この記事では「弓矢取る身」について解説する。

端的に言えば弓矢取る身の意味は「武器を手に取り戦う武士のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「弓矢取る身」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「弓矢取る身」の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「弓矢取る身」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「弓矢取る身」(ゆみとるみ)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「弓矢取る身」の意味は?

まずは、「弓矢取る身」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 武人である身。武士。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「弓矢取る身」

「弓矢取る身」(ゆみやとるみ)の「弓矢」(ゆみや)とは、文字どおり「弓」(ゆみ)と「矢」(や)のことで古くは新石器時代から飛び道具として狩猟のために使われてきました。その後、「弓矢」は「刀」や「移動用の馬」と並んで人と人との争いにも使われるようになったのです。転じて、「弓矢」は「武器」や「兵器」の総称としても使われるようになりました。「弓矢取る身」とは「武器を手に取って戦う人」のことであり、辞書で説明されているように「武士」のことなのです。

「弓矢取る身」の語源は?

次に「弓矢取る身」の語源を確認しておきましょう。
「弓矢取る身」の意味は武士のことですが、「弓矢取る身」という表現は、鎌倉時代に書かれた軍記物語である「平家物語」(へいけものがたり)の中に登場します。「武士」とは、一般的には、武芸を極めた戦闘を職業とする人々のことで、奈良時代から武官や武人はいましたが、武士が政治に影響を与えるほどの勢力を持つようになったのは、平清盛(たいらのきよもり)が最初だったとも言われていますね。「平家物語」には平家の隆盛から、「平家」(へいけ)と「源氏」(げんじ)との争い、平家の滅亡までが語られていますが、武士として生きるとはどういうことなのかを含めて、後の武士道(ぶしどう)と呼ばれるような武士としてのプライドを登場人物の中に垣間見ることができます。

\次のページで「「弓矢取る身」の使い方・例文」を解説!/

「弓矢取る身」の使い方・例文

弓矢取る身」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1. 「勝負が決しているのはわかっているが、我も弓矢取る身。この上は、矢が尽き刃が折れるまで戦い武士として討ち死にする覚悟だ。」

2. 「我ら弓矢取る身としては、同盟関係を裏切るわけにはいかないが、一方でこの戦(たたかい)には「義」(ぎ)がない。ご先祖様たちには申し訳ないが出家するしかあるまい。」

「弓矢取る身」は、現代の日常会話ではなかなか出てこない慣用句なので、武士がいた時代の設定で例文をご紹介いたしました。

「弓矢取る身」の類義語は?違いは?

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それでは、「弓矢取る身」の類義語を見ていきましょう。

 

「もののふ」

「弓矢取る身」とは、武士のことでしたが類義語のひとつに「もののふ」という言葉がありますね。「弓矢取る身」は「武士」と同様に戦うことを生業(なりわい)にする人全般を指しましたが、「もののふ」とは、朝廷に仕え武力を提供していた者に対して使われた呼び名だったと伝えられています。朝廷そのものではなく、公家(くげ)に仕え、警備や家事をしている者は、「侍」(さぶらい)と呼ばれていたようです。「弓矢取る身」や「武士」は比較的、広い意味で使えるのに対して、「もののふ」や「侍」は仕える相手によって呼び名が分けられていたわけですね。

\次のページで「「弓矢取る身」の対義語は?」を解説!/

「弓矢取る身」の対義語は?

次に「弓矢取る身」の対義語を見ていきましょう。

「文官」

武士である「弓矢取る身」にとって、武芸を磨き、朝廷や領主のために警備をしたり戦(いくさ)に出て戦うことが「弓矢取る身」の仕事でしたよね。しかし、朝廷や領主のために貢献する方法は、「武官」(ぶかん)としてだけではありません。事務や行事を専門に行う職種もありました。事務や行事を執り行う人たちは、「文官」(ぶんかん)と呼ばれていました。「武官」の職位には「大将」、「中将」、「少将」などがありましたが、文官の職位には、「大臣」、「大納言」、「中納言」などがありました。日本の歴史を振り返ると、国は、「武官」と「文官」の活躍で運営されてきたわけなのです。

「弓矢取る身」の英訳は?

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次に「弓矢取る身」の英訳を見ていきましょう。

「A man of the sword」

海外の人に「弓矢取る身」といっても通じないかもしれませんが、映画やドラマを通じて「Samurai」(さむらい)「Bushi」(ぶし)「Shogun」(しょうぐん)などの単語は外国人も広く知られていますね。

「武士」や「侍」を和英辞典で引いてみると、「warrior」(wˈɔːriɚ)がでてきます。 「warrior」は、「武士」、「戦士」という意味。戦闘することを職業にしてきた人がいる国は多いですから、「弓矢取る身」と言いたいのであれば「 a warrior」を使えば通じるでしょう。「弓矢取る身」の言葉の持つ雰囲気を含めて伝えたいのであれば、「a man of the sword」がいいかもしれませんね。「A man of the sword」の 「sword」(sˈɔɚd)とは、「剣」、「武力」の意味ですから「「A man of the sword」で「剣の人」あるいは「武士」という意味になるのです。英語で「弓」は「bow」(bάʊ)、「矢」は、arrow「ˈæroʊですから「a  man of the  bow &arrow」と表現できれば完璧ですね。

「弓矢取る身」を使いこなそう

この記事では、「弓矢取る身」の意味や使い方などを見てきました。「弓矢取る身」は、武士のことでしたね。武器を手に取って命をかけて戦う武士は「勇ましさ」(いさましさ)の象徴でもありますよね。戦いには勝つときもあれば負けることもあります。現代社会では負けたり、失敗しても命を失うことはありません。先人が言っているとおり、勝っても、おごることなく、負けたらきちんと反省して次にはうまくいくように工夫することがやはり大切なのではないでしょうか?

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【慣用句】「弓矢取る身」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「弓矢取る身」について解説する。

端的に言えば弓矢取る身の意味は「武器を手に取り戦う武士のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「弓矢取る身」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「弓矢取る身」の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「弓矢取る身」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「弓矢取る身」(ゆみとるみ)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「弓矢取る身」の意味は?

まずは、「弓矢取る身」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 武人である身。武士。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「弓矢取る身」

「弓矢取る身」(ゆみやとるみ)の「弓矢」(ゆみや)とは、文字どおり「弓」(ゆみ)と「矢」(や)のことで古くは新石器時代から飛び道具として狩猟のために使われてきました。その後、「弓矢」は「刀」や「移動用の馬」と並んで人と人との争いにも使われるようになったのです。転じて、「弓矢」は「武器」や「兵器」の総称としても使われるようになりました。「弓矢取る身」とは「武器を手に取って戦う人」のことであり、辞書で説明されているように「武士」のことなのです。

「弓矢取る身」の語源は?

次に「弓矢取る身」の語源を確認しておきましょう。
「弓矢取る身」の意味は武士のことですが、「弓矢取る身」という表現は、鎌倉時代に書かれた軍記物語である「平家物語」(へいけものがたり)の中に登場します。「武士」とは、一般的には、武芸を極めた戦闘を職業とする人々のことで、奈良時代から武官や武人はいましたが、武士が政治に影響を与えるほどの勢力を持つようになったのは、平清盛(たいらのきよもり)が最初だったとも言われていますね。「平家物語」には平家の隆盛から、「平家」(へいけ)と「源氏」(げんじ)との争い、平家の滅亡までが語られていますが、武士として生きるとはどういうことなのかを含めて、後の武士道(ぶしどう)と呼ばれるような武士としてのプライドを登場人物の中に垣間見ることができます。

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