浸透とは?浸透圧の問題と日常の具体例を理系ライターが詳しくわかりやすく解説!
1.はじめ、梅エキスの濃度は梅内部の方が濃いので、水分やアルコールが浸透圧の働きで梅内部に移動する
2.時間が経つと、氷砂糖が少しずつ溶けだし、梅の実内部よりも外部の方が糖の濃度が高くなる
3.梅の実内部と外部で糖の濃度に差ができるため、浸透圧の働きで梅内部から水分とアルコールが出てくる
4.水分とアルコールに梅エキスが溶けているので、梅の風味が溶けだしてきて、美味しい梅酒ができる
梅酒や果実酒を作るときは氷砂糖を使います。その理由は、氷砂糖の方が、ゆっくりと水に溶けるため。グラニュー糖や上白糖などのすぐに水に溶ける糖を使ってしまうと、梅内部から急激に水分が出てきてしまうので、梅の風味は出てきません。
その3.ナメクジに塩
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ナメクジに塩をかけると、どうなるか知っていますか?どんどんナメクジは小さくなっていき、死んでしまいます。この現象にも浸透圧が大きく関わっているんです。
ナメクジは約90%が水分で構成されています。ナメクジは人間のような皮膚がなく、身体の表面は半透膜で覆われているんです。
半透膜は皮膚よりも水を通しやすいので、ナメクジの身体は実はとても乾燥しやすいんですね。そのため、ナメクジは身体の表面から粘液を出して身体が乾かないようにしています。さらに、ジメジメした場所を好むのも身体を乾燥させないようにするための工夫なんです。
さて、ナメクジに塩をかけると、塩が粘液に溶けて濃い食塩水ができます。すると、ナメクジ体内の水分が半透膜を通って外へ出ていってしまうんです。
その結果、ナメクジの体は小さくなっていってしまい、そのまま死んでしまいます。
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濃度差を利用して、水の出入りを自在に操る「浸透圧」を解説
今回は「浸透」をテーマに、高校化学で学ぶ「浸透圧」を詳しく紹介しました。
浸透圧は問題としては、式に数値を当てはめて計算する問題が多いため、あまり記憶に残らない現象かもしれません。しかし、私たちの生活の中に溶け込んで、多用されている現象なんです。
特に梅酒を作るときは、細胞膜内部と外部の濃度差で浸透圧を操っています。今回紹介した事例以外にも私たちの生活にはまだまだ浸透圧が使われているので、ぜひ探してみてください。