今回のテーマは「フェーリング反応」と「アルデヒドの検出」です。フェーリング反応は、アルデヒド基の検出方法に用いられる。1度は名前くらいは聞いたことあるでしょう。まずは「フェーリング反応」とはどのような反応か解説していきます。
さらに、アルデヒド基の検出にはもう1つ重要な反応がある。それが「銀鏡反応」です。どちらの反応も受験では頻出で、確実に覚えておいてほしい。

今回はアルデヒド基の検出に使われる、「フェーリング反応」と「銀鏡反応」が、どのような反応か化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

フェーリング反応とは

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フェーリング反応とは、フェーリング液の還元反応のことをいいます。アルデヒド基を検出する化学反応のひとつで、テストでもよく出題される重要な反応です。

フェーリング反応がどのような反応か解説する前に、まずはアルデヒド基とは「どのような置換基」で「どのような特徴があるのか」チェックしていきましょう。

アルデヒド基とはどのような置換基なのか

Aldehyde
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アルデヒド基はカルボニル基の仲間に分類される置換基です。大学受験では、置換基の問題も出題されるので、有名な置換基はまとめてチェックしておきましょう。

カルボニル基は炭素と酸素が二重結合でつながった構造を基本骨格としています。そして、カルボニル基の炭素に結合している原子が水素に置き換わった置換基がアルデヒド基です。そのため、アルデヒド基はカルボニル基の仲間に分類されているんですね。

アルデヒド基の他に、ケトン基カルボキシ基もカルボニル基の仲間に分類されています。

アルデヒド基の特徴を解説

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ここからは、アルデヒド基の特徴を解説していきます。まず、アルデヒド基は極性があるため、水によく溶けるのが特徴です。さらに、炭化水素基を持つため、有機溶媒にも溶けます。そして、還元性を持つことも重要です。還元性を持つということは自分が酸化されやすいため、相手を還元しやすいということですね。

アルデヒド基を持つ有名な化合物は「ホルムアルデヒド」や「アセトアルデヒド」です。ホルムアルデヒドが35~38%の水溶液はホルマリンと呼ばれています。

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フェーリング反応はアルデヒド基を検知する

先ほど紹介したフェーリング反応は、アルデヒドの還元性を利用した反応です。アルデヒド基の持つ還元性を利用してフェーリング液を還元することで反応が進んでいきます。

フェーリング反応を解説

フェーリング反応を解説

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ここからはフェーリング反応がどのように進行していくか、解説していきます。

まず、フェーリング液とは、2価の銅の錯イオンを含む深青色の塩基性溶液です。フェーリング液にアルデヒド基を含む化合物を加えて穏やかに加熱すると、銅イオン(Cu2+)が還元されて、酸化銅(Cu2O)の赤色沈澱ができます。これがフェーリング反応です。

フェーリング反応も酸化還元反応のひとつで、アルデヒド基は酸化されてカルボン酸に変化します。銅の酸化数は、反応前が+2で反応後が+1に変わっており、還元されていると分かりますね。

アルデヒド基を検出するもう一つの反応「銀鏡反応」とは

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アルデヒドの検出方法にもう一つ、必ず覚えておいてほしい反応があります。それが「銀鏡反応」です。銀鏡反応は見た目がガラッと変わる反応なので、インパクトが大きく覚えやすいかもしれません。

アンモニア性硝酸銀水溶液にアルデヒド基を持つ分子を加えて穏やかに加熱すると、アンモニア性硝酸銀水溶液中に含まれる銀イオンが還元されて、単体の銀が生成します。銀鏡反応が進行すると、試験管内に銀が析出するため、液体に鏡のような光沢が出てくるんです。

この反応も酸化還元反応で、アルデヒド基が銀を還元することで反応が進行します。銀の酸化数は反応前が+1、反応後が0です。銀の酸化数が減っているので、銀は還元されており、そしてアルデヒドは酸化してカルボン酸に変化しています。

「銀鏡反応」も「フェーリング反応」もアルデヒド基が相手を還元して、自身が酸化することがポイントです。反応が進行すると、何が生成するかは確実に覚えておいてください。銀鏡反応は単体の銀が生成して、フェーリング反応では酸化銅(Cu2O)が生成します。

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糖類もアルデヒド基を持っている!

