運動量の条件は外力がはたらかないこと
image by Study-Z編集部
まず運動量保存の法則が成り立つのに必要な条件について見ていきましょう。
運動量保存則がはたらく条件は、「物体系に外力がはたらかないこと」です。
ある物体の運動について考えるとき、その物体の運動に影響を与えているものたちを「物体系」として定めます。これは人間が勝手に定めるものであって、物体には何も関係ないことです。
人間が物体同士の運動を考えるとき、物体系を定め、その物体系の中で力の及ぼし合いが完結していれば、その力や運動がどのような向きや大きさであっても「運動量保存則」が成立します。
しかし、その物体系に対して、外からの力=外力がはたらけば、運動量は保存しなくなってしまうのです。
こちらの記事もおすすめ
「運動量保存の法則」はこの世の掟か?理系ライターがわかりやすく解説
運動エネルギーは非保存力がはたらかない限り保存する
image by Study-Z編集部
運動エネルギーは、物体系の外から力がはたらいた場合も、運動エネルギー保存の法則が成り立ちます。運動エネルギーを拡張して考えて、力学的エネルギー保存の法則として考えることもできるでしょう。
2個の物体の物体がぶつかって、運動をやめた場合でも運動エネルギーは消えないという話をしましたね。このとき持っていた運動エネルギーの合計mv^2は、ぶつかったときの音や熱に変化していったと考えられます。ただ、音や熱は非保存力なので、再び物体が音からエネルギーを受け取って動き出すなんてことは起きません。
こちらの記事もおすすめ
簡単にわかる力学的エネルギー保存の法則!力学専攻学生が例題を通してわかりやすく解説
運動量と運動エネルギーで、保存則の成り立つ条件の違いについてまとめましょう。
・運動量は、外力がはたらかない限り保存する
・運動エネルギーは、外力を含めて保存則がはたらく
運動量と運動エネルギーの数学的関係
image by iStockphoto
最後に、少し応用ですが数学の観点から考えてみましょう。物理としても応用ですが、数学的にも大学で習う内容が入っています。が、これが分かると運動量と運動エネルギーについてグッと理解しやすくなるはずです。
運動量をvで積分すると運動エネルギーになる
運動量mvをvで積分すると運動エネルギー1/2mv^2になります。このことからも、運動量と運動エネルギーは完全に無関係とは言えないことが、なんとなく分かるのではないでしょうか。
この運動量と運動エネルギーの積分の関係は、バネの力kxとバネの持つエネルギー1/2kx^2の関係と同じです。
その瞬間の勢いである運動量と、運動全体で溜めたエネルギーというイメージを持てば分かりやすいかもしれません。
\次のページで「運動量と運動エネルギーの違い」を解説!/