よう、桜田です。空が青く見える理由と海が青く見える理由を知ってるか?まさか海の色を映してるからなんて答えるんじゃないでしょうな。じゃあなんで東京の空も青いんだ、おかしいだろ。
空と海が青く見える理由は光の性質そのものが関係してるんです。これについてはどこかの小さな名探偵も言ってたな。でも今日は、化学と物理に詳しいライターの小春と解説していきます。

ライター/小春(KOHARU)

見た目はただの主婦だが、その正体は大阪大学大学院で化学を専攻していたバリバリの理系女子。大学院卒業後はB to Bメーカーで開発を担当し、起きている現象に「なぜ?』といろいろな疑問を持つ大切さを実感した。

そもそも空と海が青いのはなぜ?その理由は同じ?違う?

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まず、そもそもなぜ物が青く見えるのか、考えてみましょう。その物自体が、青い光を出しているわけではないですよね。物が青く見える理由が分かれば、空や海が青く見えている理由も分かりやすくなりますよ。

物が「青色」に見える原理とは?

物が「青色」に見える理由。それは、「物から私たちの目に届く光が青色だから」です。

ただし、物自体が発光しているとは限りません。物が「青色以外の光を吸収してしまっている」と考えれば分かりやすいでしょうか。私たちの目には、青色の光しか届かない=青色だと認識する、ということですね。

空と海が青いのはどちらも光の性質が原因

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空と海が青いのは、それぞれ光の性質そのものが関係しています。空が青いのは、光の散乱によるもの。そして、海が青いのは光の吸収によるものなのです。

つまり、空と海が青く見えている理由は、光の性質という意味では同じですが、それらは全く別の原因だということが分かるでしょうか。

ここからは、それぞれの性質について詳しく解説していきましょう。

光の性質1:散乱

光の性質に「散乱」と呼ばれるものがあります。光の散乱とは、光の進行方向に障害物があるために光の進行方向が不規則に変化する現象のことです。

光の性質2:吸収

光の性質のはもう一つ「吸収」と呼ばれるものがあります。光が物体に当たったとき、「反射」「透過」と同時に「吸収」が起きているということです。これら反射・透過・吸収と、入射光の間には、エネルギー保存則が成り立っています。

空が青いのは光の”散乱”

ではまず、空が青い理由について深掘りしていきましょう。空が青い理由が分かれば、夕焼けが赤く見える理由も分かってくるかもしれませんよ。

光の波長とは?

光の波長とは?

image by Study-Z編集部

高校や大学で習う通り、光は粒子であり波でもあるのですが、光の吸収について考えるときは、波として扱って考えた方が分かりやすいですので、今回は波としての性質で統一します。

1つの波の「山から山までの長さ」が「波長」です。光の色の違いは、この波長の長さの違いに起因します。

人間の目で感じることができるのは一般的に380〜780nmの波長の光です。青〜紫色が400nmあたり、赤色が700nmあたりで、紫よりも短い波長を紫外線、赤色よりも長い波長を赤外線と呼んでいます。どちらも聞いたことある名前ですよね。図に太陽光のスペクトルを描いてみましたのでご覧ください。

光の散乱が起こる原理

大気中にはチリなどの小さな微粒子が散乱していますよね。太陽から届く光はその微粒子によって散乱されますが、光には、波長の短い光ほどより強く散乱されるという性質があります。波長の短い=青色に近い光ほど向きが変えられるというわけです。

太陽から届く光のうち、波長のより短い青色の光がより多く散乱されるので、私たち観測者の目には青色の光が届きやすい。これが、空が青く見える理由になります。

\次のページで「レイリー散乱とミー散乱」を解説!/

レイリー散乱とミー散乱

光を散乱させる障害物のサイズが変わると、散乱現象も変化していきます。その中でも、光の波長に比べて非常に小さい粒子の時に起こる散乱が「レイリー散乱」です。

レイリー散乱とは、光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱のことを指します。液体や固体の中でも起きますが、気体中の散乱が最もメジャーです。レイリー散乱は、イギリスの物理学者レイリーによって発見されました。波長が短い光は、粒子にぶつかりやすいため、散乱が強く起きると考えられています。

ミー散乱とは、光の波長と同程度の大きさの粒子による光の散乱です。ミー散乱では波長に依存せず、全ての波長の光が同様に散乱するため、特定の色が目に届くのではなく、全体に白く見えます。天使の梯子と呼ばれる現象もミー散乱によるものです。

空気中の微粒子のサイズは小さく、0.0.5μmほどなので、波長の短い青い光は空気中で何度も散乱し、結果的に私たちの目に青い空色として入ってきます。

夕焼けが赤く見える理由もレイリー散乱

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夕方、太陽が沈んでいき、地平線近くから地面を照らすときには太陽から観測者の目までの、空気を通過する距離が長くなっています。

波長の短い青色の光は、日中よりも更に散乱され、地表にいる観察者の眼に入るときには、残りわずかの状態になってしまい、ほとんど感じられません。

散乱されにくい波長の長い光成分である赤色の光ではどうでしょうか。波長が長く散乱されにくい赤い光でも、長い距離を通過するにつれて、ある程度の量が散乱されますが、昼間の青色の光のように空全体に広がるまでには至りません。

よって、太陽方向の空に散乱された長波長光成分のみが目に届くことになり、空が赤〜オレンジ色に染まって見えることになります。これが夕焼けの仕組みです。

海が青いのは光の”吸収”

では次に海が青く見える原因について深掘りしていきましょう。海が青く見えるのも光の性質によるものですが、その「吸収」とは一体どんな現象なのでしょうか?

