
「扇状地」の多くは果実園
前述しましたが、「扇状地」と「三角州」のどちらも、土砂の堆積により平らな土地となりました。そのため、両方とも人が生活しやすい場所となっています。しかし、この2つは“土地の使われ方”が違うのです。
「扇状地」の使われ方と言えばやはり”果実園”でしょう。その理由は、「扇状地」は傾斜地なので日あたりが良く、岩や小石の多い地面は水はけに優れているため、果樹の育成に大変適しているからです。
日本で有名な「扇状地」の多くは、果物の生産地として知られています。特に甲府盆地は扇状地が多く、”果物王国”としても有名ですね。
【果物の生産で知られる盆地と平野】
≪盆地≫
■福島盆地…モモ、リンゴ、ナシ
■甲府盆地・長野盆地…ブドウ、モモ
■山形盆地…サクランボ(桜桃)
※特に盆地は「扇状地」が多く見られます。
≪平野≫
■道後平野(=松山平野※愛媛県松山市周辺)…ミカン
【田園地帯の扇状地】
■胆沢扇状地…岩手県にある「胆沢扇状地(いさわせんじょうち)」は日本最大級の扇状地として知られています。ここは水が豊かで砂礫層が浅いため、他の扇状地とは違い果実園ではなく田園地帯になりました。
「三角州」は水田や都市化
一方、「三角州」は”水田”に使われることが多い土地です。その理由とは、「三角州」には粘土質や細かい粒の砂が堆積しているため、雨(水分)が地中に吸収されにくいから。つまり、平坦で水の貯まりやすい「三角州」は、“水田”に適した土地となるわけです。
とは言え、「三角州」は平たんな土地のため、都市部では”住宅地”となり、地方では”水田”が多く見られます。
【三角州にできた都市】
≪三大都市≫
■東京…江戸川
■大阪…淀川
■名古屋…庄内川
■広島…太田川
※「三角州」の上に広島市街地を形成。日本でもっとも有名な「三角州」(広島平野)。
他にも、滋賀県の琵琶湖には安積川、姉川、石田川、百瀬川、野洲川が流れ込み、「三角州」を形成している。
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