
レイリー散乱とミー散乱
光を散乱させる障害物のサイズが変わると、散乱現象も変化していきます。その中でも、光の波長に比べて非常に小さい粒子の時に起こる散乱が「レイリー散乱」です。
レイリー散乱とは、光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱のことを指します。液体や固体の中でも起きますが、気体中の散乱が最もメジャーです。レイリー散乱は、イギリスの物理学者レイリーによって発見されました。波長が短い光は、粒子にぶつかりやすいため、散乱が強く起きると考えられています。
ミー散乱とは、光の波長と同程度の大きさの粒子による光の散乱です。ミー散乱では波長に依存せず、全ての波長の光が同様に散乱するため、特定の色が目に届くのではなく、全体に白く見えます。天使の梯子と呼ばれる現象もミー散乱によるものです。
空気中の微粒子のサイズは小さく、0.0.5μmほどなので、波長の短い青い光は空気中で何度も散乱し、結果的に私たちの目に青い空色として入ってきます。
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夕焼けが赤く見える理由もレイリー散乱

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夕方、太陽が沈んでいき、地平線近くから地面を照らすときには太陽から観測者の目までの、空気を通過する距離が長くなっています。
波長の短い青色の光は、日中よりも更に散乱され、地表にいる観察者の眼に入るときには、残りわずかの状態になってしまい、ほとんど感じられません。
散乱されにくい波長の長い光成分である赤色の光ではどうでしょうか。波長が長く散乱されにくい赤い光でも、長い距離を通過するにつれて、ある程度の量が散乱されますが、昼間の青色の光のように空全体に広がるまでには至りません。
よって、太陽方向の空に散乱された長波長光成分のみが目に届くことになり、空が赤〜オレンジ色に染まって見えることになります。これが夕焼けの仕組みです。
海が青いのは光の”吸収”
では次に海が青く見える原因について深掘りしていきましょう。海が青く見えるのも光の性質によるものですが、その「吸収」とは一体どんな現象なのでしょうか?
光の吸収が起こる原理とは?

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光はエネルギーを持っているので、物は光から、光のもつエネルギーを受け取って自分の力にすることができます。
例えば、電気を消してもぼんやり光るキーホルダーやシールがありますよね。吸収していた光を放出しているのだと考えれば分かりやすいでしょうか。
光の吸収が起きるとき、物は、もともと持っていたエネルギーより多くのエネルギーを持つようになります。これは「光からエネルギーを受け取って高いエネルギー状態になった」のです。
物は、高いエネルギーをずっと保持しているのは難しいので、いずれ元の状態に戻ります。このとき物からエネルギーが放出されるのですが、この物体から放出されたエネルギーが、私たちの目に届く「物の色」となるわけです。
この光の吸収に関する詳しい説明は、大学で習う勉強が基礎となっています。気になる方は「基底状態」「励起(れいき)状態」「光の吸収」などの情報を調べてみると良いでしょう。面白いですよ。
光の吸収と海の色の関係
海の中にたくさんいる水分子も、光からエネルギーを受け取り、水分子自身の振動を変えます。
水分子の振動を変えるのに必要なエネルギーは600〜700nm付近なので、光の波長のうち600〜700nmくらいのものが吸収されてしまうのです。つまり緑色〜青色〜紫色 である400nm付近の波長が残ることになります。これにより、海が青色に見えるようになるのです。
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