光の吸収が起こる原理とは?

光の吸収が起こる原理とは?

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光はエネルギーを持っているので、物は光から、光のもつエネルギーを受け取って自分の力にすることができます。

例えば、電気を消してもぼんやり光るキーホルダーやシールがありますよね。吸収していた光を放出しているのだと考えれば分かりやすいでしょうか。

光の吸収が起きるとき、物は、もともと持っていたエネルギーより多くのエネルギーを持つようになります。これは「光からエネルギーを受け取って高いエネルギー状態になった」のです。

物は、高いエネルギーをずっと保持しているのは難しいので、いずれ元の状態に戻ります。このとき物からエネルギーが放出されるのですが、この物体から放出されたエネルギーが、私たちの目に届く「物の色」となるわけです。

この光の吸収に関する詳しい説明は、大学で習う勉強が基礎となっています。気になる方は「基底状態」「励起(れいき)状態」「光の吸収」などの情報を調べてみると良いでしょう。面白いですよ。

光の吸収と海の色の関係

海の中にたくさんいる水分子も、光からエネルギーを受け取り、水分子自身の振動を変えます。

水分子の振動を変えるのに必要なエネルギーは600〜700nm付近なので、光の波長のうち600〜700nmくらいのものが吸収されてしまうのです。つまり緑色〜青色〜紫色 である400nm付近の波長が残ることになります。これにより、海が青色に見えるようになるのです。

\次のページで「空と海が青い理由は別々の光の性質によるものだった」を解説!/

空と海が青い理由は別々の光の性質によるものだった

空の色と海の色が青い理由について、それぞれ理解できたでしょうか?光の散乱と、光の吸収が原因でしたね。
光の性質については難しいので、一部大学で扱うような難しい話もありましたが、1つ1つ勉強するれば分かるはずなので、興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。

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物理理科

子どもでもわかる空が青い理由!光の散乱が関係?海が青い理由と同じ?阪大院卒ライターがわかりやすく解説!

よう、桜田です。空が青く見える理由と海が青く見える理由を知ってるか?まさか海の色を映してるからなんて答えるんじゃないでしょうな。じゃあなんで東京の空も青いんだ、おかしいだろ。
空と海が青く見える理由は光の性質そのものが関係してるんです。これについてはどこかの小さな名探偵も言ってたな。でも今日は、化学と物理に詳しいライターの小春と解説していきます。

ライター/小春(KOHARU)

見た目はただの主婦だが、その正体は大阪大学大学院で化学を専攻していたバリバリの理系女子。大学院卒業後はB to Bメーカーで開発を担当し、起きている現象に「なぜ?』といろいろな疑問を持つ大切さを実感した。

そもそも空と海が青いのはなぜ?その理由は同じ?違う?

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まず、そもそもなぜ物が青く見えるのか、考えてみましょう。その物自体が、青い光を出しているわけではないですよね。物が青く見える理由が分かれば、空や海が青く見えている理由も分かりやすくなりますよ。

物が「青色」に見える原理とは?

物が「青色」に見える理由。それは、「物から私たちの目に届く光が青色だから」です。

ただし、物自体が発光しているとは限りません。物が「青色以外の光を吸収してしまっている」と考えれば分かりやすいでしょうか。私たちの目には、青色の光しか届かない=青色だと認識する、ということですね。

空と海が青いのはどちらも光の性質が原因

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空と海が青いのは、それぞれ光の性質そのものが関係しています。空が青いのは、光の散乱によるもの。そして、海が青いのは光の吸収によるものなのです。

つまり、空と海が青く見えている理由は、光の性質という意味では同じですが、それらは全く別の原因だということが分かるでしょうか。

ここからは、それぞれの性質について詳しく解説していきましょう。

光の性質1:散乱

光の性質に「散乱」と呼ばれるものがあります。光の散乱とは、光の進行方向に障害物があるために光の進行方向が不規則に変化する現象のことです。

光の性質2:吸収

光の性質のはもう一つ「吸収」と呼ばれるものがあります。光が物体に当たったとき、「反射」「透過」と同時に「吸収」が起きているということです。これら反射・透過・吸収と、入射光の間には、エネルギー保存則が成り立っています。

空が青いのは光の”散乱”

ではまず、空が青い理由について深掘りしていきましょう。空が青い理由が分かれば、夕焼けが赤く見える理由も分かってくるかもしれませんよ。

光の波長とは?

光の波長とは?

image by Study-Z編集部

高校や大学で習う通り、光は粒子であり波でもあるのですが、光の吸収について考えるときは、波として扱って考えた方が分かりやすいですので、今回は波としての性質で統一します。

1つの波の「山から山までの長さ」が「波長」です。光の色の違いは、この波長の長さの違いに起因します。

人間の目で感じることができるのは一般的に380〜780nmの波長の光です。青〜紫色が400nmあたり、赤色が700nmあたりで、紫よりも短い波長を紫外線、赤色よりも長い波長を赤外線と呼んでいます。どちらも聞いたことある名前ですよね。図に太陽光のスペクトルを描いてみましたのでご覧ください。

光の散乱が起こる原理

大気中にはチリなどの小さな微粒子が散乱していますよね。太陽から届く光はその微粒子によって散乱されますが、光には、波長の短い光ほどより強く散乱されるという性質があります。波長の短い=青色に近い光ほど向きが変えられるというわけです。

太陽から届く光のうち、波長のより短い青色の光がより多く散乱されるので、私たち観測者の目には青色の光が届きやすい。これが、空が青く見える理由になります。

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