1になりますね。このようなことを「独立の法則」と言います。

このF1同士をさらに交雑してF2を作る場合、4種類の配偶子の組み合わせは16種類あることになりますね。遺伝子型は上記の図のように9種類でき、表現型は4種類になります。そして赤/大 : 赤/小 : 白/大 : 白/小の比率は9:3:3:1になるのです。

独立の法則が成り立たない?

独立の法則とは、着目した複数の対立形質は、それぞれ、他の対立形質の影響を受けることなく、独立に遺伝するという意味でしたね。しかし、この独立の法則は他の2つのメンデルの法則と比べて、例外的に成立しないことが多いです。その原因について詳しく解説していきますね。

連鎖について

連鎖について

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実は、独立の法則が成り立つのは、上記の図のA (a)とB (b)のように着目した2組以上の対立遺伝子が、それぞれ異なる相同染色体に含まれる時だけなのです。メンデルが行なった実験で着目した7組の対立形質は、たまたま全て異なる相同染色体上に含まれていたということになりますね。

それでは、独立の法則が成立しないのは、どういった場合なのでしょうか。上記の図のA (a)とC (c)のように、注目した2組以上の対立遺伝子が同じ相同染色体上に含まれていると、独立の法則が成り立ちません。このA (a)とC (c)のような2組以上の対立遺伝子の状態を「連鎖」と言います。

連鎖と乗換え

連鎖と乗換え

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それでは、連鎖について詳しく解説していきます。ここで、独立の法則によって成立する配偶子の遺伝子型が1:1:1:1になることを思い出してください。連鎖してしまうと、この配偶子の遺伝子型の比率は変わってくるのです。

上記の図のように、配偶子を形成する時に、相同染色体は複製され二価染色体になります。この時、そのまま配偶子に分裂することもありますが、まれに図のように一部の染色体が交換される現象が起こることもあるのです。この現象を「乗換え」と言います。その結果、配偶子の遺伝子型は連鎖していない場合と同じですが、その比率が異なってくるのです。連鎖していない、つまり独立の法則が成立する時の配偶子の遺伝子型は1:1:1:1でしたね。しかし、今回のような連鎖すると、配偶子の遺伝子型の比率は3:1:1:3になるのです。

このように、独立の法則が成立しないのは、着目した複数の対立遺伝子が連鎖している時で、その場合、乗換えが起こりうることを覚えておきましょう。

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独立の法則はメンデルが発見した遺伝法則の1つ

独立の法則とは、注目した2組以上の対立形質が、それぞれ、他の対立形質と関係なく、独立して遺伝すると言う法則でした。また、独立の法則は必ず成立するとは限りませんでしたね。この法則が成立するのは、注目した複数の対立遺伝子が異なる相同染色体上に存在する時だけです。そして、この法則が成立しないのは、複数の対立遺伝子が連鎖の関係にある時でした。

遺伝の範囲は少し複雑ですが、用語をしっかり理解すれば、かなり面白い分野だと思えますよ。

イラスト引用元:いらすとや

" /> 独立の法則とは?成立しない?優性・分離の法則との違いも現役理系学生がわかりやすく解説 – Study-Z
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独立の法則とは?成立しない?優性・分離の法則との違いも現役理系学生がわかりやすく解説

みんな中学や高校の生物の遺伝の範囲で学ぶ「独立の法則」について知っているか?この法則は、メンデルが発見した遺伝法則の1つで、他にも「優性の法則」と「分離の法則」も明らかにしたぞ。これら3つの法則の違いはわかるでしょうか。また、独立の法則が成り立たないこともあるのですが、それはどういった状況の時でしょうか。今回は独立の法則を中心に、生物に詳しいライターききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

大学生の頃は農学部に所属し植物のことを勉強した。現在は大学院に進学し植物のことを研究中。生物や植物の面白さを伝えられるライターを目指している。

独立の法則って何?

image by iStockphoto

独立の法則は、複数の対立遺伝子は、それぞれ他の対立遺伝子と関係なく独立して行動することです。これだけでは少し難しいので、本題に入る前に、独立の法則をはじめとしたメンデルの法則を学ぶ上で重要なキーワードについて学習していきましょう。

形質とは?

形質とは、生物が持っている性質や体の特徴などのことで、親から子へと遺伝します。

メンデルが行なったエンドウの実験での形質には、エンドウの種子の形で「丸い種子」と「しわの種子」、エンドウの背丈で「高いエンドウ」と「低いエンドウ」などがありますね。これらの形質は生物体にどちらか一方しか現れません。このような形質のことを「対立形質」というのです。そして、それらを支配する遺伝子のことを「対立遺伝子」と呼びます。

また、ほとんどの場合、対立形質のどちらか一方の形質が他方の形質よりも子供に現れやすいのです。現れやすい形質を「優性形質」と呼び、現れにくい形質を「劣性形質」と呼びます。

遺伝子と染色体について

遺伝子と染色体について

image by Study-Z編集部

ある生物を構成する全ての遺伝子は、それぞれDNAの特定の位置に存在します。そして、DNAが折り畳まれると染色体を構成することになりますね。そのため、遺伝子は染色体上の特定の位置に存在することにもなると言えます。

上記の図のように、父由来の染色体と母由来の染色体が1本ずつあるセットのこと「相同染色体」と呼ぶのです。そして、遺伝子Aと遺伝子aのように、相同染色体上の特定の場所で異なる遺伝子が対になっている状態「ヘテロ接合」、遺伝子Bと遺伝子Bのように、相同染色体上の特定の場所で同じ遺伝子が対になっている状態「ホモ接合」と言います。

メンデルの法則とは?

オーストリア出身の修道士であるメンデルは、およそ8年間かけて7組の形質 (種子の形や色、背丈など) に着目したエンドウの交雑実験を行い、遺伝の規則性を明らかにしました。この実験から、メンデルは「優性の法則」、「分離の法則」、そして今回の本題である「独立の法則」を発見しました。この3つの法則はどういった意味を持つのでしょうか。

ここでは、優性形質を「色 (RR) の花」「大きい (LL) 花」、劣性形質を「白色 (rr) の花」「小さい (ll) 花」として解説していきますね。

1. 優性の法則:F1に優勢な形質が現れる

1.  優性の法則:F1に優勢な形質が現れる

image by Study-Z編集部

「優性の法則」とは、優性な形質を持つ親と劣性な形質を持つ親を交雑すると、その間に生まれた雑種第一世代 (F1)である子供には、優性な形質が現れる法則のことです。

上記の図のように、花の色に着目した場合、優性形質である赤色の花と劣性形質である白色の花を交雑すると、その子供の遺伝子型はRrになり、赤色の花になります。このように、子供に優性形質が現れることを優性の法則と言うのです。

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