
純系の活用
植物が自然に交配していても、なかなか純系が生まれることはありません。純系を得るにはやはり人の手が必要になりますね。なぜ、人はわざわざ植物などで純系を作るのでしょうか。
1つ目の理由はメンデルが行なったように「遺伝実験を行うため」です。遺伝実験では特定の形質を確実に遺伝させるために純系が必要になるのでしたね。2つ目の理由として、「新しい品種の育成をするため」があります。ここでは、純系を使った品種育成について学習していきましょう。
分離育種法とは?
交雑や突然変異で現れた形質を持った新品種は、そのまま別の個体と交配すると、その特性が失われる可能性があります。品種の特性を維持するために、「分離育種法」が必要になるのです。分離育種法の中に「純系選抜法」があります。
この純系選抜法とは、様々な形質を持つ雑種集団から純系を選抜する方法です。日本ではイネなどで利用されることが多いですよ。例えば、病気に強い個体や多くのもみを実る穂を持つ個体など、人間にとって優良な形質を持った個体は自家受粉を繰り返すことで、優良な形質を維持させます。
その他の育種法

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最近では、他の生物の遺伝子を利用して新たな形質を加える「遺伝子組換え利用育種」や、ある作物の特定の遺伝子の特定の部分だけ変えて、形質を変える「ゲノム編集技術利用育種」などがあります。
交雑では、偶然現れたある1つの形質を利用して育種するしかできませんでしたが、これらの技術によって複数の形質を変えることができるようになったのです。さらに、「偶然」を待つ必要がなく、人為的にニーズに合う品種を育種することが可能になりました。
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遺伝子組換えやゲノム編集技術を使った育種では、自然交雑や突然変異を利用した育種よりも良い点があるが、食品衛生法やゲノム編集生物やゲノム編集食品の取り扱い方針が定められているため、注意が必要だ。
純系は形質が何世代に渡って現れること!
純系とは、親、子、孫に渡ってある形質が代々同一であることを意味するのでした。純系はメンデルの実験のように遺伝実験で利用されることや品種育成のために利用されることがあります。
純系は遺伝の分野で重要なワードになるのでしっかりと理解しておきましょう。
イラスト引用元:いらすとや