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フェーリング反応と銀鏡反応は、アルデヒド基を持つ化合物が検出できましたよね。実は、フェーリング反応と銀鏡反応は糖類の検出にも使えます。

単糖類の「グルコース」「フルクトース」「ガラクトース」は分子内にアルデヒド基を持つため還元性を示し、フェーリング反応と銀鏡反応が進行するんです。一方、二糖類のショ糖(スクロース)や多糖類はアルデヒド基を持たないので、還元性を示しません。

アセチル基を検出する「ヨードホルム反応」もあわせて解説

アルデヒドの検出方法とは少し異なりますが、「ヨードホルム反応」もあわせてチェックしておいてください。

ヨードホルム反応とは、アセチル基を検出するための反応です。アセチル基を持った化合物とヨウ素と水酸化ナトリウムが混ざった溶液を加熱すると、黄色い沈澱ができます。この沈澱が、トリヨードメタン、別名ヨードホルムです。

反応を詳しく見ていくと、アセチル基の水素に水酸化ナトリウムが求核攻撃することで始まりますが…これは大学で学ぶ化学の範囲なので、ここでは省略します。

ヨードホルム反応で検出できるのはアセチル基だけではない?

ヨードホルム反応は、アセチル基を検出するための反応と紹介しましたが、実はアセチル基以外でもヨードホルム反応が進む分子構造があります。それが、端から2個目の2級アルコールです。エタノールや2-プロノールなどでもヨードホルム反応が進行します。

どうしてか?それは、端から2個目の2級アルコールは、酸化するとアセチル基ができるから。酸化することでアセチル基を持つ化合物が生成するので、ヨードホルム反応が進行するんです。

アセトアルデヒドはアセチル基を持っているため、ヨードホルム反応が進行します。一方、分子内にアルデヒド基ももっているため、銀鏡反応やフェーリング反応も進行するんです。

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アルデヒド基を検出する反応を解説

今回はアルデヒド基を検出する3つの反応を紹介しました。アルデヒド基の検出といったら、まず思い出してほしいのが「フェーリング反応」「銀鏡反応」です。

そして、「ヨードホルム反応」も解説しました。ヨードホルム反応はアセチル基を持つ分子の検出に使う反応ですが、「アセトアルデヒド」でもヨードホルム反応が進行します。

3つの反応とも大学受験やテストでもよく出題される反応なので、ぜひチェックしておいてください。

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化学有機化合物物質の状態・構成・変化理科

フェーリング反応とは?なぜアルデヒド基が検出できる?理系ライターが詳しくわかりやすく解説

今回のテーマは「フェーリング反応」と「アルデヒドの検出」です。フェーリング反応は、アルデヒド基の検出方法に用いられる。1度は名前くらいは聞いたことあるでしょう。まずは「フェーリング反応」とはどのような反応か解説していきます。
さらに、アルデヒド基の検出にはもう1つ重要な反応がある。それが「銀鏡反応」です。どちらの反応も受験では頻出で、確実に覚えておいてほしい。

今回はアルデヒド基の検出に使われる、「フェーリング反応」と「銀鏡反応」が、どのような反応か化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

フェーリング反応とは

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フェーリング反応とは、フェーリング液の還元反応のことをいいます。アルデヒド基を検出する化学反応のひとつで、テストでもよく出題される重要な反応です。

フェーリング反応がどのような反応か解説する前に、まずはアルデヒド基とは「どのような置換基」で「どのような特徴があるのか」チェックしていきましょう。

アルデヒド基とはどのような置換基なのか

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コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Benjah-bmm27だと推定されます(著作権の主張に基づく) – コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による著作物だと推定されます(著作権の主張に基づく), パブリック・ドメイン, リンクによる

アルデヒド基はカルボニル基の仲間に分類される置換基です。大学受験では、置換基の問題も出題されるので、有名な置換基はまとめてチェックしておきましょう。

カルボニル基は炭素と酸素が二重結合でつながった構造を基本骨格としています。そして、カルボニル基の炭素に結合している原子が水素に置き換わった置換基がアルデヒド基です。そのため、アルデヒド基はカルボニル基の仲間に分類されているんですね。

アルデヒド基の他に、ケトン基カルボキシ基もカルボニル基の仲間に分類されています。

アルデヒド基の特徴を解説

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ここからは、アルデヒド基の特徴を解説していきます。まず、アルデヒド基は極性があるため、水によく溶けるのが特徴です。さらに、炭化水素基を持つため、有機溶媒にも溶けます。そして、還元性を持つことも重要です。還元性を持つということは自分が酸化されやすいため、相手を還元しやすいということですね。

アルデヒド基を持つ有名な化合物は「ホルムアルデヒド」や「アセトアルデヒド」です。ホルムアルデヒドが35~38%の水溶液はホルマリンと呼ばれています。

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